先天性横隔膜ヘルニア
・横隔膜の欠損部から胸腔内に腸管などが逸脱する疾患。逸脱臓器による圧排により気道の発達以上、肺低形成をきたす。
・2500人に1例の割合。男女比は2:1。
・胎生初期には、胸膜腹膜孔と呼ばれる横隔膜の欠損が生理的に存在するが、発生の過程でこの孔は閉鎖するが、この閉鎖が遅れたり、腸管の環納が早すぎたりすると、横隔膜ヘルニアが起こる。
・横隔膜ヘルニアの9割は左側に起こり、横隔膜背側部の欠損孔によるBochdalekヘルニアが最多で9割近く。ついで胸骨後方正中よりのMorgagni孔ヘルニアが5%程度。
横隔膜の前方の欠損によるものがMorgagni孔ヘルニア、後方のものがBochdalekヘルニア
※左側に多いのは、右の胸腹膜管がより早く閉鎖すること、肝がヘルニアを防いでいることがある。
・出生直後より重症の呼吸促迫、チアノーゼを呈する。ただし新生児期の後期になって呼吸促迫を呈することもある。この場合は通常ヘルニアは小さい事が多い。
・合併する先天奇形に、神経管形成異常、中腸回転異常、心大血管異常がある。
・診断は、出生前超音波で診断できる。出生後に単純X線にて診断されることもある。ただし、出生直後のX線では脱出した腸管への含気が進んでおらず、一側不透明肺としてのみ描出されることがある。
・治療は外科的治療。
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