MRCPは、胆道を画像化し、総胆管結石などの診断に有用です。
しかし、総胆管には胆汁の流れによるアーチファクトが生じることがあり、総胆管結石との鑑別が問題となることがあります。
そこで今回はどのような所見ならばこのアーチファクトと考えられるかについてまとめました。
胆汁の流れによる信号低下の出現部位は?
- 胆汁の流れにより総胆管内に低信号のアーチファクトを生じることがある。
- 典型的には、胆嚢管が総胆管に合流する辺り、拡張した総胆管の下端などで観察されやすい。
- 間欠的な胆嚢の収縮やoddi括約筋の弛緩などによるタイミングにより生じるとされる。
- 横断像での2D撮影の方が、3D法に比べてこのアーチファクトが起こりやすい。
- 総胆管結石は総胆管の下方、胆汁の流れによるアーチファクトは総胆管の中心部が低信号となる。一方、総胆管内の空気は上方が低信号となる。
症例 80歳代 男性 スクリーニング
T2WIで総胆管の中心部に低信号域を認めています。
そのやや尾側にも総胆管の中心部に低信号を認めています。
3DのSPACEでこの場所を確認してみましょう。
この低信号部位とSPACEの該当箇所を見てみますと、結石はなさそうです。
これが、胆汁の流れによるflow voidアーチファクトです。
胆汁の流れによるこのアーチファクトは総胆管の中心部に低信号として認めるのが特徴です。
参考症例 80歳代男性 発熱、肝胆道系酵素上昇
総胆管下部の背側側に低信号あり。
総胆管結石を疑う所見です。
総胆管結石による胆管炎と診断され、ERCPが施行されました。
参考:
- 画像診断 Vol.41 No.6 2021 P576-578
- 画像診断 Vol.23 No.2 2003 P176