先に結論:気管支肺炎のCT
- 気管支肺炎は、病原体が細い気管支(細気管支)から入り、そのまわりの肺に広がるタイプの肺炎で、マイコプラズマ・インフルエンザ菌・黄色ブドウ球菌・ウイルスなどが原因になります
- CTでは、気管支の壁の肥厚、小葉中心性の粒状影(tree-in-bud)と、それらが融合したまだら(斑状)の浸潤影が区域に沿って分布するのが特徴です
- これに対し、肺炎球菌などの大葉性肺炎は、肺胞の中を広がって葉全体が均一に白く(air bronchogramを伴う)なるのが違いです
※咳・熱・息苦しさが続くときは、早めに受診してください。
気管支肺炎(bronchopneumonia、小葉性肺炎)とは?
- 病原体が終末細気管支または呼吸細気管支を障害
→炎症細胞浸潤>浮腫、滲出液(細気管支炎)
→炎症が細気管支の壁を越えて細気管支周囲肺胞領域から小葉に及ぶ(巣状の気管支肺炎となる)
→区域性の分布を示す。胸部画像での肺炎は、①非区域性の大葉性肺炎、②多巣性の気管支肺炎(小葉性肺炎)、③限局性またはびまん性の「間質性」肺炎の3パターンに大別される。高分解能CTはパターンと分布をX線写真よりよく描出するが、細菌性肺炎の評価で必要になる場面は限られる。 - 起炎菌としては、マイコプラズマ、ウイルス、黄色ブドウ球菌、グラム陰性桿菌(あらゆる菌種)など。
気管支肺炎のCT画像所見
- 気管、気管支粘膜上皮に親和性があり、気管支→細気管支→周囲肺胞領域へと比較的緩やかに進行するため、気管支・細気管支壁肥厚や小葉中心性陰影を呈する。
- この小葉中心性陰影と融合した斑状のコンソリデーションが区域性、斑状分布に混在する。
- 気管支に病変が存在するために、無気肺性変化が生じやすい。
気管支肺炎・大葉性肺炎・間質性肺炎の違い
胸部画像での肺炎は、大きく3つのパターンに分けられます(Franquet 2018)。
| 気管支肺炎(小葉性肺炎) | 大葉性肺炎(肺胞性肺炎) | 間質性パターン | |
|---|---|---|---|
| 広がり方 | 細気管支から周囲の肺胞へ、多巣性に広がる | 肺胞の中を孔(Kohn孔)を通って連続的に広がる | 肺胞壁・気管支血管周囲の間質が主体 |
| 分布 | 区域性・斑状、両側・多発しやすい | 非区域性、肺葉の一部〜全体 | 限局性またはびまん性 |
| CT所見 | 気管支壁肥厚、小葉中心性粒状影・tree-in-bud、斑状の浸潤影 | 均一な浸潤影とair bronchogram | すりガラス影、気管支血管束の肥厚、小葉間隔壁肥厚など |
| 代表的な原因 | マイコプラズマ、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌など | 肺炎球菌、クレブシエラなど | ウイルスなど |
関連記事:肺胞性(大葉性)肺炎のCT画像診断
マイコプラズマ肺炎のCT所見の頻度
マイコプラズマ肺炎28例の検討では、高分解能CTで次の所見がみられました(Reittner 2000)。
- すりガラス影:24例(86%)、浸潤影:22例
- 結節:CTで25例(89%)、胸部X線では14例(50%)。24例(86%)では小葉中心性の分布
- 気管支血管束の肥厚:CTで23例(82%)、胸部X線では5例(18%)
小葉性の分布や小葉中心性の病変は、胸部X線ではわかりにくくても、高分解能CTではとらえやすいとされています。
症例 30歳代 男性 マイコプラズマ肺炎

左下葉に気管支壁の肥厚と周囲小葉中心性の結節影およびそれらが融合した浸潤影が区域性に広がりあり。
気管支肺炎のパターンです。
気管支炎・細気管支炎のCTとtree-in-bud
- 気管支炎では、炎症は気管支の壁にとどまり、CTでは気管支壁の肥厚がみられることがあります。周囲の肺に浸潤影がなければ肺炎とは区別します。
- 細気管支炎では、細い気管支の中に分泌物や炎症細胞がたまり、小葉中心性の粒状影・分岐状影(tree-in-bud)として見えます。
- tree-in-budを認めた326例の検討では、67.5%が感染症、10.4%が誤嚥性肺炎で、悪性腫瘍などほかの原因もありました。分離された菌は一般の市中・院内感染と同様の内訳で、tree-in-budの分布や免疫状態からは原因菌を推定できませんでした(Shimon 2015)。
気管支肺炎でよくある疑問(Q&A)
Q. 気管支炎と気管支肺炎はどう違いますか?
A. 気管支炎は炎症が気管支にとどまる状態、気管支肺炎は炎症が細気管支を越えて周囲の肺胞に広がり、CTで小葉中心性の陰影や斑状の浸潤影が出る状態です。
Q. 肺炎の診断にCTは必要ですか?
A. 市中肺炎の診断は症状と胸部X線が基本です。高分解能CTは肺炎のパターンや分布をX線よりよく描出しますが、細菌性肺炎で必要になる場面は限られ、選ばれた例で補助的に使われます(Franquet 2018)。
参考文献
- Reittner P, Müller NL, Heyneman L, et al. Mycoplasma pneumoniae pneumonia: radiographic and high-resolution CT features in 28 patients. AJR Am J Roentgenol. 2000;174(1):37-41. PubMed
- Franquet T. Imaging of Community-acquired Pneumonia. J Thorac Imaging. 2018;33(5):282-294. PubMed
- Dueck NP, Epstein S, Franquet T, et al. Atypical Pneumonia: Definition, Causes, and Imaging Features. Radiographics. 2021;41(3):720-741. PubMed
- Bankier AA, MacMahon H, Colby T, et al. Fleischner Society: Glossary of Terms for Thoracic Imaging. Radiology. 2024;310(2):e232558. PubMed
- Shimon G, Yonit WW, Gabriel I, et al. The “Tree-in-Bud” Pattern on Chest CT: Radiologic and Microbiologic Correlation. Lung. 2015;193(5):823-9. PubMed
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気管支壁の肥厚って何ミリからという基準はありますか?ぱっと見の印象なのでしょうか。
コメントありがとうございます。
何mmという基準はないと思います。そもそも測定するのが大変です。
正常例ですと空気に対して高吸収な気管支壁はほぼ見えません。
今回の症例のように壁をはっきり同定できる場合は肥厚ありと判断します。
ありがとうございます。助かります。