Bosniak分類(ボスニアック分類)とは?

腎臓の嚢胞性腫瘤の良悪性の鑑別に以下の分類(Category)が提唱されています。

カテゴリーはⅠ〜Ⅳの4つに加えてⅡFの5つからなります。

このBosniak分類は2019年に改訂3)されました。これに伴い記事を改訂しました。

1つ1つ見ていきましょう。

Bosniak分類カテゴリーⅠ

単房性、薄い嚢胞壁の嚢胞です。

内容物は水濃度で、隔壁や石灰化は認めない単純性嚢胞です。

無治療となります。

Bosniak分類カテゴリーⅡ

  • 2mm以下かつ3本以下の平滑な隔壁を有する嚢胞
  • 嚢胞壁や隔壁に石灰化がある嚢胞
  • 単純CTで均一な70HU以上の高吸収腫瘤、あるいは造影効果を伴わない均一な高吸収腫瘤、あるいはT1強調像で均一な高信号腫瘤

がこれに相当します。

※2019年より前の分類では高吸収嚢胞であっても3cm以下がⅡとされていましたが、大きさによる分類が2019年でなくなりました。

良性であり経過観察の必要なしとされています。

症例 70歳代女性

Bosniak

左腎に多発嚢胞あり。

嚢胞壁にわずかな石灰化を認めています。

Bosniak分類のcategoryⅡ相当です。

症例 80歳代女性

左腎に2箇所嚢胞あり。

左腹側の嚢胞の嚢胞壁にわずかな石灰化を認めています。

Bosniak分類のcategoryⅡ相当です。

Bosniak分類カテゴリーⅡF

まず、ⅡFのFはfollow(経過観察)のfです。

  • 3mmの平滑な嚢胞壁や隔壁を有する嚢胞
  • 2mm以下かつ4本以上の平滑な隔壁を有する嚢胞
  • 脂肪抑制T1強調像で不均一な高信号を呈する嚢胞

がこれに相当します。

これらは、悪性の可能性を否定できず経過観察が必要となります

経過観察は、まず半年後変化なければその半年後、さらにその後は1年毎に最低5年間経過観察することが推奨されています。1)2)

症例 80歳代男性

無音動画です。

こちらは隔壁がやや多くⅡ〜ⅡF相当です。

 

Bosniak分類カテゴリーⅢ

厚い不整な嚢胞壁や隔壁をもつ嚢胞や、明瞭な造影効果を有する嚢胞がここに該当します。

  • 4mm以上の平滑な嚢胞壁や隔壁を有する嚢胞
  • 3mm以下の不均一な嚢胞壁や隔壁を有する嚢胞

およそ半数が悪性であり、原則手術とされます。

症例 50歳代男性

bosniak3

左腎臓の下極に多房性のう胞性病変を認めています。

一部は壁が厚く、造影効果が強い部位あり。

Bosniak分類のcategoryⅢに相当します。

Bosniak分類カテゴリーⅣ

  • 造影される結節を有する嚢胞

がこれに相当します。

嚢胞壁や隔壁であってもが不均一で、4mm以上肥厚して内腔に突出している部分は結節とします。また内腔に鋭く突出している部分は、そのサイズによらず結節とします。

悪性の可能性がきわめて高く、原則手術となります

症例 50歳代男性

bosniak classification category4

左腎嚢胞に結節を認めており、ダイナミックCTにおいて早期相でよく染まり、平衡相で抜け(washout)を認めております。

嚢胞内に発生した腎細胞がんを疑う所見であり、Bosniak分類のcategoryⅣに相当します。

症例 60歳代男性

上の症例と同じように、右腎嚢胞に結節を認めており、ダイナミックCTにおいて早期相でよく染まり、平衡相で抜け(washout)を認めております。

また嚢胞壁も全体的に厚いです。

嚢胞内に発生した腎細胞がんを疑う所見であり、Bosniak分類のcategoryⅣに相当します。

Bosniak分類と嚢胞の数、壁の厚さ、造影効果の関係は?

Bosniak分類と嚢胞の数、壁の厚さ、造影効果の関係は大まかに以下のようになります。

bosniak classification

 

Bosniak分類と腎嚢胞の対処方法

  • category Ⅰ、Ⅱ→良性の嚢胞
  • category ⅡF→悪性を否定できず、画像で経過観察。Fはfollow upのF。
  • category Ⅲ→およそ半数が悪性であり、原則手術。
  • category Ⅳ→悪性の可能性がきわめて高く、原則手術。

※ⅡFでも20%程度の悪性が含まれ、Ⅲでも20〜50%程度の良性が含まれることが知られている。

category ⅡFの経過観察は、まず半年後変化なければその半年後、さらにその後は1年毎に最低5年間経過観察することが推奨されている。1)2)

categoryⅡFのフォロー
最初はCT→あとはMRIで5年間フォローする!

 

単純嚢胞

1)単発性腎嚢胞

  • complicated  cyst
  • 腎癌の嚢胞変性
  • 感染性嚢胞(膿瘍)

2)多発性腎嚢胞

  • 単純性嚢胞が多発している場合と多嚢胞腎(polycystic  kidney)の場合がある。
  • 先天性:常染色体優性遺伝(ADPKD)
  • 後天性:腎透析、結節性硬化症やvon-Hippel-Lindau病など。

3)多房性腎嚢胞

  • 嚢胞型腎細胞癌
  • 隔壁を有する単純嚢胞
  • 腎膿瘍
  • multilocular cystic nephroma(MCLN、多房性腎症)
    ⇒腎癌でも同様の画像を呈することがあり鑑別困難。
  • その他、限局性の多嚢胞性異型性
    ⇒正常腎実質を欠くことで診断は容易。

4)嚢胞性病変と鑑別が問題となる疾患

1)J Am Coll Radiol 7:754-773,2010
2)Radiology 249:16-31,2008
3)Bosniak Classification of Cystic Renal Masses, Version 2019: An Update Proposal and Needs Assessment

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