【胸部】TIPS症例28

【胸部】TIPS症例28

【症例】70歳代女性

糖尿病内科に教育入院時に胸部異常陰影を指摘された。

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異常所見と診断は?

まずは胸部レントゲンから見ていきましょう。

右下肺野に直径2.1cm大の境界明瞭な円形の結節影を認めています。また、その頭側、内側にはやや索状影(正常だと認めない)を認めていることがわかります。

復習ですが、

  • 3cm以上→腫瘤影
  • 5mm-3cm→結節影→今回はサイズから結節影と表現されます。
  • 2-5mm→粒状影

でしたね。

次にCTを見てみましょう。

すると、右中葉S4に直径2.1cm大の境界明瞭な円形の結節影を認めています。

単なる結節ではなく、頭側にスクロールすると結節と連続する血管構造を2つ認めていることが分かります。

このような所見を認めたときに考えなければならないのが肺動静脈奇形(瘻)です。

結節と連続する血管が2本あるということは、流入動脈が1本、流出静脈が1本あるということになります。

肺動静脈奇形に関与する肺動脈がthin sliceの38-39/68で分岐して54/68あたりで2時方向と4時方向からnidusに流入しているように見えるのですが、この場合は複合動静脈奇形という分類になるのでしょうか?(0051先生)

 

流入動脈はご指摘いただいたように2本ありますね。ですので、複合動静脈奇形ということになります。

ご指摘ありがとうございます。

 

次に縦隔条件(造影)を見てみましょう。

今回単純CTがないのですが、造影CTでは、結節は心臓や大動脈と同じように造影されていることがわかります。

肺動脈→結節(nidus(ナイダス)と呼ばれます)→肺静脈と連続しているということです。

 

診断:肺動静脈奇形(瘻)

 

※無症状で偶発的に見つかったのですが、手術が施行され、病理学的にも肺動静脈奇形(瘻)と診断されました。

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その他所見:

  • 右肺S2に小結節あり。
  • 動脈硬化やや目立つ。
  • 膵頭部LDAあり。IPMNなど疑い。
  • 肝表に石灰化あり、腹膜ネズミ疑い。
【胸部】TIPS症例28の動画解説

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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