【胸部】TIPS症例35
【症例】70歳代女性
【現病歴】中葉舌区症候群(NTM疑い)でフォローされている。
【生活歴】喫煙:20本/日、20-66歳まで、飲酒なし
画像はこちら
両側上葉を中心に認める変化は何?
左の上葉の胸壁沿いに気腫性変化を認めています。
壁の構造はほとんど認めません。
傍隔壁型肺気腫を疑う所見です。
傍隔壁型肺気腫に加えて小葉中心性肺気腫も認めていることがわかります。
皆さんの環境ではできませんが、気腫を見やすい濃度に調節すると、その様子が明瞭です。
- 小葉中心性肺気腫
- 傍隔壁型肺気腫
ともに喫煙が関与し、このように混在することもあります。
ただし、傍隔壁型肺気腫のみの場合は、CTにおける低吸収域の範囲の割に肺機能が低下しないことが特徴とされています。
診断:傍隔壁型肺気腫+小葉中心性肺気腫
関連:COPD(慢性塞性肺疾患)のCT画像診断のポイントは?
【胸部】TIPS症例35の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
肺野の透過性のみ亢進して、血管影が目立たない場合をよく見かけます。このような場合、「肺野の透過性亢進」として所見としていますが、実際どのように記載すれば良いのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>「肺野の透過性亢進」として所見としています
これでよいですよ。あるいは気腫性変化ありと記載すればよいですが、同じことですね。
傍隔壁型肺気腫のみの場合は、CTにおける低吸収域の範囲の割に肺機能が低下しないことが特徴とされています。とご教示いただきこっちのほうが軽いのかと思いましたが気胸の原因になるという記載もあり、どっちのほうがましというものでもなさそうですね。判別はつけれたほうが良いのは間違いなさそうですが。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>どっちのほうがましというものでもなさそうですね。
気胸も大変ですが、やはり肺機能の低下の方が予後は悪いですね。
肺気腫の中でも種類と機能的な特徴が違うんですね。全然知りませんでした。
アウトプットありがとうございます。
一応3つに分類されていますので、今回紹介させていただきました。
その目で見てみると、小葉中心性タイプ、傍隔壁型タイプと分類できることもあるので、分類する意義もあるのだなあと実感できますよ。
なんとなく肺気腫だなあと思っていたのですが,しっかり区別するポイントを踏まえて読影するようにしないとダメですね.
アウトプットありがとうございます。
>しっかり区別するポイントを踏まえて読影するようにしないとダメ
ダメというわけではないですが、一応区別されているので紹介しています。
なんとなく肺気腫だなあでとりあえずはOKですが、3つに分けられることを知っていると、なぜ気腫性変化に偏りがあるのかなども理解できますね。
こんばんは。
本日もご解説ありがどうございました!
嚢胞と気腫の違い、さらには気腫の分類についてだいぶんすっきりと整理されました。
『Lesson!胸部画像の読み方』という本にもごろ〜先生がおっしゃっていることと同じようなことが書いてありました!
まとめると、
①気腫は主に喫煙が原因で、肺胞壁がいつの間にか溶けてなくなってしまってできたがらんどうな空間。何億個も集まっている肺胞のうちいくらかがいつの間にかなくなって空気だけになってしまった空間。
②嚢胞は肺の中にできた袋のこと。例えば気腫の縁が膠原繊維などで裏打ちされ、空気の溜まった空間と肺胞の間に壁ができると、その場所は袋のようになるので嚢胞と呼ぶ。嚢胞にはこのように気腫からできるものだったり、生まれつき存在するもの、胸膜の一部が牽引されているもの、繊維化に伴ってできるものがある。
傍隔壁型肺気腫は胸膜や小葉間隔壁で境界されるので、あたかも嚢胞のように壁を有しているように見えることがあるのか、と想像してみました!
アウトプットありがとうございます。
気腫:空気だけの空間
嚢胞:袋
だということですね。まとめていただきありがとうございます。
>傍隔壁型肺気腫は胸膜や小葉間隔壁で境界されるので、あたかも嚢胞のように壁を有しているように見えることがあるのか、と想像してみました!
確かにそうなのかもしれないですね。
いつも勉強させていただいております。傍隔壁型肺気腫は肺癌を合併しやすいと聞いたことがありますが、いかがでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
喫煙と関連するためという意味ではそうですね。
前回(症例34)で解説があったので、「傍隔壁型肺気腫とはこれのことか」とわかりました。
これに比べるとブラはすっきりした感じですね。
ところで、胸骨下方で心臓の腹側の脂肪のような濃度のものは何でしょうか。
100~107/119
アウトプットありがとうございます。
>ところで、胸骨下方で心臓の腹側の脂肪のような濃度のものは何でしょうか。
100~107/119
肝鎌状間膜の脂肪が目立っているのだと思われます。
肝鎌状間膜周囲の脂肪の存在に納得する画像
http://funatoya.com/funatoka/anatomy/spalteholz/J708.html
こちら動画ですが。
わかりました。動画をありがとうございました。