高血糖性舞踏病(hemichorea-hemiballism with non-ketotic hyperglycemia)とは?
- コントロール不良の糖尿病患者の非ケトン性高血糖時に起こる舞踏運動やバリスムを伴う高血糖脳症。(バリスムとは上肢または下肢を振り回すような粗大な不随意運動)。
- 高浸透圧による障害と考えられており、血糖値正常化とともに不随意運動は改善する。
- 高齢の女性に多く、急性に発症し片側性と両側性がある。
- 通常は被殻から尾状核の病変により、対側のバリスムが発生する。
糖尿病性舞踏病(Diabetic chorea:DC)の診断基準
- 1)突然発症の一側または両側の舞踏運動・バリスムであること
- 2)1)の発現時またはその前に、高血糖状態か急激な血糖変化を認めること
- 3)MRI T1強調画像で被殻に高信号を認めること
- 4)糖尿病以外の舞踏運動を生じる原因(薬剤性、炎症性疾患、血管障害、腫瘍、血管奇形、一般的な脳症など)を否定できること
補足:(診断)
1)~3)が揃えば確実。1)+2)では疑い例
2)+3)ではDCとは呼べないが、不髄意運動発現を考慮した経過観察が必要
(画像)
a) 被殻以外に淡蒼球・尾状核にも異常信号がみられる場合がある
b) T2強調画像では低〜等信号を呈する
c) CTでは高〜等吸収域を呈する
(日内会誌 93:1545-50,2004)
高血糖性舞踏病の画像所見
- 症状と反対側の被殻、ときに尾状核にT1WIで高信号を認める。T1WIでの高信号は出血、虚血後のフリーラジカル集積に関連したMn-SOD誘導による金属塩沈着、脱髄などが考えられている。
- CTでも高吸収を認めることがある。
- 多くは片側性だが両側性の場合もある。
症例 60歳代女性 興奮と意識低下
引用:radiopedia
右の被殻・尾状核にCTで高吸収、T1WIで高信号を示している。
高血糖性舞踏病と診断されました。
関連記事:淡蒼球を中心とした基底核にMRI検査T1強調像で高信号を呈する鑑別疾患
参考文献:
- 新 頭部画像診断の勘ドコロ P232-3
- 新版 所見からせまる脳MRI P162