クモ膜下出血(SAH)の画像診断
MRI(特にFLAIR)の特徴、注意点
- FLAIRであれば急性期のみならず亜急性期例の診断が可能。CTと同等以上とされる。
- 急性期はCTと同等、亜急性期はCT以上!
- なので、SAHが疑わしいけど、CTでははっきりしない。だから、腰椎穿刺ではなく、FLAIRを撮影せよ。
- 軽微なSAHもFLAIRであれば明瞭な高信号として描出される。高信号が認めなくても、FLAIRにてくも膜下腔に(黒い)動脈が見える(正常では見えない。くも膜下腔内の濃度が上昇しているため浮き出て見える。)
- ただし、CT同様、FLAIRにてSAHを指摘できなくても、否定することはできない。
- また、FLAIRでくも膜下腔が高信号を呈する病変・病態を知る。
指導医
ここからはFLAIRでSAHのようにみえるけども、実際はSAHではない病態について見ていきましょう。
FLAIRでくも膜下腔が高信号を呈する病変・病態
- アーチファクト(髄液流(脳底部の脳槽、脳室周囲にしばしば認められる)、血管拍動、金属の存在(磁化率効果))
- くも膜下出血(急性期〜亜急性期)
- 髄膜炎(癌性、化膿性)
- もやもや病(側副血行路:ivy sign)
- 脳溝の狭小化や静脈のうっ滞
- 神経皮膚黒色腫症
- サルコイドーシス
- 脳梗塞、静脈塞栓(造影剤漏出による)
- 硬膜動静脈瘻
- 軟膜メラニン細胞増殖症(leptomeningeal melanosis)
- 脂肪(脂肪腫、破裂した類皮腫からの脂肪滴)
- 数分間以上の高濃度酸素吸入中(CSFは基底槽、脳底槽など主要血管の近傍で豊富な軟膜くも膜と接しており、その周囲のCSFはO2の拡散に有利なために高信号を示す。側脳室のCSFは高信号とならない。)
- 腎不全患者にてGd系造影剤投与数日
- 造影剤(直後および10時間後に認められている)
- リピオドールなどの油性造影剤
- 占拠性病変による周囲の脳脊髄液の停滞。
- 髄液に対して血液量の増加(水頭症あるいは脳静脈血栓症による)
- リウマチ性肉芽腫性髄膜炎
参考文献:画像診断 Vol.30 No.9 2010 P917
いつも参考にさせていただき、大変助かっております。ありがとうございます。
ただし、CT同様、FLAIRにてSAHを指摘できても、否定することはできない。
との記載ですが、誤植でしょうか。
ご確認をお願いしたいです。
コメントありがとうございます。
誤植ですね。修正しました。ご指摘ありがとうございます。