先に結論:けいれん重積後の脳MRI

  • けいれん重積の後には、DWI・FLAIRで皮質〜皮質下、海馬、視床枕などに血管支配域に一致しない高信号が出ることがあります
  • これは神経の過剰な興奮による一時的なむくみ(細胞性浮腫)で、多くは数日〜数週で消えます(一部は萎縮を残します)
  • 脳梗塞や腫瘍などと見た目が似ることがあるため、けいれんの病歴・血管支配域との関係・血流(過灌流か)・経過観察の画像で区別します

痙攣後脳症(痙攣重積後脳症)

  • 痙攣重積の原因:急性、慢性疾患を含み、てんかん、感染症、脳症、熱性痙攣、血管障害、外傷、腫瘍から特殊な症候群までさまざま。
  • 原因の同定が治療方針決定に重要。
  • 画像所見は多彩。
  • DWIやT2WI、FLAIR像で、皮質から皮質下にかけて血管支配域に一致しない高信号域を認める。海馬、視床枕病変が特徴的(Bosque Varela 2023)。けいれん重積206例では拡散制限が27%、FLAIR変化が18%にみられ、FLAIRよりも拡散強調像で異常が見つかりやすい(Bosque Varela 2023)。
  • 拡散強調像の高信号は、発作の持続による細胞性浮腫を主に反映すると考えられている。血管性浮腫が加わることもあり、その意味づけは文献で一定していない(Mendes 2016)。
  • 通常この所見は一過性である。けいれん重積206例の前向き研究では約45%に発作周辺期のMRI異常がみられ、その59%は1週間以内に消失し、残る例の多く(再検した24例中19例)も約3週間後には消失していた。
  • ASLなどの灌流画像では、発作部位に一致した血流増加(過灌流)がみられることがある(けいれん重積の37%、Bosque Varela 2023)。拡散強調像の変化と過灌流の部位はよく一致する(Szabo 2005)。96論文・575例をまとめた総説では、最も多い所見は拡散制限(DWI高信号・ADC低下)とT2高信号で、部位は内側側頭葉と大脳新皮質が多く、視床や視床枕にもみられた。発作に伴う浮腫を腫瘍と見誤ったり、逆に腫瘍を発作後の変化と見誤ったりしないよう、経過観察の画像が重要とされている。

症例 10歳女性 痙攣重積

引用:Radiopaedia

両側大脳皮質や左基底核にDWI高信号、ADC低値を認めています。

FLAIRで高信号および腫大を認めています。

痙攣後脳症(痙攣重積後脳症)と診断されました。

関連記事:脳MRIでDWI(拡散強調像)で高信号を見たときの鑑別診断は?

痙攣後脳症と脳梗塞の見分け方

痙攣後脳症(発作に伴う変化) 脳梗塞
分布 血管支配域に一致しない。皮質、海馬、視床枕に多い 血管支配域に一致する
血流(ASL・灌流画像) 増加(過灌流)のことがある 低下する

てんかんのMRIで何がわかる?

初めての発作で受診した成人764例のMRIで、てんかんの原因になりうる病変が見つかったのは177例(23%)、焦点発作の人では53%でした(Hakami 2013)。MRIが正常でもてんかんは否定できません。

  • 焦点発作で多い病変はグリオーシス・脳軟化(49%)、次いで腫瘍(15%)、海綿状血管腫(9%)、内側側頭葉硬化症(海馬硬化症, 9%)でした(Hakami 2013)。

※けいれんや意識がとぎれる発作があったときは、神経内科・脳神経外科などの医療機関を受診してください。

関連記事:海馬硬化症(内側側頭葉硬化症)のMRI画像診断|側頭葉てんかんの原因

参考文献

  1. Szabo K, Poepel A, Pohlmann-Eden B, et al. Diffusion-weighted and perfusion MRI demonstrates parenchymal changes in complex partial status epilepticus. Brain. 2005;128(Pt 6):1369-76. PubMed
  2. Bosque Varela P, Machegger L, Oellerer A, et al. Imaging of status epilepticus: Making the invisible visible. A prospective study on 206 patients. Epilepsy Behav. 2023;141:109130. PubMed
  3. Chatzikonstantinou A, Gass A, Förster A, et al. Features of acute DWI abnormalities related to status epilepticus. Epilepsy Res. 2011;97(1-2):45-51. PubMed
  4. Williams JA, Bede P, Doherty CP. An exploration of the spectrum of peri-ictal MRI change; a comprehensive literature review. Seizure. 2017;50:19-32. PubMed
  5. Mendes A, Sampaio L. Brain magnetic resonance in status epilepticus: A focused review. Seizure. 2016;38:63-7. PubMed
  6. Cartagena AM, Young GB, Lee DH, et al. Reversible and irreversible cranial MRI findings associated with status epilepticus. Epilepsy Behav. 2014;33:24-30. PubMed
  7. Hakami T, McIntosh A, Todaro M, et al. MRI-identified pathology in adults with new-onset seizures. Neurology. 2013;81(10):920-7. PubMed

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