目次
線維性骨異形成症(FD:Fibrous dysplasia)
- 比較的頻度の高い良性の骨疾患で、腫瘍というよりは、線維増殖を伴う骨形成不全。
- 骨髄腔をvascular fibrocellular tissue が置換していく。
- 好発年齢は30歳以下。10歳代に発見される事が多い。
- やや女性に多い。
- 7割程度が単骨性(monostotic)で、3割程度が多骨性(polystotic)に見られる。
- 頭蓋骨、上顎骨、下顎骨、肋骨、四肢に多い。多骨性では一つの上肢あるいは下肢に多発することが多い。
- 臨床症状としては脳神経の圧迫症状によるものが多い
- 思春期早発、内分泌異常、カフェオレ斑などの皮膚異常を伴うMcCune-Albright症候群の一つの兆候としてみられることあり。
- また、軟部組織に粘液腫を伴うことがあり、Mazabroud症候群と呼ばれる。
- 経過が長く無症状の事が多く、その点で転移やPaget病、骨化性線維腫などと鑑別できることがある。
- 治療は通常は経過観察。ただし、美容外科の対象となることもある。
痛みのない骨腫瘍
- 内軟骨腫(青年期〜成人)
- 孤立性骨嚢腫(成長期)
- 線維性骨異形成症(成長期)
- 非骨化性線維症(成長期)
肋骨に病変を認める疾患
- 線維性骨異形成症
- 動脈瘤様骨嚢腫
- 転移、骨髄腫
- 内軟骨腫
- 好酸球性肉芽腫症
線維性骨異形成症の画像所見
- CTが最も診断に有効とされ、骨の肥厚とすりガラス状の変化が特徴的である。嚢胞を伴うのが25%。
- 骨皮質の破壊や骨膜反応を認めない点が悪性腫瘍と異なるところ。
- また辺縁の硬化を認めない点が他の良性骨病変とも異なる。
- MRIではT1強調像、T2強調像ともに、肥厚した骨が低~中程度の信号強度を示す。T2強調像では、低信号の中に等〜高信号が混在する。不均一に造影される。
- 骨シンチでは高集積をきたす。
症例 40歳代女性
肥厚・膨隆した斜台の内部は、比較的無構造な信号上昇を示すすりガラス影を呈し、FDが示唆される。MRIでは、T2WIにて定信号の内部に高信号の混在を認める。
症例 40歳代女性
2010年放射線科診断専門医試験問題8より引用
症例 10歳代女性、右下顎の腫脹および疼痛あり。
(2009年放射線科診断専門医試験問題74より引用。)
CTにて右下顎骨(好発部位の一つ)にすりガラス状に膨張する骨変化あり。骨シンチ、下顎骨SPECTにて著明な集積を認めている。線維性骨異形成を疑う所見。
症例 27 歳の男性。10 年前から右上腕の弯曲と後頭部の膨隆あり。
2005年放射線科診断専門医試験問題16より引用。
頭蓋骨では頭蓋底の肥厚あり、後頭骨も厚い。すりガラス状である。
また、右上腕骨骨幹の腫大と弯曲あり。骨皮質は薄い。線維性骨異形成が疑われる。
症例 20 歳代女性
骨シンチグラム全身像,右下腿骨単純写真),右足骨単純写真を示す.
8回核医学専門医腫瘍核医学15より引用。
骨シンチにて、右大腿骨〜下腿、足関節の骨に集積あり。
レントゲンでは、嚢胞性変化、すりガラス変化あり。
線維性骨異形成が疑われる。
ご案内
腹部画像診断を学べる無料コンテンツ
4日に1日朝6時に症例が配信され、画像を実際にスクロールして読影していただく講座です。現状無料公開しています。3000名以上の医師、医学生、放射線技師、看護師などが参加中。画像診断LINE公式アカウント
画像診断cafeのLINE公式アカウントで新しい企画やモニター募集などの告知を行っています。 登録していただくと特典として、脳の血管支配域のミニ講座の無料でご参加いただけます。
関連記事はこちら
