先に結論:神経節膠腫(ganglioglioma)

  • 神経節膠腫は小児〜若年成人の側頭葉に多い良性腫瘍で、薬が効きにくい慢性側頭葉てんかんの代表的な原因です
  • 画像は嚢胞+壁在結節や充実性腫瘤で、石灰化や頭蓋骨内板のなだらかな菲薄化(remodeling)を伴うことがあります
  • WHO分類2021ではCNS WHO grade 1で、摘出によりてんかんも改善することが多いです(旧分類のgrade3「退形成性神経節膠腫」は2021年版で独立した型から外れました)

神経節膠腫(Ganglioglioma)/神経節細胞腫(gangliocytoma)

  • 好発年齢は小児〜若年成人で、10歳代に診断されることが多い。小児348例では63%近くが10歳を超えてからの診断で、男児が59.8%とやや多かった(Dudley 2015)。成人703例では診断時の年齢の中央値は32歳でした(Lin 2021)。
  • 若干男性に多い。
  • まれな腫瘍で、全脳腫瘍に占める割合は小さい。
  • 良性の場合が多いが、子供の場合は難治性の痙攣。
  • 薬剤抵抗性てんかんの手術例では海馬硬化(36.4%)に次いで腫瘍(23.6%)が多く、その腫瘍の大部分を神経節膠腫が占める。大部分がてんかん発作で発症する。
  • 好発部位は大脳半球の辺縁。側頭葉に最も多い。側頭葉の割合は小児で約50%(Dudley 2015)、成人で38.8%(Lin 2021)と報告されています。
  • WHO分類2021ではCNS WHO grade 1とされ、旧分類のgradeⅢ(退形成性神経節膠腫)は独立した型から外れた。摘出すれば完治しててんかんもおさまることが多いが、まれな悪性の経過をとる例は再発を繰り返し予後が悪い。
  • 神経節細胞腫はgrade Ⅰに分類され、悪性化は認められない。一方で神経節膠腫は、神経節細胞腫の中に存在するグリアが腫瘍性をもって増殖しているもの。

画像所見

  • 嚢胞+壁在結節、充実腫瘤、嚢胞などの形態をとる。小児では嚢胞性であることが多い。
  • 石灰化を伴うことがある。周囲浮腫は乏しいことが多く、成人より小児・青年で少ない。
  • 充実部のCT値は低吸収〜高吸収までさまざま。
  • T1WIで等〜低信号、T2WIで不均一な高信号を呈する。
  • 造影効果は様々。嚢胞壁が造影効果を示す事もあるがないこともある。
  • ADCは高値のことが多い。
  • 髄膜播種はまれ。
  • 周囲骨(頭蓋骨)のremodelingを来す。
  • perfusionにてHigher rCBVを呈する。

MRIでの見え方(小児と成人の違い)

  • 32例の検討では、多くが大脳の辺縁(特に側頭葉)にあり、T1強調像で低〜等信号、T2強調像/FLAIRで高信号、造影では不均一な結節状の増強が主体でした。腫瘍周囲の浮腫は小児・青年で少なく、強い造影効果は成人で多い結果でした(Zheng 2024)。

鑑別診断

腫瘍 神経節膠腫との見分け方
胚芽異形成性神経上皮腫瘍(DNET) 皮質に沿った多房性・泡沫状の形が多く、造影効果は乏しいことが多い。神経節膠腫と同じく周囲浮腫は目立たない(Koeller 2001)
多形黄色星細胞腫(PXA) 脳表・髄膜に接する大きめの嚢胞+造影される結節。髄膜側の造影される軟部成分が手がかり(Koeller 2001)
毛様細胞性星細胞腫 嚢胞+壁在結節の形が似るが、小脳や視神経・視床下部に多い

※名前の似た「ガングリオニューローマ(ganglioneuroma、神経節腫)」は、交感神経節など末梢の神経から後縦隔・後腹膜・副腎などにできる別の腫瘍です。脳にできる神経節細胞腫(gangliocytoma)や神経節膠腫とは区別して検索してください。

症例 30歳代女性 (臨床情報なし、けいれん発作が想定される症例)

神経節膠腫 MRI 造影T1強調像 横断像
引用:Radiopaedia(Ganglioglioma)

造影T1強調像で、右側頭葉内側に強く造影される結節を認めます。T2強調像・FLAIRでは高信号を示し、拡散制限や石灰化はみられませんでした。病理で神経節膠腫(WHO grade 1)と診断された症例です。

神経節膠腫でよくある疑問(Q&A)

Q. 悪性ですか?
A. WHO分類2021ではCNS WHO grade 1です(Louis 2021)。成人の検討では全摘出後の5年・10年生存率は92.5%・87.2%でした(Lin 2021)。

けいれん発作など気になる症状があれば、医療機関に相談してください。

あわせて読みたい:胚芽異形成性神経上皮腫瘍の画像診断(DNT)

参考文献

  1. Louis DN, Perry A, Wesseling P, et al. The 2021 WHO Classification of Tumors of the Central Nervous System: a summary. Neuro Oncol. 2021;23(8):1231-1251. PubMed
  2. Koeller KK, Henry JM. From the archives of the AFIP: superficial gliomas: radiologic-pathologic correlation. Radiographics. 2001;21(6):1533-56. PubMed
  3. Blumcke I, Spreafico R, Haaker G, et al. Histopathological Findings in Brain Tissue Obtained during Epilepsy Surgery. N Engl J Med. 2017;377(17):1648-1656. PubMed
  4. Dudley RW, Torok MR, Gallegos DR, et al. Pediatric low-grade ganglioglioma: epidemiology, treatments, and outcome analysis on 348 children from the surveillance, epidemiology, and end results database. Neurosurgery. 2015;76(3):313-9. PubMed
  5. Lin X, Huang R, Zhang P, et al. Low-grade gangliogliomas in adults: A population-based study. Cancer Med. 2021;10(1):416-423. PubMed
  6. Zheng X, Huang Q, Guo SL, et al. Comparison of Imaging Characteristics of Gangliogliomas between Child/Adolescent Group and Adult Group. Curr Med Imaging. 2024;20:e060923220755. PubMed

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