
【頭部】TIPS症例29
【症例】70歳代男性
脳梗塞フォロー目的。
画像はこちら
両性硬膜下水腫があるのでは?主治医に聞かれたがどうですか?
両側大脳半球外側に脳室内の脳脊髄液と等信号の液貯留を認めています。
そして脳室内の脊髄液と同じようにFLAIRでは抜けていることがわかります。
一見正常(脳萎縮が軽度ある)のように見えますね。
ところがT2WIをよく見てみると、この液体貯留に脳表に押しつけられる形で血管が存在していることがわかります。
これは両側で認めています。
症例28のように脳脊髄液の中を悠々と走向する血管ではないですね。
このように脳表に押しつけられているということは、くも膜下腔の外側すなわち、硬膜下に何かが存在していることがわかります。
このような場合、
- 硬膜下水腫
- 硬膜下血腫
の可能性がありますが、今回はFLAIRで脳脊髄液と同じように抜けていることから血腫ではなく水腫であることがわかります。
診断:両側硬膜下水腫
関連:硬膜下水腫とは?原因、症状、治療、画像診断のポイントは?
その他所見:
- 大脳鎌沿いに髄膜腫あり。
- 陳旧性ラクナ梗塞疑い。
- 両側乳突蜂巣炎疑い。
【頭部】TIPS症例29の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
昨日は硬膜下水腫としてしまいましたが、本日は自信を持って回答できました。ありがとうございました。
それはよかったです。
圧排された血管に着目してください。
「くも膜下腔の拡大」との対比症例ありがとうございますた。
2症例連続して見るとわかりやすいですね。
今日もありがとうございます。
昨日の症例のおかげで自信を持って答えられました。
よかったです!
硬膜下血腫ならわかりやすいことが多いですが、水腫の場合は血管に着目してください。
理解が深まる分かりやすい症例でした。血管が見える=萎縮と食いつかずに、走行をイメージして何が起きているか考えることができたと思います。
アウトプットありがとうございます。
>血管が見える=萎縮と食いつかずに、走行をイメージして何が起きているか考えることができたと思います。
そうですね。血管が、邪魔されずに悠々自適に走行しているか、脳表に押しつけられているかをチェックしましょう。
やはり比べるとよくわかりますね.
もう間違えないと思います.
比べるとわかりやすいですね。CTだと悩ましいことがあるので過去画像と比べたり、場合によってはMRIを撮影して確認してください。
所見が増えてくると、見逃しも増えてきているような印象です。
腹部救急を受講したときには、臓器別にある程度系統立てて見るといいというようなことを教えていただきましたが、あれを実践することでおかげさまでかなり見逃しが減ったと感じています。
頭部画像についても、何か実践されている系統だった画像評価の仕方などがありますか?
アウトプットありがとうございます。
>頭部画像についても、何か実践されている系統だった画像評価の仕方などがありますか?
頭部CTの見るべきポイントについてはこちらに記載しています。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/11246
腹部の場合は、見落としがないように以前お伝えしたように、肝→胆→膵・・・・と意識して順番に見ていきます。
ただし、頭部の場合は、前頭葉→側頭葉→・・・・などではなく全体をスクロールしてみて、左右差を意識して、
・異常な高/低吸収域
・正中構造の偏位
がないかなどを見ていますね。
意識するとしたら頭蓋内を見たあとに、頭蓋外もさらっと見ることくらいでしょうか。
何かよい体系だった読影方法の記載がないかまた探してみます。
あればまた紹介しますね。
うっ!
再びやらかしました(汗)
硬膜下腔の液体の中の一部にFLAIRでモヤモヤとした信号があるように見えてしまったので「血腫」としてしまいました。
クイズ形式になると、素直に読影できずに、余計なことを考えて当てにいって失敗する、悪い癖が出てしまいました(恥)
反省、いや、猛省いたします。
アウトプットありがとうございます。
>硬膜下腔の液体の中の一部にFLAIRでモヤモヤとした信号があるように見えてしまったの
血腫の場合は特にFLAIRでは血腫全体が明瞭な高信号になることが多いですね(そうでないこともありますが)。
>反省、いや、猛省いたします。
痛い思いができるのは参加型でこそですね(^^)
いつも勉強になっております。T2やFLAIRで前頭部に見える脳表に押し付けられていない血管(?)のようなものは、どのように判断したらよろしいでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
>T2やFLAIRで前頭部に見える脳表に押し付けられていない血管(?)のようなものは、どのように判断したらよろしいでしょうか。
前頭部には硬膜下水腫は及んでおらずあくまで両サイドに認めていると考えられます。
丁寧な解説いつもありがとうございます。大変勉強になります。
左椎骨は解離orフローアーチファクトでしょうか?
FLAIR 2/24
アウトプットありがとうございます。
>左椎骨は解離orフローアーチファクトでしょうか?
辺縁の高信号が少し目立つので違和感を覚えられるかも知れませんが、血管のflow voidを見ているだけで正常です。
FLAIR 3/24では右側も見えていますね。
いつも楽しく勉強させて頂いております。ありがとうございます。FL冠状断で左硬膜下腔?に薄いhighがあるようなのですが、これはなぜ左右差が見えているのでしょうか。恥ずかしながら、てっきり少量の血腫と勘違いしてしまいました。ご教示頂けるとありがたいです。
アウトプットありがとうございます。
>FL冠状断で左硬膜下腔?に薄いhighがあるようなのですが、これはなぜ左右差が見えているのでしょうか。
確かに脳表に押しつけられている部位では少し高信号を認めています。左右差はありますが、両側認めていますね。
T2WIでも少し低信号に見えるため、おっしゃるように辺縁部は純粋な水腫ではなく、一部出血成分も混在しているのかもしれません。
有用な動画をいつもありがとうございます。
硬膜下血腫疑の際にCT or MRI につきまして
MRIの利点
「T2でくも膜下腔のflow voidを探しやすいので単なる脳萎縮か否か判別しやすい。FLAIRで水腫か血腫か鑑別しやすい。」
ということを考えると、硬膜下血腫疑の際は、(CT撮像後であとで脳萎縮との鑑別で悩むくらいなら)いきなりMRIをとる、というプラクティスもありなのでしょうか??
これまではいつも硬膜下血腫疑の際はCTでした。。(正直申し上げて、今までは、脳萎縮をあまり意識すらしていませんでした。。。周囲が高濃度ならば血腫、周囲が当濃度ならば水腫と考えていたように思います。。。)
みなさん、どうされているのでしょうか・・・と思いました。。。
アウトプットありがとうございます。
こちらも脳出血を疑う際にいきなりMRIを撮影するかという別の所でいただいた質問と重複しますが、施設やオーダーする医師によるところが大きいです。
CTの場合はその日にオーダーしても撮影できる施設が多いと思いますが、MRIの場合は場合によっては数ヶ月待ちということもあります(緊急MRIは除く)。