腎嚢胞には、良性の単純性腎嚢胞のほか、追加評価が必要な嚢胞性腎病変や、多発性嚢胞を生じる疾患に関連したものがあります。

単純性腎嚢胞の多くは症状を起こしません。一方、病変の性状や症状によっては、精密検査、経過観察または治療が検討されます。

この記事では、

  • 症状を伴う腎嚢胞
  • 画像による追加評価が必要な病変
  • 経過観察が検討される病変

についても取り上げます。

個々の画像所見と診断は、画像全体や臨床情報を含めて医療者が判断する必要があります。

腎嚢胞とは?

腎嚢胞は、腎臓に認められる嚢胞性病変です。

小児の腎嚢胞には孤立性、遺伝性、後天性など多様な背景があります。

腎臓に認められる良性病変の一つが単純性腎嚢胞(simple cyst)です。

BosniakカテゴリーIの単純嚢胞は、薄い壁をもち、隔壁、石灰化、充実成分、造影効果を認めない病変として扱われます。

腎嚢胞が見られる頻度は?

単純性腎嚢胞は一般的な良性病変ですが、年齢別の正確な頻度は、今回提示された根拠資料だけでは示せません。小児では単純嚢胞は非常にまれとされています。1)

続いて、腎嚢胞の画像評価について見ていきます。

腎臓の嚢胞性病変がすべて単純性腎嚢胞とは限りません。画像上の性状や背景疾患に応じて、別の評価が必要になることがあります。

単純ではない嚢胞性病変とは?

複雑な画像所見を示す嚢胞性腎病変や、出血・感染などの合併症が疑われる病変があります。

ADPKDでは、嚢胞の出血や感染が疑われる場合、造影CTまたは造影MRIが画像評価の選択肢になります。

複雑性腎嚢胞(非定型腎嚢胞)

単純嚢胞の所見を満たさない嚢胞性腎病変は、壁、隔壁、石灰化、充実成分、造影効果などを画像で評価します。

感染が疑われる腎嚢胞

ADPKDの嚢胞感染が疑われる場合、造影CTや造影MRIによる評価が行われることがあります。


次に、嚢胞が多数認められる場合を扱います。

多発する腎嚢胞

多数の腎嚢胞は、ADPKDなどの遺伝性疾患や、後天性の病態を含む複数の背景で認められます。

多発性嚢胞を生じる病態には、

  • 常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)などの遺伝性疾患
  • 後天性嚢胞性腎疾患

などがあります。

また、定期的な超音波検査の対象となり得る背景として、

  • 結節性硬化症
  • von Hippel-Lindau病

などが小児のコンセンサスガイドラインで挙げられています。

腎嚢胞の原因は?

腎嚢胞には孤立性、遺伝性、後天性など異なる背景があります。単純性腎嚢胞が生じる機序については、今回提示された根拠資料だけでは断定できません。1)

遺伝性の嚢胞性腎疾患の一つに、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD:autosomal dominant polycystic kidney disease)があります。

常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)とは?

  • 遺伝性の腎疾患です
  • 小児期から嚢胞形成や腎臓の構造変化が認められる場合もあります

ADPKDは主に成人期に症状が現れる疾患ですが、小児期または出生前から変化が認められる場合があります。

頭蓋内動脈瘤を含む腎外病変も診療上の検討事項ですが、その頻度や死亡リスクを示す数値は、今回提示された根拠資料だけでは確認できません。

症状や合併症として、

  • 嚢胞の出血
  • 嚢胞拡大による圧迫症状や痛み

などがあり、高血圧、尿路感染、頭蓋内動脈瘤などの評価と管理も重要とされています。2)

腎嚢胞の症状は?痛みを伴うことはある?

単純性腎嚢胞の多くは無症状ですが、一部では症状のため治療が必要になります。

症候性の単純性腎嚢胞について、供給された系統的レビューで確認できる症状には、

  • 痛み
  • 血尿

があります。

腎嚢胞から癌が生じることはある?

腎嚢胞が一律に癌化するとはいえません。一方、嚢胞性腎腫瘤には悪性のものがあり、画像所見に基づく評価が必要です。

嚢胞性腎病変では、壁や隔壁の性状、石灰化、充実成分、造影効果などを評価します。

散発性の淡明細胞型腎細胞癌について、対応する前駆病変は確立していません。一方、VHL病や後天性嚢胞性腎疾患など、嚢胞が腫瘍の前駆病変となり得る特定の背景があります。

良性病変と悪性の可能性がある嚢胞性腎腫瘤を画像で層別化する方法として、Bosniak分類が用いられます。

腎嚢胞の分類は?

嚢胞性腎腫瘤の悪性リスクを画像所見に基づいて層別化する方法として、Bosniak分類(読み方は「ボスニアック」分類)があります。

Bosniak分類では嚢胞性腎腫瘤をカテゴリーI、II、IIF、III、IVに分類し、一般にカテゴリーが上がるほど悪性の可能性が高くなります。

  • 隔壁の有無と性状
  • 石灰化の有無と性状
  • 病変の大きさや減衰値
  • 造影効果の有無
  • 充実成分の有無

などが分類に用いられます。

腎嚢胞の治療方法は?

BosniakカテゴリーIおよびIIの病変は、供給された系統的レビューが扱った分類では追加精査を必要としない良性病変とされています。一方、症候性の単純性腎嚢胞や、悪性が疑われる嚢胞性腎腫瘤では、病変に応じた対応が検討されます。

症候性の単純性腎嚢胞に対する治療として、根拠資料で確認できるものには、

  • 腹腔鏡下開窓術
  • 画像ガイド下穿刺吸引
  • 穿刺吸引と硬化療法

があります。

単純性腎嚢胞が自然経過で拡大、縮小または消失するという記載は、今回提示された根拠資料だけでは確認できません。

最後に

腎嚢胞について、画像評価、症状、背景疾患、治療の観点からまとめました。

  • 単純性腎嚢胞は一般的な良性病変で、多くは無症状です。
  • 腎嚢胞には遺伝性や後天性など異なる背景があります。
  • 腎嚢胞が一律に癌化するとはいえませんが、嚢胞性腎腫瘤には悪性病変も含まれます。
  • Bosniak分類は、嚢胞性腎腫瘤の悪性リスクを画像所見から層別化します。
  • 単純性腎嚢胞の一部では痛みや血尿などの症状がみられます。
  • 症候性の単純性腎嚢胞では、穿刺吸引・硬化療法や腹腔鏡下開窓術が治療選択肢になります。

以上が要点です。

BosniakカテゴリーIまたはIIと判断された病変は、供給された系統的レビューが扱った分類では追加精査を必要としない良性病変とされています。

ただし、嚢胞性病変の種類は一様ではありません。症状がある場合や複雑な画像所見を指摘された場合は、個別の評価方針を担当医に確認してください。

参考文献:
知っておきたい泌尿器のCT、MRI 1)P95 2)P111

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