脊椎血管腫(vertebral hemangioma)
- 頻度の高い病態であり、真の腫瘍ではなく、過誤腫または静脈うっ滞による静脈奇形と考えられる。
- 胸椎>腰椎に多い。他、同様の病態は頸椎や頭蓋骨、下顎骨にも認められる。
- 画像所見では、血流異常による、骨吸収、残存骨梁の肥厚、造血組織の脂肪への置換が反映される。
- 通常無症状であるが、ごく稀に骨内外に軟部腫瘤を形成し、脊髄を圧迫することあり。Aggressive hemangiomaと呼ばれる。
脊椎血管腫のCT、MRI画像所見
- CTでは、限局性の骨濃度低下域、その内部に粗大化した骨梁(横断像でpolka-dot appearance)を認める。冠状断像や矢状断像ではcorduroycloth appearance、jail bar appearanceなどと呼ばれる。
- MRIでは、典型例ではT1WI高信号(脂肪を反映)、T2WIでさらに高信号を呈する。不整形なT1WI高信号では限局的な黄色髄(脂肪髄)が考えやすい。
- T1WIで低信号を呈することもあり、この場合は骨転移など悪性腫瘍との鑑別が重要。
- Aggressive hemamgiomaと呼ばれる病変では脂肪が少なく血管成分が多く、椎体外に進展する。血管造影では椎体動脈の拡張、造影剤のpooling像、通常の椎体の血流分布をこえた椎体全体の造影効果が言われている。
症例 50歳代男性 スクリーニング
Th9に限局性の骨透亮像、および内部にドット状の骨梁を認めています。
これは形状が水玉模様であることからpolka-dot appearance と呼ばれ、脊椎血管腫を示唆する所見です。
矢状断像では縦方向の骨梁構造を認めています。
脊椎血管腫(Th9)と診断されました。
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症例 70歳代女性 スクリーニング
CTにおいて腰椎に限局的な骨濃度低下域を認めます。
内部には粗大化した骨梁あり。
単純CTの冠状断像です。
椎体を縦に走る骨梁構造を認めています。
椎体の血管腫を疑う所見です。
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鑑別(T1WIで高信号を呈する椎体変化)
- 骨内脂肪腫:血管腫の亜型
- 限局性脂肪髄