【胸部】TIPS症例6
【症例】50歳代男性
スクリーニング
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右下葉内側(S7,10)に認める線状影、すりガラス影は何?
今回は胸部CTから見ていきましょう。
右下葉内側(S7,10中心)にすりガラス影を呈する線状影を認めています。
間質性肺炎でしょうか?
それとも肺癌でしょうか?
骨条件で見てみましょう。
すると、、、、
すりガラス影がある部位を骨条件で見てみると椎体の右側に骨棘を認めていることがわかります。
右側だけやたら目立ちますね。
別のスライスでも同様です。
実はこれは正常変異で、日常臨床でよく見られる所見です。
骨棘形成によって肺実質を圧排した結果見られる「骨棘によるすりガラス影・線状索状影」と考えられています。
陰影が強い場合は肺腫瘍との鑑別が問題となることもありますが、この程度ですとフォローの必要もありません。
診断:変形性脊椎症に関連した限局性すりガラス影(胸椎骨棘形成によるすりガラス影・線状索状影)
※これと言った決まったフレーズがあるわけではないので骨棘によるすりガラス影・線状索状影で、正常変異であるということが分かれば大丈夫です。
ちなみに胸部レントゲンではどうでしょうか?
レントゲンでは肺野には明らかな異常は認めませんが、骨棘の様子は右側への突出像として認めます。
関連:胸椎の骨棘による肺野の限局性すりガラス影・索状影とは?
【胸部】TIPS症例6の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
重力効果が限局性に起こっているイメージですが、問いに回答するとなると迷います。問いにしてくださることで今後自信を持てます。ありがとうございました。場合によると思いますが、フォローを促したりしますか?今回の画像程度だと所見に書かないくらいでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
フォローも特に必要ありませんが、肺癌が疑わしいような陰影の場合は話は別です。
おっしゃるように今回の所見程度ならば記載しません。
もっと目立つ症例もたくさんあるはずなのですが、いざ探すとなると今回はこの程度くらいしかありませんでした。
結構頻度が多く見られる所見ですので、その目で見てみてください。
現在、フラットパネルでX-Pの性能があがり、だいぶん骨棘の確認がしやすくなったと感じます。
アウトプットありがとうございます。
CTでもスカウト画像だけで骨棘が目立つのがわかりますね。
わかりやすい症例ですが、現実にはあまり見たことがありませんね。
高齢者で探せば結構いるのかもしれませんね
アウトプットありがとうございます。
もっと分かりやすかったり派手な症例もたくさんあります。
高齢者で探せば程度には差はあれど、結構見かける所見です。
記載しないものなんですね。慢性的なものなので、すりガラスであっても痛みなどはほぼ無いものなんでしょうね。
オーダーがここの部位のフォローなどになっていれば記載することもあります。
もちろん知らない医師もたくさんいますので、記載しても良い所見ですね。
こんばんは。
毎日ご解説ありがとうございます。
本日の課題は全然わかりませんでした…。
重力効果に引き続き、骨棘による圧排でもすりガラス影が生じるのですね!
「圧排によってすりガラス陰影をきたすことがある」、この原則を知っておけば今後色々と応用が効きそうな気がしました。
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるように今回は結構難易度が高いですね。
しかし実は結構頻度が多いものです。
>重力効果に引き続き、骨棘による圧排でもすりガラス影が生じるのですね!
そうですね。
ただ重力効果との違いとして、重力効果は可逆的な変化ですが、こちらは基本不可逆的な変化だということです。
骨棘による圧排を生じることがあると言うことを知らずに、「肺癌の可能性をできない」として永遠フォローする必要はないということですね。
もちろん同部に肺癌が発生することもありますので、注意は必要ですが。
骨棘が圧排して、すりガラス影になるなんて知らなかったです。確かに臨床で見ますね。勉強になりました!
アウトプットありがとうございます。
臨床でよく見ますよね!!
これを3年目くらいで上司から教えてもらったとき目からうろこでした(^^)
確かに、レントゲンでも胸椎の骨棘が見られますね。
今までレントゲンを読む際に、胸椎ラインをしっかり追ってなかったなーと反省です。
アウトプットありがとうございます。
今回の症例はそれほど目立ちませんが、かなり目立つ症例も結構ありますのでその目で見てみてください。