【胸部】TIPS症例14
【症例】50歳代男性
スクリーニング
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異常所見と診断は?
ちょっと気づきにくい所見かもしれませんが、右第2肋骨だけ上下の肋骨と比較すると太いとことが分かります。
また太いだけでなく、淡いすりガラス状の骨硬化を認めていることが分かります。
骨腫瘍でしょうか?
次にCTを見てみましょう。
CTではやはり右第2肋骨は左の2肋骨と比較しても明らかに太く、濃度もまばらで、溶骨性骨嚢胞性変化も認めていることがわかります。
右肋骨を前の方に追っていくと太くなりすりガラス影のような骨硬化を来していることが分かります。
骨皮質の肥厚は認めていません。
骨腫瘍でしょうか?
ではなく、これらの所見は、線維性骨異形成を示唆するものです。
とくにすりガラス状の骨硬化が非常に特徴的です。
診断:右第2肋骨に線維性骨異形成(疑い)
※肋骨の良性病変としては以下の3つを最低限押さえておきましょう。
関連:線維性骨異形成症(FD)とは?CT、MRI画像診断のポイントは?
【胸部】TIPS症例14の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
結構派手な所見なので異常と捉えてしまいそうです.
肋骨の正常変異はよく出くわして困る部分なのでここで勉強できてよかったです.
アウトプットありがとうございます。
骨島や骨折に比べると頻度は落ちますが、このようなすりガラス状の骨硬化を見たら思いだしてください。
線維性骨異形成は難しいです。関連記事に辺縁の硬化像は認めないと書いてありますが、辺縁硬化しているようにも見えますし、良性ではあるのでしょうが、線維性骨異形成なのかなという風に思ってしまいます。難しいです。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>良性ではあるのでしょうが、線維性骨異形成なのかなという風に思ってしまいます。難しいです。
おっしゃるように骨島などと異なり、頻度も少ないですし、悪性の骨腫瘍のようにも見えてしまいますので、難しいですね。
線維性骨異形成は頭部で経験したことがあります。今回の症例は、第2肋骨のみの変化ということでしょうか?
すいません…説明動画より単発性ということですね。あまり線維性骨異形成について知らなかったので勉強になりました。
頭部で間違えた記憶が鮮明に蘇ってきました。本来は肋骨で間違える前に頭部を思い出したいところですが、完全に間違えました。
線維性骨異形成の頻度的には、やはり頭蓋骨が多いでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
頭蓋骨や肋骨で多いですが、どちらが多いかはちょっとわかりません。
ただ、いずれにしてもそれほど頻度は高くない疾患ですね。
骨のすりガラスを見たら場所も大事ですが、この疾患も思い出しましょう。
こんばんは。
毎日ご解説ありがとうございます!
骨肥厚、溶骨性嚢胞性変化のみに着目して、骨転移によるものと考えてしまいました…。
CT骨条件像に既視感があるような気がしたのですが、頭部TIPSの前頭骨内板肥厚症例で鑑別に線維骨性異形成が挙がっていたので、調べたのでした!
頭蓋顔面骨(とくに頬骨・上顎骨複合zygomatic-maxillary complex)、大腿骨近位部や肋骨に好発するので、また次回別の部位で遭遇したときにビビッと気づけるようになりたいです。
アウトプットありがとうございます。
>骨肥厚、溶骨性嚢胞性変化のみに着目して、骨転移によるものと考えてしまいました…。
もちろん転移の可能性も常に考える必要があります。
>CT骨条件像に既視感があるような気がしたのですが、頭部TIPSの前頭骨内板肥厚症例で鑑別に線維骨性異形成が挙がっていたので、調べたのでした!
そうでしたね(^^)
肋骨に限らず自信を持って線維性骨異形成!というのは結構難しいことが多いですが、すりガラス影に着目して、鑑別に挙げることが重要です。
ついこないだ顔面の線維性骨異形成をCTで診断したばかりでしたのに、回答出来なかったです( ; ; )
今回のも骨髄腫か転移かなあと思って、その時と同じ思考を辿ったのにダメでした。
今回肋骨を学習したので、忘れないようにします!
アウトプットありがとうございます。
もちろん転移なども考慮する必要がありますが、今回はすりガラス影が非常に典型的ですね。
いつも勉強になっております。
骨シンチでも集積を認めるようですが、骨転移との鑑別がとても難しいように感じます。鑑別のポイントはありますか
アウトプットありがとうございます。
そうですね。骨シンチではわずかに集積を認めます。
骨転移との鑑別点としては、FDは
すりガラス影
膨張性
嚢胞性変化を伴う
という点ですね。
あと骨転移で骨シンチ集積を伴うのは一般的に前立腺癌の骨転移のような骨硬化性病変となります。
いつも勉強になっております。
本題からは外れるのですが、心室中隔の四角い構造物はなんでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
心室中隔ではなく、左前下行枝のステント留置ですね。
線維性骨異形成は正常ではないのですね。
こんなのも正常範囲ですよ、というのをいくつも教えてもらったので、第2肋骨だけがこのように大きくなるのは、
カニの爪みたいに太い腕があっても正常です、という感じかしらと思って眺めてしまいました。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。線維性骨異形成は肋骨などに発生する良性の腫瘍として知られています。
多発性骨髄腫の骨病変と思いました!正常とは!!ビックリです。難しいですね。
アウトプットありがとうございます。
良性腫瘍に分類されますので、正常ではないです。よろしくお願いします。