LI-RADSとは LR-1〜5の決め方(CT/MRI v2018)

肝硬変でフォロー中のMRIで「LR-4」と書かれていました。がんなんでしょうか…
LI-RADS(ライラッズ)は、肝細胞癌になりやすい人の肝臓の結節を「どのくらい肝細胞癌らしいか」で段階分けする仕組みです。LR-4は「肝細胞癌の可能性が高い」ですが確定ではありません。各カテゴリーの決め方を見ていきましょう。

先に結論:LI-RADS(CT/MRI v2018)のポイント

項目 ポイント
何か ACRによる肝細胞癌(HCC)の画像診断・報告の標準化システム。CT/MRIの診断アルゴリズムはv2018
対象 肝硬変、慢性B型肝炎、HCCの既往・治療中の成人(高リスク患者)のみ
主要所見 nonrim APHE、nonperipheral washout、enhancing capsule、threshold growth、大きさ
カテゴリー LR-1(良性)〜LR-5(HCC確実)、LR-M(悪性だがHCCとは限らない)、LR-TIV(静脈内腫瘍)、LR-NC(判定不能)
次にすること LR-5は画像でHCCと診断できる。LR-3/4/Mは再検・別の検査・生検などを多職種で検討


LI-RADS CT/MRI v2018 診断表(LR-3〜LR-5)

LI-RADSとは

LI-RADS(Liver Imaging Reporting and Data System)は、アメリカ放射線学会(ACR)が支援する、HCCの高リスク患者の肝画像の用語・撮像・読影・報告を標準化する仕組みです。USによるサーベイランス、CT/MRIによる診断、造影超音波(CEUS)による診断、CT/MRIによる治療効果判定の4つのアルゴリズムから成ります(Chernyak 2018)。2018年版はAASLD(米国肝臓病学会)の診療ガイダンスにも組み込まれました(Elsayes 2019)。

HCCの典型的な画像所見(早期濃染とwashout)については 肝細胞癌(HCC)のCT・MRI画像診断 で解説しています。

対象になる人・ならない人

  • 対象:肝硬変の成人、慢性B型肝炎(肝硬変の有無を問わない)、HCCの既往・治療中の患者
  • 対象外:小児、肝硬変のない他の慢性肝疾患、先天性肝線維症や血管性疾患による肝硬変など

HCCのリスクが低い、または確立していない集団には適用しません(Cunha 2021)。高リスク患者では「早期濃染+washout」の陽性的中率が高いことが前提だからです。

主要所見(major features)

主要所見 意味
nonrim APHE 動脈相でリング状でない(全体的な)濃染。v2018で「APHE」から名称が変わり、リング状濃染(rim APHE)はLR-Mの所見として区別
nonperipheral washout 門脈相・遅延相で周囲肝より低吸収/低信号になる(辺縁だけの抜けではない)
enhancing capsule 門脈相・遅延相で辺縁が平滑な濃染する被膜として見える
threshold growth 6か月以内に大きさが50%以上増大(v2018でOPTN基準にそろえた)

(Cunha 2021、Prajapati 2026)

症例 70歳代男性 慢性B型肝炎、検診で肝病変を指摘

肝細胞癌(LI-RADS 5) 造影MRI 動脈相 横断像
引用:Radiopaedia(LI-RADS 5 lesion)

後期動脈相の造影MRIで、肝右葉の末梢に約2.6cmの楕円形の病変が強く濃染しています(非辺縁性の動脈相濃染)。門脈相では造影が下がって淡い被膜が残り、約9か月前のMRIにはなかった新しい病変であることと合わせて、LI-RADS 5と判定された症例です。

LR-3〜LR-5の決め方(CT/MRI v2018の診断表)

動脈相濃染の有無、大きさ、それ以外の主要所見(washout・capsule・threshold growth)の数で決めます。

動脈相 大きさ 追加の主要所見の数
0 1 2以上
APHEなし 20mm未満 LR-3 LR-3 LR-4
20mm以上 LR-3 LR-4 LR-4
nonrim APHE 10mm未満 LR-3 LR-4 LR-4
10〜19mm LR-3 washout または threshold growth → LR-5
capsule のみ → LR-4
LR-5
20mm以上 LR-4 LR-5 LR-5

v2018の大きな変更点は、10〜19mmでnonrim APHE+washoutがあればLR-5としたことで、OPTNやAASLDとの整合が図られました(Prajapati 2026、Cunha 2021)。

その他のカテゴリー

カテゴリー 意味
LR-NC 画像の欠落・劣化で判定できない
LR-1 確実に良性(単純性嚢胞、典型的な血管腫など)
LR-2 おそらく良性
LR-M 悪性の可能性が高いがHCCとは限らない。標的状(targetoid)所見=rim APHE、peripheral washout、遅延性の中心部濃染。非標的状=浸潤性の形態、著明な拡散制限、壊死・虚血など
LR-TIV 静脈内に明らかな造影される腫瘍がある(tumor in vein)

(Cunha 2021)

LR-Mの代表は肝内胆管癌や混合型肝癌などで、HCCと治療方針が変わるため区別して報告します。

カテゴリーごとのHCCの割合

Cunha 2021 がまとめたメタアナリシスの結果(主にv2017・v2014を用いた研究)では、次のとおりです。

カテゴリー HCCの割合 悪性全体の割合
LR-3 38〜40% 34〜40%
LR-4 67〜74% 80〜81%
LR-5 92〜94% 97〜99%
LR-M 22〜36% 93〜99%

LR-4でも約3割はHCCではないため、確定ではありません。

補助所見(ancillary features)

補助所見は、検出や確信度を高めたり、カテゴリーを調整したりするために読影医の判断で使います。ルールは次のとおりです(Cerny 2018)。

  • 悪性一般・HCCを示唆する補助所見:1段階まで、LR-4を上限に引き上げられる(補助所見だけでLR-5にはできない)
  • 良性を示唆する補助所見:1段階まで引き下げられる
  • 悪性側と良性側の補助所見が混在するときは調整しない

補助所見はCT、細胞外液性造影剤のMRI、肝細胞特異性造影剤(EOB)のMRIのいずれでも評価できます(Cerny 2018)。EOB-MRIの肝細胞相の見方は EOB-MRI(プリモビスト造影MRI)とは? と、肝細胞相で抜けないHCCについては 肝細胞相で抜けない肝細胞癌(green hepatoma) を参照してください。

治療効果判定(LR-TR)

局所治療後の病変は診断アルゴリズムではなく治療効果判定アルゴリズム(TRA)で評価します。v2018では LR-TR Nonevaluable(評価不能)/Nonviable(おそらく・確実に生存なし)/Equivocal(判定保留)/Viable(おそらく・確実に生存あり) の4つで、結節状・腫瘤状の動脈相濃染、washout、治療前と同様の造影があればViableとします(Cunha 2021)。

その後、TRAは2024年版で放射線治療以外(焼灼・TACEなど)と放射線治療(Y-90など)に分けられ、放射線治療後には Nonprogressing というカテゴリーが加わりました(Hong 2026、Prajapati 2026)。一方、CT/MRIの診断アルゴリズムは2026年時点の総説でもv2018と記載されています(Prajapati 2026)。治療後の再発の画像所見は 肝細胞癌の治療後の局所再発のCT,MRI画像診断のポイント で解説しています。

よくある疑問(Q&A)

Q. LR-5なら生検しなくてよい?
A. 高リスク患者でLR-5なら、画像でHCCと診断できるとされます。ただ治療方針は肝機能や全身状態も含めて決まるので、主治医と相談してください。

Q. 脂肪肝だけの人にも使える?
A. 肝硬変のない脂肪性肝疾患には、現時点ではLI-RADSを当てはめません(Cunha 2021)。

Q. 日本のガイドラインとの関係は?
A. 日本では日本肝臓学会の肝癌診療ガイドラインで診断・治療の流れが示されています。

参考文献

  1. Chernyak V, Fowler KJ, Kamaya A, et al. Liver Imaging Reporting and Data System (LI-RADS) Version 2018: Imaging of Hepatocellular Carcinoma in At-Risk Patients. Radiology. 2018;289(3):816-830. PubMed
  2. Cerny M, Chernyak V, Olivié D, et al. LI-RADS Version 2018 Ancillary Features at MRI. Radiographics. 2018;38(7):1973-2001. PubMed
  3. Elsayes KM, Kielar AZ, Chernyak V, et al. LI-RADS: a conceptual and historical review from its beginning to its recent integration into AASLD clinical practice guidance. J Hepatocell Carcinoma. 2019;6:49-69. PubMed
  4. Moura Cunha G, Chernyak V, Fowler KJ, et al. Up-to-Date Role of CT/MRI LI-RADS in Hepatocellular Carcinoma. J Hepatocell Carcinoma. 2021;8:513-527. PubMed
  5. Prajapati T, Dev R, Chauhan U, et al. Liver Imaging Reporting and Data System (LI-RADS): A Comprehensive Review. Cureus. 2026;18(7):e113706. PubMed
  6. Hong CW, Hassan O, Tang F, et al. Diagnostic performance of CT/MRI LI-RADS radiation treatment response algorithm v2024 for Y-90 radioembolization. Eur J Radiol. 2026;204:113079. PubMed

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