急性胆管炎は胆管に何らかの狭窄や閉塞が生じて逆行性感染により生じます。

胆道内圧上昇が上昇したところに細菌感染が起こると、細菌やエンドトキシンが血液に移行し、敗血症となり、DICから多臓器不全、さらには命に関わる病気です。

ですので、いかにこの胆管炎を早期に診断するかということが非常に重要です。

急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドラインによると急性胆管炎の診断基準は以下のようになっています。

診断基準にもあるように、画像所見(主にCT、MRI)の項目もあります。

今回は胆管炎のCT画像所見についてまとめました。

そもそも胆管炎とは?

胆管炎の原因としては、総胆管結石が最多です。

上のように総胆管結石により、肝内胆管〜総胆管が拡張し、閉塞性黄疸の状態になります。

ここに細菌感染が加わると、細菌やエンドトキシンが血液に移行し、敗血症となり、DICから多臓器不全、さらには命に関わる病気です。

ですので、治療としては、胆汁のうっ滞を解除することが必要となります。

では、胆管炎のCT画像所見はどのようになるのでしょうか?

胆管炎のCT画像所見

胆管炎が起こっている場合、CT画像で必ずしも所見があるわけではありません

ですので、画像よりも症状や採血所見などがまず重要です。

CT画像で所見がある場合には、以下の所見が得られることがあります。

胆管の変化

胆管の変化としては次のような所見が見られます。

  • 胆管(肝内胆管〜総胆管)の拡張(総胆管>8-10mm)
  • 胆管壁の肥厚・造影効果増強
  • 胆管内に結石などの閉塞機転(総胆管結石、腫瘍など)

肝実質の変化

  • ダイナミックCTの造影早期相で不均一な造影効果(平衡相では均一に戻る。)

を認めることがあります。

胆嚢は基本的に異常は認めません。

ただし、胆嚢管合流部よりも下部で閉塞を認める場合は、拡張することありますし、また胆嚢炎を合併することもあります。

これらの所見を丁寧に拾い、臨床所見と併せて診断することが重要です。

画像診断により急性胆管炎を診断することは困難と言われています。

造影効果の増強や、ダイナミックCTでの早期相での不均一な造影効果を見るには、ダイナミックCTを撮影することが必要です。

ただし、造影により総胆管結石が見えにくくなることがありますので、造影CTを撮影する場合でも、単純CTも併せて撮影することが望まれます。

逆に、とくに単純CTだけの場合は、胆管の拡張、胆管内の閉塞機転の有無くらいしか所見は得られません。

では、実際のCT画像を見てみましょう。

症例 60歳代 男性 発熱、黄疸 腹部造影CT

腹部造影CTで肝内胆管〜総胆管の拡張を認めています。

下の冠状断像では、総胆管の拡張・総胆管壁の造影効果の増強、さらには総胆管下部には結石を疑う高吸収域を認めています。

横断像で見てもその様子がよくわかります。

他の検査や、症状などと併せて、総胆管結石に伴う閉塞性黄疸及び急性胆管炎と診断されました。

症例 30歳代 男性

造影CTの冠状断像です。

胆嚢摘出後で、胆嚢管の遺残を認めています。

  • 総胆管の拡張(11mm)
  • 総胆管の造影効果増強
  • 総胆管結石を疑う高吸収域

を認めています。

MRIのT2強調像の横断像では総胆管の下部に低信号を認めており、総胆管結石を疑う所見です。

他の検査や、症状などと併せて、総胆管結石に伴う閉塞性黄疸及び急性胆管炎と診断されました。

症例 90歳代 男性

ダイナミックCTの早期相の横断像です。

肝内胆管の拡張及び、肝臓のまだらな造影効果を認めています。

平衡相の冠状断像では、

  • 総胆管の拡張
  • 総胆管の造影効果増強
  • 総胆管下部に高吸収な総胆管結石

を認めています。

こちらの症例も他の検査や、症状などと併せて、総胆管結石に伴う閉塞性黄疸及び急性胆管炎と診断されました。

ERCPが施行され、総胆管結石が取り除かれました。

関連記事:総胆管結石の画像診断のポイント!症状、原因、治療は?

最後に

CTを中心に胆管炎の画像所見についてまとめました。

肝内胆管〜総胆管拡張を認めた場合は、単純CTであっても、胆管炎を鑑別にあげることが重要です。

ただし、胆管の拡張を示す疾患=胆管炎ではもちろんなく、

といった疾患が挙げられますので、他の情報と合わせて総合的に診断することが求められます。

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