高血圧性脳出血の診断のポイント

60〜70歳代に好発する。ただし若年発症もある。

被殻>視床>橋、小脳、皮質下好発部位である。

・出血近傍に脳血管奇形や脳腫瘍など二次性出血の原因となるような疾患がない

・深部穿通動脈に高血圧性のラクナ梗塞や出血の既往がある。(必須ではない)

なぜ基底核や視床、脳幹、小脳に出血が多いのか?

・これらの部位への穿通枝は、中大脳動脈や後大脳動脈、脳底動脈などの血管径の大きい動脈から直接分枝するため、血圧の影響を受けやすいから。

責任動脈を覚えておく。
  • 被殻:中大脳動脈M1からの外側線条体動脈
  • 視床:後大脳動脈からの視床への穿通動脈
  • 脳幹(橋):前下小脳動脈、上小脳動脈(脳底動脈からの回旋枝)
  • 皮質下:髄質動脈(中大脳動脈からの表在穿通枝)

※それぞれの血管支配域については、頭部画像診断ツールにてご確認ください。

逆にどのようなときに非高血圧性を考えればいいですか?
どんなときに非高血圧性を考えるか?
  • そもそも既往歴、現症に高血圧がない場合。
  • 部位が高血圧性に典型的ではない場合(小脳歯状核以外の小脳出血、橋以外の脳幹出血、脳室内出血、皮質下出血)
  • 50歳未満の発症例。
  • 血腫周囲に異常所見(腫瘍や異常血管など)がある場合。
  • 短期間で再発を繰り返す脳出血。
  • 心房細動、担癌患者、凝固能異常の発症例。

→更なる精査が必要。

参考)CTA spot sign:CTAの元画像で、急性期脳内出血の内部に血管と連続しない点状の増強効果のことで、これがあれば血腫増大や予後不良のサインとされる。

なるほどやはり部位が特に大事なんですね。そもそも非高血圧性の原因ってどんなものがあるんですか?

非高血圧性出血の原因

結構たくさんありますね…。
そうですね。高血圧性ぽくないな、と思ったら年齢や臨床情報を参照にして、鑑別診断を挙げましょう。

非高血圧性脳出血を疑うときMRIでどのように見るか?

・T2WI:flow voidを呈する異常の血管がないかを探す。

・FLAIR:SAHおよび静脈洞血栓の有無をチェック。

・SWI:静脈奇形の描出、微量の出血、静脈うっ滞をチェック。

・造影MRA:動脈解離、粥腫、静脈洞血栓、脳動静脈奇形、静脈奇形をチェック。

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