【頭部】TIPS症例18

【頭部】TIPS症例18

【症例】80歳代女性

スクリーニング

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FLAIRでの頭頂部の脳溝の高信号はなに?

高位円蓋部の狭小化および脳室拡大、両側Sylvius裂の開大を認めています。

前回の症例17で出てきた、いわゆるDESHの所見ですね。

特発性正常圧水頭症の可能性があります。

今回見て頂きたいのはこのDESH所見だけではなく、FLAIRにおける高位円蓋部レベルの所見です。

高位円蓋部では脳溝の狭小化が目立ちますが、よく見るとFLAIRで一部くも膜下腔(脳溝に沿って)が高信号を認めています。

FLAIRでくも膜下腔に高信号を認めた場合、最も注意しないといけなく、かつ有名なのが、

  • くも膜下出血
  • 髄膜炎

です。

では、今はくも膜下出血や髄膜炎でしょうか?

実はこれら以外でもFLAIRでくも膜下腔に高信号を示すことがあることが知られています。

具体的には、

  • アーチファクト(髄液流、血管拍動、金属の存在) ←症例15症例16で出てきました。
  • くも膜下出血
  • 髄膜炎
  • 脳溝の狭小化や静脈のうっ滞
  • もやもや病(側副血行路:ivy sign)
  • 脂肪(脂肪腫、破裂類皮腫成分)
  • 数分間以上の高濃度酸素吸入中
  • 腎不全患者にてGd系造影剤投与数日後

などが知られています。

今はどれでしょうか?

そう、脳溝の狭小化による変化です。

DESHのように脳溝の狭小化が見られる部位にもFLAIRでくも膜下腔が高信号になることがあるので注意しましょう。

 

診断:DESH所見あり、特発性正常圧水頭症の可能性あり。高位円蓋部の脳溝に沿ったFLAIR高信号は、脳溝の狭小化による変化が疑われる。

 

 

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【頭部】TIPS症例18の動画解説

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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