内膜症性嚢胞破裂とは?
- 内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)の破裂は、急性腹症として発症する。
- 婦人科救急疾患の約5%を占める。
- 嚢胞内容液 の流出と腹膜からの吸収、および腹膜の炎症に伴うCA125の産生により、血清CA125値が一過性に著明な上昇を呈することがある。
- 術前診断が困難(accuracy約40%)とされるが、その理由の一 つとして、超音波で液体貯留がほとんど認められないものが約60%を占めることが挙げられる。
内膜症性嚢胞破裂の画像診断
- MRI、特に脂肪抑制併用T1強調像が有用で、少量の内容液流出であっても、腹腔内に内膜症性嚢胞と同様の著明な高信号を呈する液体の流出が認められる。
症例① 40歳代女性 下腹部痛
子宮左背側にT1強調像で高信号の多房性嚢胞あり。
癒着所見も認めています。
脂肪抑制T1強調像でも高信号を認めており、出血を疑う所見です。
嚢胞には緊満感がなく、破裂が疑われます。
ダグラス窩の腹水も高信号であり、血性腹水と考えられます。
サイズが最も大きい嚢胞には、緊満感がなく、血性腹水を認めていることからも内膜症性嚢胞の破裂が疑われます。
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症例② 動画で学ぶ内膜症性嚢胞破裂
症例 30 歳代の女性。突然の下腹部痛。最終月経は 1 週間前,hCG 正常。
2012年放射線科診断専門医試験問題63より引用。
左卵巣に二ボーあり。T1WIおよび脂肪抑制T1WIにて高信号あり、内膜症性嚢胞。
血性腹水を認めており、破裂が疑われる。
最終月経は1週間前だから、月経期から卵胞期であり、黄体嚢胞は考えられない。
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