心肺停止の蘇生後にみられることが多い低酸素脳症の画像診断についてまとめました。

低酸素脳症(Brain Hypoxia)

  • 低酸素により起こる脳症。
  • 心肺停止の蘇生後にみられることが多い。
  • 胎児、新生児の場合は仮死による低酸素が多い。
  • 障害部位や程度は脳実質の成熟度や低酸素の度合い、持続時間、体温などにより異なる
  • 成人の場合、灰白質の障害が主体。左右対称性に視床、基底核、大脳皮質海馬や小脳が障害される。大脳皮質および小脳では境界領域に梗塞を生じる。

低酸素脳症(Brain Hypoxia)の画像診断

 画像診断
CT
  • 早期の病変検出能は低い。
  • びまん性の脳腫脹→脳溝・くも膜下腔の狭小化→pseudo SAH sign
  • 皮髄境界、基底核の不明瞭化。
  • 重症例では大脳がびまん性に低吸収域→小脳や脳幹が大脳半球に比べて相対的に高吸収、皮質と白質の濃度が逆転する。
MRI(急性期) DWIにて左右対症性に皮質、基底核、視床など灰白質優位に高信号。
MRI(亜急性期以降) T1WI T2WI DWI
脳回に沿った高信号(laminar necrosis) 高信号 高信号

症例 20歳代女性 CPA

Brain Hypoxia CT findings

著明な脳浮腫を認めています。

特に円蓋部レベルで脳溝の異常な高吸収域を認めており、一見くも膜下出血様です。

低酸素脳症による脳浮腫、それに伴うpseudo SAH signを疑う所見です。

基底核レベルでは、両側の基底核の不明瞭化を認めています。

頭蓋底レベルでは、鞍上槽周囲の本来見えるべきくも膜下腔がはっきりせず、著明な浮腫性変化が示唆されます。

症例 30歳代女性 CPA

pseudosah

単純CTで著明な脳浮腫を認めています。

鞍上槽レベルでくも膜下腔に高吸収域を認めており、pseudo SAH signを疑う所見です。

症例 40歳代男性 溺水による低酸素脳症 8ヶ月目

hypoxic ischemic encephalopathy

両側びまん性に大脳半球に低吸収域の広がりあり。

基底核、視床にも左右対称な低吸収域の広がりが見られる。

慢性期にかけて徐々に脳萎縮が出現する。

症例 50歳代男性 5日前蘇生、今回昏睡状態で発見される。

引用:radiopedia

大脳皮質および皮質下、両側視床と大脳基底核にDWI高信号あり。同部に一致してFLAIRでも高信号あり。

低酸素脳症に合致する所見です。

(重度の低酸素損傷は、主に大脳基底核、視床、大脳皮質、海馬などの灰白質構造に影響を与える。 小脳損傷も起こり得る。)

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