血管芽腫(血管芽細胞腫)(hemangioblastoma)
- 成人の後頭蓋窩脳腫瘍(小脳血管芽腫)として発生する事が多い。後頭蓋窩腫瘍の7%。
- 成人の後頭蓋窩脳腫瘍では、転移性脳腫瘍>血管芽腫の2種類が重要。
- 部位は小脳(80-85%)、脊髄(3-13%)、延髄>テント下は稀。
- 症状は頭痛、平衡障害、めまい。
- 40〜60歳に多い。
- 散発性が75%、von Hippel-Lindau病(VHL)が25%。
- WHO gradeⅠの緩徐に発育する良性腫瘍。
- VHL例の単発性血管芽腫では、2/3に複数の病変が発生する。
- 治療は外科切除±術前塞栓術。
- 10年生存率は85%。再発率は15%。
画像所見
- 嚢胞+壁在結節のパターンが6割、充実性腫瘤のパターンが4割。
- 軟膜に接する壁在結節を有する嚢胞性病変が最も特徴的な所見。
- 壁在結節には造影効果あり、嚢胞には造影効果なし。(壁在結節以外には腫瘍細胞は存在せず、壁はグリオーシス)
- 全体が充実性のものもあり、その場合はテント上に多い。
30歳代女性 頭痛で救急外来受診
▶キー画像
小脳に嚢胞性病変を認めています。
T2WIで高信号であり、やはり嚢胞であることが確認できます。
造影T1WIでは嚢胞+壁在結節の形で、壁在結節に造影効果を認めます。
矢状断像でもその様子がよくわかります。
血管芽腫に典型的です。
嚢胞+壁在結節のパターンの鑑別診断
- 毛様細胞性星細胞腫(pilocytic astrocytoma)
- 血管芽腫(hemangioblastoma)←★
※これら2つは嚢胞内壊死、充実腫瘤の形態も取りうる。 - 神経節膠腫(ganglioglioma)
- 多形黄色星細胞腫(PXA:pleomorphic xanthoastrocytoma)
- 線維形成性乳児神経節膠腫(Desmoplastic infantile ganglioglioma)
いつもお世話になっています。
嚢胞+壁在結節のパターンの鑑別診断に「多形黄色星細胞腫(PXA:plemorphic xanthoastrocytoma)」と有りますが「多形黄色星細胞腫(PXA:ple”o”morphic xanthoastrocytoma)」の単なる誤植ではないでしょうか?
多形を表す連結語はpleo-だと存じますし、該当内容のページではそうなっていたのでこう考えました。
修正しました。