EOB・プリモビスト造影剤
- MRI用肝細胞特異性造影剤
- マグネビスト(Gd-DTPA)にethoxybenzyl基が結合。
- 一般名:ガドキセト酸ナトリウム
- 60%は腎臓に排泄されるが、40%は各種トランスポーターにより肝細胞に取り込まれ、胆汁として(胆道系に)排泄される=肝細胞・胆道系特異性造影剤である。→Gd-DTPAと同様にdynamic MRIができる(血管内から細胞外液腔に達する)だけでなく、(10~)20分後に肝細胞から胆管が選択的に造影される(肝細胞相 hepatobiliary phase:HBP)。
つまり血流評価だけでなく、肝細胞機能の両者を併せて評価できる1粒で2度美味しい造影剤である。高分化肝癌や早期肝癌に対する有用性が最も期待されている。
EOBの取り込み、排泄の機序は?
【ラットの場合】
①類洞側から肝細胞への移行。OATP1を介した肝細胞への取り込み。
②胆汁への移行。肝細胞膜の毛細胆管側に局在するcMOATの関与した輸送。
※ヒトの機序は明確には分かっていない。
・取り込みに関与→OATP1B3など。
・排泄に関与→MRP2,3 であろう、というところまでは分かった。
※OATP=organic anion transporting polypeptide:肝細胞基底膜側(類洞側)に特異的に発現。幅広い基質特異性を有しており、胆汁酸、甲状腺ホルモンおよび様々な薬物の肝類洞側から肝細胞内への輸送に関与。
※MRP=multidrug resistance-associated protein
(HEPATOLOGY 2006;44:778–787)
EOB-MRIの弱点は?
- EOBは動脈相のピークの時間が通常の造影剤よりも短い→タイミングをはずすと動脈相でアーチファクトが出ることがある。
- 動脈相におけるアーチファクト→一過性呼吸困難による体動によるアーチファクトと考えられている。なので呼吸指導を徹底、短い呼吸停止、多相撮像でアーチファクトを補う。