淡蒼球を中心とした基底核にT1強調像で高信号を呈する鑑別疾患
- 肝性脳症 、門脈系-体循環系短路、慢性後天性肝脳変性症(淡蒼球へのマンガン沈着による)
- カルシウム・リン代謝異常
- ビタミン欠乏などの栄養障害
- HIV脳症
- 低血糖脳症
- 低酸素脳症
- 出血性梗塞
- 長期中心静脈栄養(IVH)に関連した変化、高カロリー輸液(輸液中に含まれるMnなどの微量元素が原因と考えられている。)
- 遺伝性出血性毛細血管拡張症(淡蒼球へのマンガン沈着による)
- マンガン粉塵の吸入(淡蒼球へのマンガン沈着による)
- 糖尿病によるバリスムを伴う高血糖脳症(被殻中心、時に尾状核)など
- 神経線維腫症Ⅰ型のhamartomatous lesion
- 加齢による石灰化(石灰化の程度によってはT1WIで高信号となる。弱い石灰化が海綿状構造を形成すると内部の水分子運動が抑制されるため、高信号となることがあり、これを表面効果という。銅や鉄の沈着によっても同様のことが起こる。)
- 加齢以外による石灰化(甲状腺機能低下症、副甲状腺機能異常、特発性基底核石灰化症、ミトコンドリア病など)
- ガドリニウム造影剤の沈着
ちなみにT1WIで高信号を見たら考えるべきこと
- 脂肪
- 出血
- 高蛋白の液体
の3つをまずは考える。
この際に脂肪抑制法を追加して、脂肪か否かを判断することが重要。(ただしコレステロールは化学シフトを利用した脂肪抑制では抑制されないので注意。)
次に、出血か高蛋白液体かの鑑別にはSWIやT2*WI(あるいはときにT2WI)で低信号があれば出血の可能性がある。(ただし鑑別が難しいこともある)。
この3つの他に、
- Mnなどの常磁性体
- Caの表面効果
でもT1WIで高信号になることがある点を覚えておく。
参考:
- 画像診断 Vol.42 No.11増刊号 2022 P12-3
- 画像診断 Vol.32 No.11 臨時増刊号2012 P24
- 新版 所見からせまる脳MRI P27-8