【胸部】症例17
【症例】60歳代男性
【主訴】転倒、左前胸部違和感
【現病歴】朝8時頃自転車に乗っていたところ、タクシーのドアと接触し転倒し受傷。救急搬送となる。
【既往歴】メニエル病(投薬なし)
【内服薬】なし
【身体所見】意識清明、BP 134/90mmHg、HR 89bpm、SpO2 98%(RA)、BT 36.1℃、breath sound :clear、左前胸部違和感あり。
画像はこちら
胸部レントゲンでは特記すべき異常所見を認めません。
左に気胸を認めています。
外傷後であり、外傷性の気胸が疑われます。
また、舌区末梢にすりガラス影を認めています。
外傷後であり、肺挫傷を疑う所見です。
骨条件で見てみますと、左第5肋骨にわずかな骨折線を認めており、肋間にairを少量認めています。
診断:左肺挫傷+外傷性気胸+左第5肋骨骨折
※保存的加療で気胸、肺挫傷ともに増悪なく、自然軽快し退院となっています。
【胸部】症例17の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
肺挫傷と肺が胸腔内圧の上昇に伴い広がれないことによる濃度上昇とのしきいが難しいです。右肺のGGNは今回とは別物ですよね。
また肺挫傷(すりがらす)の説明に使われている画像が今回提示された患者と異なっているかと思います。いつもながらわかりやすいので違和感はありませんが一応報告します。
アウトプットありがとうございます。
確かに別症例ですね。置き換えます。
正直、CTを見ての後付所見ですが…X-Pで左肺野にdeep sulcus signがありそうなのですが、どうでしょう?
脾臓周囲の脂肪層を見ているだけかもしれません…読み過ぎならすいません。
アウトプットありがとうございます。
確かにあるかもしれませんね!こんな量でも認めることがあるんですね。
肺は肋骨に囲まれているためか、腹部のように派手な外傷性損傷をまだ見たことがありません。解説リンクで血腫やニボ−の画像を初めて見たので参考になりました。嚢胞も気管支損傷があれば空気が漏れるということで納得できました。
アウトプットありがとうございます。
>解説リンクで血腫やニボ−の画像を初めて見たので参考になりました。嚢胞も気管支損傷があれば空気が漏れるということで納得できました。
解説リンクみてしまいましたか。
次の症例あたりでもうちょっと激しい症例がくるかもしれません(^_^;)
肺挫傷の細かな分類などは知らなかったので勉強になりました.
骨折はあると思ってみたのにイマイチわかりませんでした.
アウトプットありがとうございます。
>肺挫傷の細かな分類などは知らなかったので勉強になりました
かなり細かい話なので、まずは肺挫傷の基本を押さえておけば大丈夫だと思います。
>骨折はあると思ってみたのにイマイチわかりませんでした.
今回はちょっとわかりにくかったですね。実際の現場のモニターで見たらきちんと見つけられるかと思います。
受傷部を丁寧に追うようにしてください。
今日もありがとうございます。
外傷だったので肋骨骨折も疑ったのですが見事に見逃しました…
肋間にエアーを認めたら基本的には骨折もあると見ていいのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>肋間にエアーを認めたら基本的には骨折もあると見ていいのでしょうか?
そうですね。そのことが多いと思います。
骨条件にしてその前後を丁寧に読影しましょう。
肋骨骨折、見逃しましたorz
CTの横断像で肋骨を追うときに、一つの平面で複数の肋骨が同時に出てくるため、眼の動かし方が難しいなと感じます。
今回の症例では、すべての肋骨を軽めにチェックした後に、肺挫傷が見られる場所の近傍をより丁寧に見ていくべきだったかなと反省です。
先生のおすすめの眼の動かし方がありましたら、ご教授頂きたいです。お手数ですが、お願いいたします。
アウトプットありがとうございます。
>先生のおすすめの眼の動かし方がありましたら、ご教授頂きたいです。お手数ですが、お願いいたします。
どちらでもよいと思いますが、私はまずは肺挫傷がある部位を中心に上下の肋骨をチェックします。
その後すべての肋骨を軽めにチェックですね。
肋骨骨折もあるのではないかと疑って注意してみたのですが、わかりませんでした。周囲のairの存在などが参考になるのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
>周囲のairの存在などが参考になるのでしょうか。
おっしゃるように、周囲のairや軟部組織の脂肪織濃度上昇などが参考になります。
その辺りが受傷機転であり、その辺りに骨折線がないかを注意深く見てみましょう。
画像の重さのためか行きつ戻りつすると画像が見れなくなってしまいます。骨折を探したり腸管を追ったりが全くできません。
確認しましたが、今回の症例だけ画像が重いということはありません。
thin sliceでは読み込みに時間がかかることがあったり、ネット環境によっては読めないことがありますが。
今回はthin sliceはないので、ネット環境の問題だと思いますが・・・・。
胸部レントゲンで左第2肋骨が追えず「これだぁっ!」と思ったのですが、CTで肺挫傷の周囲も含めて何回か見直したのにairの存在に気づきませんでした orz…。下手な先入観持ってしまうのは良く無いですよね。。。
アウトプットありがとうございます。
>CTで肺挫傷の周囲も含めて何回か見直したのにairの存在に気づきませんでした orz…。
今回は骨折部位が少し分かりにくかったですね。骨の転位もほぼないですし。
先日、似たような症例に出会ったので真剣に見ましたが、肋骨骨折も肋間のairも見つけられず・・・(悲)肺挫傷は発症直後には見えないことがあるというのは驚きでした。先日経験した症例のCTをその目で読み直そうと思います! これまで肺挫傷のCT画像というのは一度も勉強したことがなかったので、とても学びになりました。
アウトプットありがとうございます。
>肋骨骨折も肋間のairも見つけられず・・・(悲)
肋骨骨折は今回のように転位がないと指摘が難しいことがありますね。
今回はありませんが、3Dを作ってもらうと一目瞭然で見つけられることがあります。
>これまで肺挫傷のCT画像というのは一度も勉強したことがなかったので、とても学びになりました。
よかったです!
胸部X線で左横隔膜内側の、切れ込みがdeep sulcus signなのではないかと考えましたがどうでしょうか?
そもそもdeep sulcus signは横隔膜の外側の切れ込みとして書かれている本しか見つけられなかったのですが、内側にも生じるのでしょうか?
よろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
肋骨横隔膜角が通常よりも深くなるサインですので、外側に認めるものです。
確かに今回内側の陰影が目立ちますが、同じ臥位で撮影されているCTでは同部にairは認めていないため、同サインではないと考えます。