総胆管結石(CBD stone)とは

  • 総胆管結石(CBD(common bile duct) stone)は総胆管の閉塞-狭窄の原因となり、閉塞性黄疸を起こす。
  • 感染を伴えば、胆管炎の原因となる。
  • 症状は、黄疸、発熱、右季肋部痛など。
  • 閉塞性化膿性胆管炎をきたしうるため、早期診断が必要。
  • 治療は、閉塞性黄疸を生じていたら、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)および内視鏡的乳頭術(EST)と結石除去が第一に行なわれることが多い。経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD)による治療が施行されることがある。
  • 急性閉塞性化膿性胆管炎を併発していたら、早急にドレナージが必要。

総胆管結石の画像診断

  • 感度は、超音波が30%程度、超音波内視鏡が90%程度、CTが80%程度、MRIが90%以上。
  • 単純CTでは高吸収で見られる(ビリルビンカルシウム石や混合石)ことがあるが、造影すると逆に周囲組織の造影効果により見えにくくなる。なので、単純CTの撮影が必要。(これを「消える魔球!!」と絶妙に表現(by谷掛雅人先生(京都市立病院)))
  • CTでは総胆管結石はしばしば同定できないので注意。CTで見えないから総胆管結石がないとは絶対に言えない。

※胆石に比べると、ビリルビンカルシウム石や混合石が多い(6割程度)ため、胆嚢結石よりはCTで描出されやすい。

  • MRIでは、色素石はT1WIで高信号、T2*WI低信号(微量の鉄)を呈する。
  • T2WIで胆汁の高信号内の陰影欠損として結石は描出される。
  • MRCPでの総胆管結石の感度と特異度は90%以上で、特に3mm異常の結石の描出は可能。

ただし、以下のpitfallに注意が必要です。

MRCPで総胆管結石を診断する際のpitfall

  • 下部胆管内の結石は、周囲に液体が乏しいことがあり、結石がdefectとして描出されないことがある。
  • pneumobiliaや胆汁の流れによるアーチファクトがある。これらの鑑別は仰臥位でのT2WIの横断像が有用であり、胆石や胆砂は背側に、pneumobiliaは腹側に無信号域を認める(pneumobiliaの場合は鏡面形成(air-fluid level)を形成することもある)。また、胆汁の流れによるアーチファクトは中心部に認める(中心部で流速が大きく、辺縁部では流速が小さい層流となるため)。
  • 金属クリップや金属ステントがアーチファクトとして偽病変となることがある。

関連記事:MRCPにおける胆汁の流れによるアーチファクト、総胆管結石との鑑別は?

症例 80歳代女性 腹痛、閉塞性黄疸

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肝内胆管の拡張所見あり。

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単純CTでは下部総胆管に明瞭な高吸収結石を認めるが、造影すると不明瞭になっている!!(これが消える魔球

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ESTにて総胆管結石が取り除かれました。

症例 30歳代男性

CBDSTONE

造影CTで肝内胆管の拡張を認めています。また総胆管下部には結石を認めています。

症例 60歳代男性

CBDstone

下部総胆管に結石を認めています。MRIの方が明瞭ですね。

症例

CBD stone CBD stone1 CBD stone2 CBD stone3

CTよりもMRIで明瞭に総胆管結石を認めています。

動画で学ぶ総胆管結石
胆管炎の原因
  • 総胆管結石
  • 胆管狭窄
  • 悪性腫瘍(胆管癌あるいは膵癌)
  • 吸虫類の浸潤

関連記事:急性胆管炎のCT画像所見のポイントはコレ!

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