【胸部】TIPS症例9
【症例】40歳代女性
【主訴】咳嗽
【現病歴】20日前から咳嗽あり。胸部レントゲンで異常陰影を指摘された。
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胸部レントゲンの異常陰影の原因は?
まず胸部レントゲンから見てみましょう。
右下肺野内側に濃度上昇を認めています。
浸潤影や無気肺(中葉)のようにも見えます。
また右心陰影がはっきりしません。
また正常例と比較してみると、前肋骨の角度が正常よりも急峻であることがわかります。
第一肋骨と胸骨との接合部位も正常よりもだいぶ下ですね。
次にCTを見てみましょう。
肺野に浸潤影や腫瘤影は認めません。
胸骨が内側に陥没しており、いわゆる漏斗胸の形態です。
漏斗胸によって胸部レントゲンの浸潤影様所見、右心陰影の不明瞭化、前肋骨の急峻化を認めていたと言うことが分かります。
診断:漏斗胸
【胸部】TIPS症例9の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
CTで見るとよくわかりますが、X-Pで判断するのは厳しかったです。肋骨の角度も今後視野に入れますが、左右対称だと気付けるか今は自信ないです。その目で見ていきます。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>X-Pで判断するのは厳しかったです。
知っていないと厳しいと思います。私もぶっちゃけ厳しいです(^_^;)
漏斗胸の患者はベースとなるXPを撮影していないと、XPでの読影が困難そうです。
ですね。右下肺野内側に肺炎や無気肺があるのかと思ってしまいます。
咳嗽の原因は
漏斗胸…でしょうか?
その後咳嗽は消失したと記載があり、漏斗胸が直接の原因ではないようです。
Xpだけでは右乳房術後?と思いましたが,CTみて納得でした.
診察時に漏斗胸と気づいて撮ったXpでも正常と言い切るのは難しそうですね.
アウトプットありがとうございます。
>Xpだけでは右乳房術後?
乳腺術後ならば術後ペッツなどがあればより疑われますね。
>診察時に漏斗胸と気づいて撮ったXpでも正常と言い切るのは難しそうですね.
ですね。呼吸器の先生もレントゲンの異常所見でCTに回していましたので。
乳腺の信号と漏斗胸で完全に異常に見えますね。肋骨の角度で判断するのはナルホドという感じでした。
ですね。知っておかないと肺炎や無気肺としそうですね。
まさにTIPSですね。
左の乳腺組織に比べ、右の乳腺組織が目立つと思い、レントゲンでの陰影に漏斗胸に加え、乳腺組織の影響も受けてると考えましたが、乳腺組織の左右差は正常範囲内でしょうか?
同じことを思いました。
アウトプットありがとうございます。
今回乳腺が結構目立つ方で、頭側からスライスしていくと左側から出現してきます。
おっしゃるように若干右に多く見えますが、正常範囲内の左右差であると考えます。
明らかなものでないと、乳腺腫瘍は造影しないとわかりにくいですし、造影CTでも術前に分からないこともしばしばあります。
胸部X-Pで漏斗胸がわかるとは思いませんでした!ありがとうございます!
検診で内科診察もレントゲン読影もしていますが、診察で漏斗胸を見つけたらレントゲン欄にも漏斗胸の旨を記載した方がいいですね。
レントゲンを読む先生が自信を持って診断出来ると思いました(所見知ってれば!)。
アウトプットありがとうございます。
そうなんです。知っていればレントゲンで漏斗胸とわかるんです!!(えへん)
と言いたいところですが、今回のケースはすべて後付けです(^_^;)
浸潤影か無気肺がある?
→CT撮影してみよう。
→何もないやん。漏斗胸がある。
→なるほど漏斗胸だから、このレントゲン所見か。
という。
「背側の肋骨では通常より水平方向,外側から腹側の肋骨は急峻に下斜め方向に走行」
→漏斗胸肋骨走行による
「心臓が左方偏位し,右心陰影が消失」
→胸骨の心臓圧排による
と理解させていただきましたが,
「右下肺野内側に中葉無気肺に類似した陰影が生じる」
については何が関係し,右下肺野内側に濃度上昇を認めるような画像として描出されてしまうのでしょうか.
アウトプットありがとうございます。
>「右下肺野内側に中葉無気肺に類似した陰影が生じる」
については何が関係し,右下肺野内側に濃度上昇を認めるような画像として描出されてしまうのでしょうか
「左側に圧排された心臓の右縁が胸骨陥凹部の陰影により不鮮明となり、右肺中葉の病変と間違えやすい(画像診断 Vol.10 No.6 1990 P721)」と記載があります。
心臓の右縁+正中部近くが陥凹していることで同部の肺野部分(空気がある部分)が少ないことがこの陰影を作ると考えられます。
漏斗胸大変勉強になりました。今回のCTでは気管支壁がびまん性に肥厚している印象があったのですが、いかがでしょうか?そちらが咳嗽の一因となっている可能性はありますでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
やや肥厚しているように見える部位もありますが、今回所見では気管支壁肥厚とは書かないですね。
結局この方は原因がわからなかったので、気管支炎があった可能性はありますね。
ありがとうございます、本日も大変勉強になりました。
・前肋骨が急峻な角度を形成していることから、あたかも「ハート形」のように見えるという記載も見かけました。
・今回の患者さんは見られませんでしたが、漏斗胸の患者さんは下行大動脈の陰影が部分的に消えることもあるということを学びました。これは心臓が時計方向に回転することと関係があるという記載を見つけました。
https://pubs.rsna.org/doi/pdf/10.1148/radiology.182.3.1535902 (Abstractしか無料で読めませんでした…)
・やはり今回の患者さんには見られませんでしたが、乳房の内側縁のラインが明瞭になる(Medial breast margin sign)についても学びました。今日の患者さんは右乳房の下縁のラインがなくなっており、CTを見る前は一体何事だろう!とびっくりしてしまいました。
・一見心拡大のように見えたのは、心臓が左側にシフトしてしまったことと、漏斗胸によってつぶされて心臓がやや扁平になっているせいかもしれないと考えてみました。
・右側心陰影がはっきりしないということを指摘することはできませんでした。右傍脊椎線を心陰影となんとなく読影してしまったのが原因だと思いました。
アウトプットありがとうございます。
>漏斗胸の患者さんは下行大動脈の陰影が部分的に消えることもあるということを学びました。これは心臓が時計方向に回転することと関係があるという記載を見つけました。
下行大動脈の部分的シルエットの消失が30%で見られると報告がありますね。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1535902
おっしゃるように今回の症例では下行大動脈の陰影はなんとなく全貌見えていますが、CTの38/118あたりでは前後方向に接線を形成できないので、点状に消えている可能性はありますね。
>今日の患者さんは右乳房の下縁のラインがなくなっており、CTを見る前は一体何事だろう!とびっくりしてしまいました。
確かに・・・。
健診医です。
いつも ありがとうございます。
この症例は 放射線専門医から見たら CTまでする必要がなく XPだけで 漏斗胸の影響のみ
と診断できるものなのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。
放射線専門医なら誰でもこれくらいならば・・・・・
すいません。嘘です。私は無理です。
レントゲン苦手です(;゚ロ゚)
右乳房部の腫瘤で右下肺野の陰影ができているのかと(乳房の左右差は正常範囲とのことですが)思ってしまいました。勉強になったのですが、CXRでの右下肺野のヨットの帆様の三角状の陰影は 凹んだ部分の軟部組織を反映しているのですか?
アウトプットありがとうございます。
>CXRでの右下肺野のヨットの帆様の三角状の陰影は 凹んだ部分の軟部組織を反映しているのですか?
乳腺が目立つのでこれを反映しているのかと思ってしまいがちですが、乳腺が目立たない症例でも右下肺野内側はこのような周囲肺野と比較して高吸収になりますので、おそらく漏斗胸の形態により右下肺野内側の前後方向の肺実質部分の体積が小さくなってしまうことが原因なのではないかと考えます。
この症例を知ってしまうと、胸部レントゲン写真だけ見せられて「乳腺のラインが無い→右乳房術後(ドヤッ)」ってできなくなりますね・・・
アウトプットありがとうございます。
確かにそういった引っかけにも使われそうですね(^_^;)
前肋骨の角度など見比べないとなかなか気づかないですし・
このコメントが出ているということは、うまく送れたということですね。バンザーイ!! またこれからも参加させていただきます。
漏斗胸でなぜこのような影が出るかは難しそうですね。漏斗胸でこのような影をみてもやはりCTで確認となりそうです。下手をすると肺炎の治療を始めてしまうかもしれません。
アウトプットありがとうございます。
コメントが反映されず申し訳ありません。
パスワードが問題だったようですね・・・。
>下手をすると肺炎の治療を始めてしまうかもしれません。
おっしゃるようにレントゲンだけだと肺炎でもありそうに見えてしまいますので注意が必要ですね。
もちろん臨床症状や採血なども確認してからですが。
いつもありがとうございます。私も、咳嗽があって、このXrを見たら、肺炎しか思い浮かばないと思います。漏斗胸がこのようにXrで見られることを、知ることが出来てウレシイです!ただ、残念ながら、今後もXrだけから漏斗胸と分かる様になれる気がしませんので、血液検査や恐らくCTまで撮影して、総合的に診断ようにすると思います。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>今後もXrだけから漏斗胸と分かる様になれる気がしませんので、血液検査や恐らくCTまで撮影して、総合的に診断ようにすると思います。
ですね。私も今回の症例を踏まえても、次回レントゲンだけみて、漏斗胸!と言えない気もします・・・。
呼吸器の先生は聴診される際に漏斗胸に気づくかもしれませんね。
だとしても、今回も呼吸器からCTに回ってきていますので、念のためCTとなったのでしょう。