【胸部】症例1

【胸部】症例1

【症例】30歳代 男性
【主訴】咳、発熱
【現病歴】1週間前ほどから咳が持続しており、3日前から全身倦怠感が生じていた。近医受診するも改善せず当院受診。
【既往歴】なし
【内服薬】なし
【身体所見】意識清明、BT 39.2℃、BP 152/68mmHg、PR 56bpm、lung : dyspnea(-)、clear、no rales
【データ】WBC 4900、CRP 11.66

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左下葉S6に一部で癒合する小葉中心性の粒状影〜結節影および気管支壁の肥厚を認めています。

いわゆる気管支肺炎のパターンで病変が広がっていることがわかります。

 

診断:気管支肺炎

 

でもいいのですが、今はもうちょっと病原体を絞れないでしょうか?

  • 若年者
  • 咳が強い
  • 白血球上昇を欠いている
  • 気管支壁肥厚が目立つ
  • 小葉中心性の粒状影〜結節影の分布を来している

ということから、あの病原体を思い浮かべましょう。

 

そう、マイコプラズマ肺炎です。

 

 

検査からもマイコプラズマ肺炎と診断されました。

 

診断:気管支肺炎(マイコプラズマ肺炎疑い)

 

※もちろん肺結核(Tb)の除外は必要です。

 

~~カルテより抜粋~~

臨床症状と画像所見からマイコプラズマ肺炎が疑わしいと考えられ、AZM 500mg/dayの点滴注射を開始した。また、通常の市中肺炎も考慮に入れ、ABPC/SBT 1.5g×4回/dayで治療を開始した。

第3病日の採血では、CRP 4.00と炎症症状は軽快しており、発熱は軽減し胸部XP上の浸潤影も改善が見られた。そのため、AZM 500mg/dayを内服に切り替えて経過を見ていた。

第6病日の採血では、炎症所見はほぼ正常域まで改善しており、発熱や咳の改善を認めた。また胸部XPの透過性の改善も認めた。そのため退院となった。

来院時

  • マイコプラズマニューモニエ(CF)4未満、
  • マイコプラズマニューモニエ(PA)40未満

10日後(外来)

  • マイコプラズマニューモニエ(CF)16
  • マイコプラズマニューモニエ(PA)640

→ペア血清(感染初期と回復期の血清)で4倍以上の上昇を認めており、マイコプラズマ肺炎と診断されました。

 

起因病原体と呼吸器感染症の画像パターンの関係として以下の表が報告されています。

今はマイコプラズマ肺炎ですので、気管支肺炎パターンが多く、肺胞性肺炎パターンのこともあり、小葉中心性の分布になることもあるということです。

大まかな目安ですが是非参考にしたいです。

 

関連:

【胸部】症例1の動画解説

肺炎の広がり方による分類の解説動画

2次小葉と末梢について

小葉中心性の分布とは

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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