脳出血の局在と原因
・まず大きく、高血圧によって起こる脳出血と、そうでない脳出血に分けられる。
・高血圧性出血は、高血圧により穿通動脈に圧が加わり、微小動脈瘤形成→破綻によりおこる出血。
・高血圧性出血は、穿通動脈が分布する被殻(4割)、視床(3割)>小脳歯状核、橋、皮質下で起こりやすい。脳内出血の8割を占める。
・非高血圧性出血の可能性を考慮するのは、皮質下出血、脳室内出血、小脳出血(歯状核以外)、脳幹出血(橋以外)、多発出血。
※ただし、皮質下出血でも5割は高血圧性。
逆に非典型的な部位に出血を認めたら、他の原因も考慮しましょう。
随伴所見をチェック
脳室穿破を起こしやすい出血と部位
- 被殻出血→側脳室
- 視床出血→側脳室や第3脳室
- 小脳・脳幹出血→第4脳室
・水頭症は手術や脳室ドレナージの適応となるので、チェック。
・脳ヘルニアの有無、SAHの有無をチェック。
脳出血の大きさと手術適応
・出血の部位に関係なく、血腫量10ml未満(直径2.5cm以下)ならば手術適応なし。
手術を考慮
- 被殻出血:血腫量が31ml以上(直径4cm以上)、圧迫が高度な場合。
- 小脳出血:最大径が3cm以上。神経学的症候が増悪している場合。
- 皮質下出血:脳表からの深さが1cm以下。
※なので大きさを測定して記載する。ここから分かるように、橋出血など脳幹出血や視床出血には原則的に手術適応はない。
4cmの根拠
・血腫量の計算式:「楕円形の体積≒長径×短径×高さ÷2」で計算する。4cmを代入してみると、血腫量=4×4×4÷2=32ml>31mlとなるので、4cmが手術適応の目安となる。
手術非適応
- 10ml以下の小出血。
- 昏睡状態(JCSⅢ-300)
- 脳幹出血。
手術の種類
・開頭血腫除去術:皮質下や被殻、小脳の大出血。脳ヘルニア改善目的など。
・定位的血腫除去術:穿頭範囲が限局的。被殻出血や小脳出血。
・神経内視鏡による血腫除去術:開頭除去り限局的。大きな皮質下出血や小脳出血が適応。
・脳室ドレナージ:水頭症
血腫のフォローと周囲浮腫について
・血腫は発症後6時間までは2割の症例で増大するのでフォローが必要。
・周囲の血管性浮腫の増悪をきたすので、発症直後に症状が安定していても、初回CTの6-12時間後に経過観察の2回目の撮影が必要。
・周囲浮腫は発症時は軽微だが、3〜5日後に最大となる。その後、CTでは、3〜4週間で等吸収となる(嚢胞化する)。