側頭葉幹とは？
- 側頭葉幹（temporal stem）（読み方は「そくとうようかん」）は、側頭葉と前頭葉をつなぐ白質。
- 狭小な領域に重要な線維路が密集するため、病変の波及（腫瘍・炎症・虚血・浮腫）や手術操作の影響が、視野障害・高次機能障害として出やすい部位として重要。
側頭葉幹を構成する主な線維路
側頭葉幹は「空間」として定義され、その内部を複数の重要な線維束が通過する。臨床的に特に重要なのは以下である。
- 鉤状束（uncinate fasciculus：UF）：前頭葉眼窩面〜前側頭葉（扁桃体周辺を含む）を連絡
- 下前頭後頭束（inferior fronto-occipital fasciculus：IFOF）：前頭葉と後方領域を連絡する長連合線維（側頭幹を通過）
- 前交連（anterior commissure）：両側側頭葉を結ぶ交連線維（側頭幹近傍を走行）
- 視放線の前方（Meyer’s loop）：側頭葉前方へ回り込む視放線で、損傷すると上四分盲が典型
側頭葉幹の正常解剖
- 冠状断像が正常解剖の把握に特に重要。
側頭葉の根や茎のように見える白質部分が側頭葉幹です。
参考文献
- Kier EL, et al. MR Imaging of the Temporal Stem: Anatomic Dissection, Tractography of the Uncinate Fasciculus, Inferior Occipitofrontal Fasciculus, and Meyer’s Loop of the Optic Radiation. AJNR (2004).
- Choi CY, et al. A Understanding of the Temporal Stem. J Korean Neurosurg Soc (2010).
- Yogarajah M, et al. Defining Meyer’s loop–temporal lobe resections, visual field deficits and diffusion tensor tractography. Brain (2009).
- Winston GP, et al. Optic Radiation Tractography and Vision in Anterior Temporal Lobe Resection. Ann Neurol (2012).
- Taoka T, et al. Diffusion Tensor Tractography of the Meyer Loop in Cases of Temporal Lobe Resection for Temporal Lobe Epilepsy. AJNR (2008).
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