脈絡叢嚢胞(choroid plexus cyst)
- 脈絡叢内の神経上皮嚢胞neuroepithelial cystで、しばしば両側性。成人の脳室内腫瘤として最多で、画像検査で40%に認められる。剖検では50%以上の症例で見つかる。
- 小児では胎児発達過程で1%で認められ、発達とともに頻度が減少する。
- 大半は側脳室三角部脈絡叢内が最多。
- 通常2cm以下(2-8mm)で無症候。多発することあり。
- 稀に大きいものがあり、髄液循環障害を来して頭蓋内圧亢進、頭痛を来すことがある。
脈絡叢嚢胞のMRI所見
嚢胞は
- T1強調像、T2強調像で脳脊髄液よりやや高信号〜等信号
- FLAIRで脳脊髄液よりやや高信号
- DWIにて比較的強い高信号
を呈する。
- Gdによる増強効果は壁にあることあり。内部には通常造影効果なし。
症例 60歳代男性 スクリーニング
両側側脳室三角部にて
- DWIで高信号
- T2WIで髄液と等信号
- FLAIR像でやや高信号
あり。
脈絡叢嚢胞を疑う所見です。
症例 80歳代男性
両側側脳室三角部にて
- DWIで高信号
- T2WIで髄液と等信号
- FLAIR像でやや高信号
あり。
脈絡叢嚢胞を疑う所見です。
症例 50歳代男性 スクリーニング
FLAIR像
両側側脳室三角部にFLAIR像にて髄液とほぼ等信号の構造あり。
T2WI
両側側脳室三角部にT2強調像にて髄液とほぼ等信号〜やや高信号?の構造あり。
脈絡叢嚢胞を疑う所見です。
動画で学ぶ脈絡叢嚢胞の画像診断
鑑別
xanthogranuloma(黄色肉芽腫)
- 側脳室三角部に好発。
- T1高信号、T2低信号を呈する。
- DWIにてときに高信号を呈する。
髄膜腫
- 境界明瞭、辺縁平滑、均一に良く造影、主に三角部
他
- 転移
- NF2での大きな脈絡叢
- 石灰化