骨転移とMRIで診断してならない赤色髄(限局性過形成骨髄)
- 前立腺癌患者などでのMRIにおける骨転移偽陽性症例には、変性、感染、血管腫など良性病変がある。
- もう一つ忘れてはならないのが骨髄内に島状、腫瘤状に孤立性に描出されることがある赤色髄(限局性過形成骨髄(Focal nodular marrow hyperplasia))。
- 赤色髄(限局性過形成骨髄)はDWI高信号、T1WI低信号、T2WI低信号となることがあり、骨転移と誤診しないように注意が必要。また、骨シンチは陰性だが、PET-FDG集積する。
- 骨転移ではないと診断するには、CTで骨硬化性病変がないこと、赤色髄には水・脂肪が40%程度ずつ含まれていることから、T1WIをよく観察すると一部に高信号を認めていたり、in phase→out of phaseで(20%以上の)信号低下を認める点を確認すること。
- ちなみに、脊椎血管腫もDWIで高信号となるがCTでのpolka dot signや血管腫にも脂肪が含有されるため、in phase→out of phaseで信号低下を認める点を確認する。
- 逆にいえば、in phase→out of phaseで信号低下を認めていたり、T1WIで内部に高信号な脂肪成分を同定できたら転移は否定できる。
症例 40歳代女性

引用:radiopedia
Th5に黄色骨髄と比べてT1WIで低信号、T2WIで低信号、STIRで等信号の均質な類円形骨病変を認めます。
またTh2にT1WI,T2WI,STIRいずれも高信号の病変を認め、こちらは脊椎血管腫を疑います。

フォローのMRIでは造影MRIが撮影されました。
Th2,5病変とも残存しており、Th2は血管腫らしく造影されるのに対して、Th5病変は造影効果を認めていないことがわかります。
Th5病変はもし担癌患者ならば転移も考えたくなる所見です。

ところが、Th5病変はin phaseからout of phaseにかけて信号の低下を認め脂肪の含有が示唆され、転移ではなく赤色髄(限局性過形成骨髄)であることがわかります。
関連記事:過形成骨髄=造血髄(赤色髄)化=再転換の画像診断、画像所見
参考文献:
- 画像診断 vol.37 No.14 2017 P1496
- 全身DWIBSドライブスルー P43-4
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