【胸部】TIPS症例26
【症例】60歳代女性
画像はこちら
症例25と同じ方で同じ画像です。胸膜肥厚があるのではないかと指摘されましたが、その正体は?
胸部CTの肺野条件から見ていきましょう。
言われないと気づかないかもしれませんが、確かに両側の胸膜がやや肥厚しているように見えます。
- 胸膜プラークでしょうか?
- 胸膜炎でしょうか?
ではなくて、これも前回同様脂肪が目立つ濃度に調節してみましょう。
すると、胸膜の肥厚様に見える部分は、皮下脂肪や前回見た心膜外脂肪塊と同じような脂肪濃度から構成されていることがわかります。
これも正常変異で、胸膜外脂肪(extrapleural fat)と言います。
肥満者や長期ステロイド療法中などに見られやすいとされます。
そして、心膜外脂肪塊による陰影も同時に見られることが多いことが知られています。
(※前回と同じ症例を用いたのも合点ですね。)
ちなみに正常の胸膜の解剖は細かくは以下の様になります。
このうち胸膜の外側である脂肪組織である、胸膜外脂肪が今回は目立ったということです。
診断:胸膜外脂肪(extrapleural fat)
で、レントゲンではこの胸膜外脂肪は認識できるのでしょうか?
レントゲンでは中下肺野で外側の陰影がやや内側にへこんでいることが分かります。
これはここに脂肪層があるためです。
関連:胸膜外脂肪(extrapleural fat)とは?画像所見のポイントは?
【胸部】TIPS症例26の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
濃度的に脂肪と思いましたが、一回聞いたことがあると、今後安心です。ここまで脂肪がつくことがあるのですね。驚きです。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>一回聞いたことがあると、今後安心です。
そうですね。
濃度を変えて見てみると意外とたくさんの症例で見られそうですね。
脂肪はどこでもたまるんですね。普段から出会っているのでしょうが、全然気が付かなかったです。
アウトプットありがとうございます。
これぞTIPS的ですが、肺癌の胸壁浸潤の有無をチェックする際には重要な脂肪となります。
胸膜の解剖を細かく学んだのは、今回初めてで勉強になりました。ありがとうございます。
アウトプットありがとうございます。
胸膜の解剖については今回コンテンツを作った私が最もよい復習になりました(^_^;)
あんまり脂肪を意識して読影してないなぁと思いました。
脂肪も意識した読影を心がけようとおもいます。
アウトプットありがとうございます。
>あんまり脂肪を意識して読影してないなぁと
ここの脂肪は普段あまり意識はされないと思います(脂肪の条件にしないと見えにくいですし)がそのようなものがあるということを知っておいてください。
胸部レントゲンで違和感に全く気づくことが出来ません(-_-;)
ある意味レントゲンの読影は本当に難しい
もっと勉強せねばと思います。
アウトプットありがとうございます。
>胸部レントゲンで違和感に全く気づくことが出来ません(-_-;)
正直私もこの辺りはきついです(^_^;)
CTでも脂肪濃度にしないと(しても?)気づかないですね。
ただ、実は日常で良く見ているはずなので、これを機会にちょっと濃度を変えて見てもいいかもしれませんね。
こんにちは。
本日もよろしくお願いいたします!
胸部X線では言われないと違和感に気づきませんでした。内側に凸のラインは単純に骨格の問題で、肥厚と捉えるのが難しかったです。
たしかにとても裾野の広い状態でしたが、extrapleural signが陽性ですね…
アウトプットありがとうございます。
>たしかにとても裾野の広い状態でしたが、extrapleural signが陽性ですね…
そうですね。一応陽性ということになりますね(^_^;)
胆嚢が少し大きいように見えるのですが…
正常範囲でしょうか…?
アウトプットありがとうございます。
確かに少し緊満感があるようにも見えますが、横断像でくびれもあります。
また症状がなければ、特に気にされる所見ではありません。
言われてみないと気づけないものですね。症例25では気付きませんでした。
レントゲンで「中下肺野で外側の陰影がやや内側にへこんでいる」というのは今まで何回も何回も見ていたように思います。
これからはチェックしていきたいです。
アウトプットありがとうございます。
>レントゲンで「中下肺野で外側の陰影がやや内側にへこんでいる」というのは今まで何回も何回も見ていたように思います。これからはチェックしていきたいです。
まずは今回の症例のように肥満の方で心膜外脂肪塊が目立つ方で探してみてください。