先に結論:脊椎・脊髄外傷の画像診断のポイント

  • 首の骨折は場所ごとに名前があり、C1(環椎)の破裂骨折=ジェファーソン(Jefferson)骨折、C2(軸椎)の椎弓根の骨折=ハングマン(hangman)骨折、C2の歯突起骨折が代表です。C3以下では圧迫骨折・破裂骨折・脱臼骨折が起こります。骨折の見逃し防止と評価にはCTが基本です
  • 骨折が不安定かどうかは、椎体を前・中・後ろの3つに分けるDenisの3柱理論で考え、中央の柱を含む2か所以上が壊れていると不安定とします。頸椎骨折では椎骨動脈の損傷にも注意し、離れた場所にもう1か所骨折がないかも確認します
  • SCIWORA(サイウォーラ)は、Spinal Cord Injury WithOut Radiographic Abnormality の略で、レントゲン(やCT)で骨折・脱臼がないのに脊髄損傷の症状がある状態です。高齢者では首を後ろにそらした外傷による非骨傷性頸髄損傷(中心性頸髄損傷)が多く、MRIで脊髄の損傷や靱帯損傷を確認します

脊椎・脊髄の外傷

  • 外傷による脊椎の骨折は、胸腰椎移行部(Th10〜L2)37.5%、頸椎25.3%の順に多いとの報告があります(Mittal 2021)。

脊椎の骨折

  • 破裂骨折では椎体の後壁にも骨折をきたしており、後方への突出による脊髄損傷に注意が必要。
  • また血管損傷の合併に注意が必要。特に椎骨動脈に多い。危険因子は脱臼・脱臼骨折、横突起孔骨折、虚血による神経症状。CTAにて診断する。
  • 脊椎骨折の不安定性は、Denisのthree column theoryで判断する。椎体を3つに分け、真ん中のmiddleを含む2箇所に骨折が見られる場合、また頸椎(C2以下)では、隣接椎体との間に3.5mmを超える水平方向の偏位がある場合も不安定とされる(White & Panjabiの基準)。なお、Denisの3柱理論は1983年の古典的な考え方で、現在は国際的な合意で作られたAOSpine分類が胸腰椎(2013年)・下位頸椎(2016年)の外傷に提唱されています。損傷の形をタイプA(圧迫)・タイプB(張力帯(tension band)の破綻)・タイプC(転位・並進)の3つに分け、神経学的状態と患者ごとの修飾因子を加えて評価します。
  • 骨折が連続しない椎体で生じることもあり(非連続性骨折(noncontiguous fracture))、高エネルギー外傷に多い。頸椎骨折・脱臼492例のCTでは、離れた部位の脊椎損傷が19%にみられました(Miller 2011)。

ジェファーソン骨折の分類

  • 頭からの縦方向の力で環椎(C1)の輪が前弓と後弓で折れ、外側塊が外へ広がる骨折です。安定性は環椎横靱帯が保たれているかで決まり(Liao 2020)、輪が前後とも折れた例ではMRIで横靱帯を確認します(Schleicher 2019)。
Gehweiler分類 Ⅰ型:前弓のみ、Ⅱ型:後弓のみ、Ⅲ型:前弓+後弓(横靱帯が保たれるⅢA・断裂するⅢB)、Ⅳ型:外側塊、Ⅴ型:横突起
Landells分類 1型:前弓か後弓の一方、2型:両方(破裂型)、3型:外側塊
AO Spine上位頸椎分類 部位と損傷の型を組み合わせる国際分類
  • この3分類がよく使われ、多くの環椎骨折は安定で保存的に治療されます(Magalhães De Souza 2025)。
  • ハングマン骨折はC2の左右の椎弓根(関節突起間部)の骨折(軸椎の外傷性すべり症)で、Effendi分類が古典です。歯突起骨折はAnderson・D’Alonzo分類(Ⅰ〜Ⅲ型)が古典的です(McDermott 2024)。

SCIWORA

  • spinal cord injury without radiographic abnormalityの頭文字をとった名称。もともとは1982年にPangらが小児の病態として提唱した概念で、小児では脊椎の柔軟性が高いため骨傷なしに脊髄損傷が起こりやすいとされます。
  • つまり、外傷後、単純X線で骨折や脱臼を認めないが、神経学異常を認めるもの。
  • 頚椎に多い。
  • MRI以前の概念であり、変形性脊椎症、ヘルニア、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯肥厚および骨化症などを背景にした脊髄損傷。
  • ただし、MRIでも異常を認めない例があり(小児の持続する脊髄症状例で12〜15%との報告(Pang 2004))、real SCIWORAと呼ばれる。

非骨傷性頸髄損傷

  • 外傷により頚椎には異常所見を認めないが、脊髄のみに異常を認めるもの。
  • 過伸展によるものが多い。
  • 中高年に多い。
  • 中心性脊髄損傷の形をとることが多い。

高齢者の脊椎・脊髄損傷

  • 骨密度が低下し、変性を伴いやすい中高年以降で増加する。
  • 転倒による外傷が多い。
  • 頚椎では歯突起骨折、下位頚椎過伸展骨折、非骨傷性頸髄損傷(過伸展による)が多い。
  • 他、胸腰椎移行部の圧迫骨折・破裂骨折が多い。

症例 20歳代男性 バイクと車の交通事故

ジェファーソン骨折(環椎破裂骨折) CT 横断像
引用:Radiopaedia(Jefferson fracture)

環椎(C1)の横断CTで、右後弓の外側と左前弓の外側に骨折線がみられます(赤矢印)。青紫の矢印は右外側塊の内側で、環椎横靱帯の付着部が裂離した部位を示します。横靱帯の損傷を伴うため、不安定な骨折と考えられます。

脊椎外傷でよくある疑問(Q&A)

Q. 頸椎の骨折はレントゲンで分かりますか?
A. 上位頸椎ではCTのほうがX線より感度・信頼性が高いとされます(Liao 2020)。骨折がなくても手足のしびれや麻痺があればMRIで脊髄を確認します。けがのあとに首の痛みや手足のしびれがあれば、早めに医療機関を受診してください。

参考文献

  1. Denis F. The three column spine and its significance in the classification of acute thoracolumbar spinal injuries. Spine (Phila Pa 1976). 1983;8(8):817-31. PubMed
  2. White AA 3rd, Johnson RM, Panjabi MM, et al. Biomechanical analysis of clinical stability in the cervical spine. Clin Orthop Relat Res. 1975;(109):85-96. PubMed
  3. Miller CP, Brubacher JW, Biswas D, et al. The incidence of noncontiguous spinal fractures and other traumatic injuries associated with cervical spine fractures: a 10-year experience at an academic medical center. Spine (Phila Pa 1976). 2011;36(19):1532-40. PubMed
  4. Pang D. Spinal cord injury without radiographic abnormality in children, 2 decades later. Neurosurgery. 2004;55(6):1325-42. PubMed
  5. Vaccaro AR, Oner C, Kepler CK, et al. AOSpine thoracolumbar spine injury classification system: fracture description, neurological status, and key modifiers. Spine (Phila Pa 1976). 2013;38(23):2028-37. PubMed
  6. Vaccaro AR, Koerner JD, Radcliff KE, et al. AOSpine subaxial cervical spine injury classification system. Eur Spine J. 2016;25(7):2173-84. PubMed
  7. Farrell CA, Hannon M, Lee LK. Pediatric spinal cord injury without radiographic abnormality in the era of advanced imaging. Curr Opin Pediatr. 2017;29(3):286-290. PubMed
  8. Mittal S, Rana A, Ahuja K, et al. Pattern of spine fracture in Sub-Himalayan region: A prospective study. J Clin Orthop Trauma. 2021;15:27-32. PubMed
  9. Magalhães De Souza T, Dos Santos Pavesi L, Fernandes Joaquim A. Evaluation of the Classification Systems Used for Traumatic Atlas (C1) Injuries: A Systematic Review. Clin Spine Surg. 2025. PubMed
  10. Liao S, Jung MK, Hörnig L, et al. Injuries of the upper cervical spine-how can instability be identified? Int Orthop. 2020;44(7):1239-1253. PubMed
  11. Schleicher P, Scholz M, Kandziora F, et al. Recommendations for the Diagnostic Testing and Therapy of Atlas Fractures. Z Orthop Unfall. 2019;157(5):566-573. PubMed
  12. McDermott M, Quinteros G, Landriel F, et al. Management of C2 fractures following multiple classifications, a narrative review. Brain Spine. 2024;4:102928. PubMed

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