
症例59
【症例】50歳代 男性
画像はこちら
左腎から突出する嚢胞があり、よく見ると嚢胞内に高吸収の充実部位を疑う所見を認めています。
冠状断像でも同様です。
その数日後に腎ダイナミックCTが撮影されました。
すると、やはり嚢胞内に壁在結節が存在し、壁在結節は早期濃染され、平衡相ではwashoutされていることがわかります。
目立つ壁在結節は2つ存在し、早期濃染され、平衡相ではwashoutされている様子が分かります。
また嚢胞壁も壁在結節がある周辺はやや厚いことがわかります。
診断:bosniak分類Ⅳ
※腎細胞癌が疑わしいということで、手術(腹腔鏡下左腎全摘術施行)が施行され、病理の結果、淡明細胞癌(clear renal cell carcinoma)と診断されました。
このように嚢胞内に発生する腎癌がありますので、嚢胞を見た場合は、壁在結節や充実部位がないか、隔壁は不整でないか、数が多くないかなどチェックするようにしましょう。
結局最後はbosniak分類Ⅳかい!
こないだ、門脈圧亢進の側副路で、最後まんまと予測されましたからね。あえてのこの順番です。
ということで、腎嚢胞の、bosniak分類シリーズはこれにて(完)!!!となります。
関連:
その他所見:
- 肝左葉に血管腫あり。
- 肝S4に嚢胞あり。
- 肝右葉辺縁にAP shuntなどの偽病変(早期濃染のみ)の疑い。
- 両側多発腎嚢胞あり。
- ダグラス窩に腹膜ネズミあり。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
Ⅳが来た時に迷わないかと思ってましたが、結局は迷わないくらいのものがⅣでどうしようかというものはⅢになるような雰囲気ですね(しっかり分類してくださったので不適切な発言に感じたらすいません。前提に先生の教えてくださったものがあるのはまちがいないです)。マンモのカテゴリー4と5の分け方と同じようにどちらにせよ悪性と思って治療を行うという風に感じました。ⅡfとⅢが一番迷いそうな感じですね。反復しっかりして下さり、長期記憶につながったと思います。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>結局は迷わないくらいのものがⅣでどうしようかというものはⅢになるような雰囲気ですね
そうですね。
>ⅡfとⅢが一番迷いそうな感じですね。
おっしゃるとおりだと思います。Ⅲの中にも良性寄りと悪性寄りがあると思います。
いずれにせよ、腎嚢胞ありで終わりではなく、引っかけることが重要ですね。
腎嚢胞が多発していましたので、左腎臓のcategoryⅣの他にまだ病変があるのでは…と念を押して読影しましたが、あってcategoryⅡどまりですた(^^;)
アウトプットありがとうございます。
>左腎臓のcategoryⅣの他にまだ病変があるのでは…と念を押して読影しましたが
そんな落とし穴は用意してませんでした。。
用意したかったですが、categoryⅣ自体それほど頻度も高くないのでそんな余裕もないです(^_^;
bosniak分類も「そんなのあったなー」くらいでしたが、今回症例を重ねたことで理解でき、しっかり意識できるようになりました。
ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
やばそうな腎嚢胞をぜひ引っかけられるようにしましょう。
これからはbosniak分類を意識して,腎嚢胞をみるようにして,スルーしないようにしたいと思います.
アウトプットありがとうございます。
そうですね。ほとんどの腎嚢胞はフォローの必要もないのですが、その中でやばそうな腎嚢胞が時にあると言うことを知っておき、それが今回見てきたような悪性度の高いものぽかったら引っかけるということが大事ですね。
いつもありがとうございます。
業務は超音波検査です。CTも読めるようになりたくて登録しました。腎腫瘍の分類は、勉強になりました。
質問したいことがあるのですが、
DIC-CTで胆泥が見られたのですが、エコーでは
みられませんでした。そのようなことはありますか? エコーの見落としの可能性のほうが高いでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>DIC-CTで胆泥が見られたのですが、エコーではみられませんでした。そのようなことはありますか? エコーの見落としの可能性のほうが高いでしょうか?
DIC-CTはほとんど経験がないので何とも言えないですが、DIC-CTでも胆嚢内に造影剤がきちんと行き届かないと胆泥のようにみえることもあるのかもしれませんね。
エコーでないのならばなしで良いと思いますが。
各ステージの症例の揃い踏みですね。
単純CTで腎嚢胞を認めても、簡単にスルーせずに、Bosniak分類のことを思い出して
見ていこうと思いました。
アウトプットありがとうございます。
Bosniak分類シリーズにお付き合いいただきありがとうございます。
今回のような症例を単純でもひっかけなければならないですね。
いつも貴重な症例をありがとうございます。
>今回のような症例を単純でもひっかけなければならないですね。
おっしゃるとおりです。
本症例の場合、左腎嚢胞内の相対的高吸収域と、肝臓の高吸収腫瘤(脂肪肝のためより見やすい)を単純CTの段階で指摘し、USないし造影CTをリコメンドすべきですね。
Ⅰ→Ⅳの展開、素晴らしかったです。
ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>本症例の場合、左腎嚢胞内の相対的高吸収域と、肝臓の高吸収腫瘤(脂肪肝のためより見やすい)を単純CTの段階で指摘し、USないし造影CTをリコメンドすべきですね。
おっしゃるとおりです。
>Ⅰ→Ⅳの展開、素晴らしかったです。
茶番(?)にお付き合いいただきありがとうございます。