【胸部】TIPS症例18
【症例】40歳代女性
スクリーニング
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甲状腺左葉背側のairは何?
甲状腺左葉の背側、頚部食道の左側にairを認めています。
症例5で見た傍気管嚢胞でしょうか?
傍気管嚢胞の場合、胸郭入口部レベルで右傍気管部背部に認めるのが特徴でした。
今回は、頚部食道レベルで、左側に認めています。
このような所見を見た場合、考えるべきは、食道憩室(なかでも同部に好発するZenker憩室)です。
※読み方はツェンカー憩室です。
確認のために下咽頭・食道造影(食道透視)が施行されました。
頚部食道の左側に憩室の描出を認めており、造影剤の流入があることから、食道と連続する憩室であることがわかります。
診断:食道憩室(Zenker憩室)
関連:食道憩室の一つであるZenker憩室とは?画像所見は?
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こちらの関連ページのコメントにいただいているように、側方の憩室なのでKillian-Jamieson(キリアン–ジェイミーソン)憩室の可能性があります。
食道憩室といえば、
- Zenker憩室(仮性憩室、咽頭食道移行部)
- Rokitansky憩室(真性憩室、気管分岐部)
が国試的にも有名ですが、Killian-Jamieson憩室というのもあるようです。
その他所見:左乳腺C領域に腫瘤の可能性あり。
【胸部】TIPS症例18の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
傍気管嚢胞はなぜか右と以前教えてもらっていたので『左か?』『食道の形がたまたまじゃないの?(それにしてはって感じですが)』って思いました。食道造影を提示していただき、納得の憩室でした。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>食道造影を提示していただき、納得の憩室でした。ありがとうございました。
逆に食道造影を提示しなければ、なかなか納得できないですね(^_^;)
「消化管は、どこの部位でも憩室ができてる」と聴いたことがあります。食道も例外ではないと言うことですね!
アウトプットありがとうございます。
そうですね。虫垂にさえできることがあるようですし。
ツェンカー憩室という名前を久々に聞きました。瘻孔と書きましたが憩室ですね。
アウトプットありがとうございます。
学生時代に聞いた名前ですね(^^)
瘻孔だと漏れていますので憩室が正しいですね。
聞いたことはありましたが、実際見たのは初めてです。
食道にも憩室が出来るんですね。
やはり縦隔のairは見つけるとびっくりしてしまいます。
アウトプットありがとうございます。
国家試験の時に覚えましたね、確か。
食道と連続性がありますので、
前回画像と比較して前回は認めていなかった
・残渣が溜まることがある
・内服薬がここに停滞することがある
と言ったことが起こることもあります。
こんにちは、いつもご解説ありがとうございます。
本日配信された、見逃さないための胸部CT画像読影手順の解説動画をさっそく参考にして読影を試みました!
動画を視聴してみて、縦隔条件の順番をどうやって覚えるかしばらく悩みました。
ゴロなどを使って覚えようかと思ったのですが、結局目線の動かし方がスムーズになるような順番で読影することにしました。
具体的には、
◎体表面は背側→腹側の順
脊柱管→背部皮下組織→腋窩→乳腺→胸骨傍リンパ節
◎首は上から下に向かって、
甲状腺→鎖骨上リンパ節
◎循環器は一本の管と捉えて血液の流れの順に、
上・下大静脈→右房→右室→肺動脈→肺静脈→左房→左室→大動脈
◎気管食道は上から下に、
食道→上腹部臓器、気管→気管支
◎リンパ節はリンパ流(癌がリンパ行性転移していく順番)に合わせて、
外側の肺門部リンパ節から内側の縦隔リンパ節(特に#4,#7リンパ節)に向けて、
◎最後に胸膜・胸水
この順番に読影をしてみて、見逃しなど改善点があれば改正していきたいと思います!
これまで自分の中で読影手順の指針が定まらず悶々としていたので、とりあえず大枠が決まって大変うれしいです。
本日のZenker憩室は食道との連続性を追うことが難しく、わからないままに傍気管憩室と回答してしまいました。気管に対して左右のどちらにあるのかが大切なのですね。
Meckel憩室、胃憩室、Rokitansky憩室の3つは真性憩室で、頭文字をとって「めいろ」と覚え、それ以外は仮性憩室とおおざっぱに捉えています。
アウトプットありがとうございます。
>本日配信された、見逃さないための胸部CT画像読影手順の解説動画をさっそく参考にして読影を試みました!
早速見ていただいてありがとうございます。
メルマガで月曜日に紹介する予定でしたが。
>結局目線の動かし方がスムーズになるような順番で読影することにしました。
素晴らしいですね!!
https://note.com/radiologycafe/n/na35c3ce09b40
紹介させていただきました。まずかったらおっしゃってください。
>気管に対して左右のどちらにあるのかが大切なのですね。
そうですね。どちらなのかが重要です。
胸部CTの読影手順、本当にありがたいです!中々無いんですよね。。。
スポーツでも何でも”型”って大切だと思うんです。なのに、ググってもググっても、本を探しても探してもいいのが無かったので幸せです。。
因みにですが、胸部レントゲンの読影手順の記事などはあったりしますか?こちらも探しているんですが、中々見つからなくて、、。
お役に立ててよかったです。
>因みにですが、胸部レントゲンの読影手順の記事などはあったりしますか?こちらも探しているんですが、中々見つからなくて、、。
レントゲンは小3J読影法などいろいろな書籍で紹介されていますよ。
小三J法、初耳でした。教えていただきありがとうございます。
スライス90-食道が壁肥厚気味にみえてしまい、スライス101で気管支との交通があるように見えてしまい全くトンチンカンな回答をしてしまいました。
アウトプットありがとうございます。
>スライス90-食道が壁肥厚気味にみえてしまい
食道の壁肥厚の評価は難しいことが多い(食道癌があってもCTでは指摘できないことが結構ある)ですが、今回も有意な壁肥厚は認めていませんね。
気管のどちらに嚢胞があるかで覚えておきましょう。
憩室だとは思ったのですが、食道と気管とのどちらから出ているか自信を持てませんでした。交通が見つからなかったもので。。。
傍気管嚢胞は右に多いと言うことでそれではなさそうってことですよね。でも、ツェンカー憩室も食道後壁に多いから自信持って診断できず「の疑い」と付けちゃうと思います。。。
アウトプットありがとうございます。
関連記事のコメント欄で記載されているように、Killian-Jamieson(キリアン-ジェイミーソン)憩室の可能性もありますね・・・。
いつもありがとうございます。
肺の結節が陳旧性炎症でよいのかどうかの判断が難しいです。
経験を積むしかないでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
肺結節については今後また出てきますので楽しみにして置いてください。
経験を積むしかないといえばそれまでですが、どういった所見がより悪性らしいのかなどまた出てきます。
Zenker憩室と言う名前はずいぶん以前に聴いたことことがありますが、CTでこんな風に見えるんですね。
チェックするもの(見どころ)がまた一つ増えました。
アウトプットありがとうございます。
食道や気管を追っていて、走行からずれている空間をみつけたら思い出してください。
今回の放射線科学会の総会で今回の症例とそっくりなもの(側方に突出)がZenker憩室として紹介されているので、Zenker憩室でもよさげなのですが、Killian-Jamieson憩室ではないかという説もあります。