小脳脚(cerebellar peduncles)は小脳と脳幹を結ぶ主要な白質線維束であり、上小脳脚(SCP)・中小脳脚(MCP)・下小脳脚(ICP)の3対からなります。
まず重要なポイントとして、
- 中小脳脚は同定しやすい。
- 上小脳脚、下小脳脚は同定しにくい。(矢状断像ならやや同定しやすい)。
という点です。
5mmスライスのCTの横断像を読影していると、すぐに同定できるのが中小脳脚です。それ以外はなかなかわからないこともしばしばある!ということを押さえておきましょう。
今回はこれらが画像でどのように見えるのかについてまとめました。
上小脳脚(SCP:Superior cerebellar peduncle):結合腕
- 上小脳脚は主に出力線維からなる小脳→中脳・視床の幹線である。
- 代表は歯状核赤核視床路(dentato–rubro–thalamic tract)で、歯状核から出た線維が中脳下部の上小脳脚交叉で交叉し、対側の赤核や視床(VA/VL)へ向かう。また網様体との連絡を介して姿勢・運動制御系にも関与する。
- 一方で入力線維として前脊髄小脳路も含み、小脳前葉内側部へ分布する。
MRIでの同定ポイント
- 横断像(上部橋〜下部中脳):中小脳脚のやや上方に認める。中小脳脚より細く5mmスライスでは同定できないこともある。
- 矢状断像:小脳上面から中脳へ向かう細い弓状束として追える。横断像よりも同定しやすい。

引用:radiopedia
上小脳脚は矢状断像では容易に同定できるが横断像だと細くわかりにくい。
臨床メモ
- PSPではSCP萎縮が診断補助となり得る(計測研究あり)。
- 脱髄・炎症・腫瘍浸潤などでもSCPに沿ったT2/FLAIR高信号を取り得るため、「細い束に沿って連続するか」を意識すると読みやすい。
中小脳脚(MCP:Middle cerebellar peduncle):橋腕
- 中小脳脚は入力線維の代表で、主として橋小脳路(pontocerebellar tract)からなる。
- 大脳皮質(一次運動野など)→橋核→(橋で交叉)→対側MCP→小脳半球、という「皮質−橋−小脳」回路の中核である。
MRIでの同定ポイント
- 横断像(橋レベル):橋の外側から小脳半球へ向かう最も太い左右対称の白質束。小脳脚の中で最もわかりやすい。

中小脳脚は太く横断像でも同定は容易。
臨床メモ
- MSA-CではMCP高信号や橋のhot cross bun signが知られるが、特異的ではない(鑑別が要る)。
- FXTASのMCP signは有名で、左右MCPのT2/FLAIR高信号として現れる。
- AICA領域の梗塞ではMCPが巻き込まれ得るため、DWIでMCPに沿った高信号を見たら後方循環の評価へ直結する。
下小脳脚(ICP:Inferior cerebellar peduncle):索状体+索状傍体
- 下小脳脚はほとんどが入力線維で、延髄上部背側から第4脳室下部の外側壁を形成する。
- 含まれる代表線維は、オリーブ小脳路(登上線維の起源)、後脊髄小脳路(同側の固有感覚入力)、前庭小脳路(平衡系)などである。
- さらに、前庭系などと強く結びつく内側成分として索状傍体(juxtarestiform body)がある。
MRIでの同定ポイント
- 横断像(延髄上部〜第4脳室下部):延髄の背外側に、外側壁を作るように走る束。ただし短く斜走するため、横断像では同定しにくい。
- 矢状断像:延髄背側から小脳下方(片葉・小節葉〜虫部寄り)へ向かう束として追える。

下小脳脚は中小脳脚と比べると斜走するため横断像でわかりにくい。矢状断像でも難しい。(個人の見解です。)
臨床メモ
小脳脚のまとめ
| 構造 | 別名 | 線維の主方向 | 軸位で目立つ高さ | 同定ランドマーク |
|---|---|---|---|---|
| 上小脳脚(SCP) | 結合腕 | 主に小脳出力(+前脊髄小脳路など入力少量) | 上部橋〜下部中脳 | 第4脳室吻側の外側縁→吻側で内側へ寄り交叉へ |
| 中小脳脚(MCP) | 橋腕 | 主に入力(橋小脳路) | 橋 | 橋外側の最大の白質束が小脳へ向かう |
| 下小脳脚(ICP) | 索状体(+索状傍体) | ほぼ入力(オリーブ・脊髄・前庭など) | 延髄上部〜第4脳室下部 | 延髄背外側/第4脳室下部の外側壁を作る |
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Study. (PMID: 39674591)
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