先に結論:肉離れ(筋ストレイン)と筋挫傷の違い・画像検査
- 肉離れ(筋ストレイン)は、走る・ける・切り返すなどの動作で、自分の筋肉が伸ばされながら縮む力によって筋肉が傷つくもので、筋肉と腱のつなぎ目(筋腱移行部)に起こりやすいです。太ももの裏(ハムストリングス)・太ももの前(大腿直筋)・ふくらはぎ(腓腹筋内側頭)に多く見られます
- 筋挫傷は、ぶつかる・打撲など外から直接加わった力による筋肉の損傷です
- 画像検査はMRI(脂肪抑制T2強調像・STIR)が最も役立ち、損傷部の羽毛状の高信号(むくみ・出血)、血腫、筋膜に沿った液体、筋や腱の断裂を確認して、軽症(1度)〜完全断裂(3度)の重症度を判断します。超音波も使われます。CTやレントゲンでは筋肉の損傷はわかりにくく、骨の剥離骨折の確認などに使います
筋損傷
・肉離れ(muscle strain)
・筋挫傷(muscle contusion)
に分けられる。
肉離れ
・遠心性の力が筋肉に働いた時に起こる筋の損傷。
・腱筋移行部が損傷されやすい。
・自家筋力によるもの、広義には介達外力によるものも含まれる。
・自家筋力によるもの:短距離走におけるハムストリングス、サッカーのシュートをするときの大腿直筋、テニスやバドミントンなどの切り返すときの腓腹筋内側頭など。
・介達外力によるもの:坐骨結節からの断裂。→成長期に起こると裂離(剥離)骨折の原因となる。
・肉離れの病態は、大きく分けて筋肉内血腫、筋肉の断裂、筋膜下の液体あるいは血液の貯留に分けられる。
【肉離れの重症度分類(従来の3段階分類)】
軽症(第1度):わずかな筋線維の損傷。MRIではわずかな所見のみ。
中等症(第2度):部分断裂。MRIでは筋腱移行部に部分断裂。
重症(第3度):完全断裂。MRIでは筋腱移行部に完全断裂。
筋挫傷
・筋肉に直達外力が働いて生じた損傷。
・裂傷や挫傷となり、筋肉内の出血や血腫を伴いやすい(Flores 2018)。
筋損傷の画像所見
・脂肪抑制T2WIもしくはSTIRを必ず撮影する。いずれかを撮影しないと見落とすことあり。
・筋膜に沿った滲出液、筋線維に沿った羽毛状(フェザー状)の滲出液、筋肉内血腫、筋・腱断裂を認める。・プロサッカー選手のハムストリング損傷の検討では、MRIで線維断裂のない例(grade 0・1)が約7割を占めたが、離脱日数の過半はこれらによるものであった。離脱期間はgrade 0〜3で平均8・17・22・73日と重症度に応じて長くなり、部位は大腿二頭筋が83%と最多であった。
症例 20歳代男性 サッカーでの受傷後の大腿後面痛

引用:Radiopaedia(Hamstring strain)
脂肪抑制T2強調像(TIRM)で、右大腿後面の半腱様筋の筋腱移行部に沿って、縦に長い羽毛状の高信号域がみられます。損傷は筋の断面積の半分未満で血腫はなく、部分損傷(BAMIC grade 2B)と評価されています。従来の3段階分類は診断精度や予後予測が不十分とされ、BAMIC(British Athletics Muscle Injury Classification)ではMRI所見で0〜4度に分け、損傷部位が筋膜(a)・筋腱移行部(b)・腱内(c)かを付記します。
肉離れの重症度分類の比較
| 分類 | 段階 | 特徴 |
|---|---|---|
| 従来の3段階分類 | 1〜3度 | 軽症・中等症(部分断裂)・重症(断裂)。診断精度や予後予測が不十分とされる(Pollock 2014) |
| BAMIC | 0〜4度 | MRI所見で分け、1〜4度には部位として筋膜(a)・筋腱移行部(b)・腱内(c)を付ける(Pollock 2014) |
| Munich分類 | タイプ1〜4 | 1・2は線維の断裂がない機能的な障害、3は部分断裂、4は(亜)全断裂・腱の剥離(Mueller-Wohlfahrt 2013) |
| Peetrons改変 | 0〜3度 | 2・3度が線維断裂あり。プロサッカー選手で離脱日数の目安に使われた(Ekstrand 2012) |
肉離れのMRIでよくある疑問(Q&A)
Q. MRIで白く写っているのは何ですか?
A. 脂肪抑制T2強調像やSTIRで白く(高信号に)写るのは、傷ついた筋肉のむくみや出血です。筋線維に沿って羽毛状に広がるのが典型です。
Q. 肉離れでもMRIで異常が写らないことはありますか?
A. あります。プロサッカー選手のハムストリング損傷でMRIを撮った例の13%は異常が写らないgrade 0でしたが、それでも平均8日の離脱がありました(Ekstrand 2012)。
痛みや腫れが強い、歩くのがつらい場合は、医療機関を受診してください。
あわせて読みたい:横紋筋融解症とは?原因・症状と血液検査(CK)、CT・MRI所見
参考文献
- Flores DV, Mejía Gómez C, Estrada-Castrillón M, et al. MR Imaging of Muscle Trauma: Anatomy, Biomechanics, Pathophysiology, and Imaging Appearance. Radiographics. 2018;38(1):124-148. PubMed
- Pollock N, James SL, Lee JC, et al. British athletics muscle injury classification: a new grading system. Br J Sports Med. 2014;48(18):1347-51. PubMed
- Mueller-Wohlfahrt HW, Haensel L, Mithoefer K, et al. Terminology and classification of muscle injuries in sport: the Munich consensus statement. Br J Sports Med. 2013;47(6):342-50. PubMed
- Ekstrand J, Healy JC, Waldén M, et al. Hamstring muscle injuries in professional football: the correlation of MRI findings with return to play. Br J Sports Med. 2012;46(2):112-7. PubMed
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