
症例57
【症例】50歳代男性 胆摘後フォロー
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右腎から突出する腫瘤を認めています。
辺縁はやや不整で内部は腎実質と等吸収に見えます。
腫瘤は嚢胞性病変であり、厚い不整な嚢胞壁や隔壁を有し、壁には明瞭な造影効果を認めていることがわかります。
早期相と平衡相を比べると、早期濃染されていた部位が一部washoutされているように見える部位もあり、腎癌の可能性が疑われます。
診断:Bosniak分類Ⅲ
※腎細胞癌が疑わしいということで、手術(後腹膜鏡下右腎部分切除術)が施行され、病理の結果、淡明細胞癌(clear renal cell carcinoma)と診断されました。
今回のような腎嚢胞を見た場合は、悪性の可能性を考え、泌尿器科コンサルトする必要があります。
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お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
正直、悪性にしか見えませんが、約半数は良性腫瘍ということがあるんですね…。
アウトプットありがとうございます。
>約半数は良性腫瘍ということがある
そのように報告されていますが、
実際は悪性寄りのものと良性寄りのものが混在しており、
今回のケースは極めて悪性寄りと判断できますね。
bosniak分類の症例を繰り返すことで、良悪性の傾向と雰囲気が分かってきた気がします。
アウトプットありがとうございます。
良かったです。悪性ぽいものを引っかけることが重要ですね
単純CTで水濃度でないので
普通の嚢胞でないと気づくべきなんですね。
今回も勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。
・濃度
・形状
から単純CTで引っかけることができますね。
いつも勉強させていただいています。
右の甲状腺に嚢胞の様な低吸収域が有りますが、これはLDAというやつでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるようにLDAというやつです。
造影なしだと見過ごしてしまいそうです。造影CTではいかにも悪そうな顔をしていますね。
ところで、「bosniak分類」とbの字は大文字でなくてもいいのですか。それとも小文字が正しいのですか。
アウトプットありがとうございます。
大文字が正しいようですので修正しました。ご指摘ありがとうございます。
いつも貴重な症例をありがとうございます。
手術を考慮される場合、腎血管や尿管などの破格があれば、レポート記載した方が良いですよね?
右腎腫瘍から伸びる脈管構造(image237/411、47/63、50/73など)の正体は何なのでしょうか?
(腹部大動脈から分岐する右腎副動脈?>bridging septa?)
術式決定(全摘、部分切除、ラジオ波や凍結などの局所治療)に影響しそうな気がするので、技師さんにお願いして、腎門部〜総腸骨動脈分岐部くらいまでの最小スライス厚ボリュームデータ欲しいトコですotz
アウトプットありがとうございます。
>右腎腫瘍から伸びる脈管構造(image237/411、47/63、50/73など)の正体は何なのでしょうか?
(腹部大動脈から分岐する右腎副動脈?>bridging septa?)
確かに血管があり、腫瘍と連続性を認めていますね(^_^;)
おっしゃるようにbridging septaではないですね。
詳細は不明ですが、手術記録など確認してみます。
>術式決定(全摘、部分切除、ラジオ波や凍結などの局所治療)に影響しそうな気がするので、技師さんにお願いして、腎門部〜総腸骨動脈分岐部くらいまでの最小スライス厚ボリュームデータ欲しいトコですotz
おっしゃるとおりです。
早速のフィードバックありがとうございます。
わざわざ手術サマリーまで…お手数かけます(^_^;)
恐らく本症例は腫瘍4cm以下のT1aで、最近の標準治療では部分切除が推奨されているので、腫瘍周辺血管の詳細なサマリー記載があると良いのですが…
個人的には、本症例は富血性clear cell typeのRCCと病理診断がついていますので、腫瘍栄養血管つまり動脈(画像自体も早期相でより血管の濃染が明瞭)のような気がしますが、連続性が不明瞭です。
無理やり(笑)見ると腹部大動脈から直接出てる
ような?正中仙骨動脈も怪しいような?
なかなか稀な腎動脈の破格でしょうか?
?ばかりで申し訳ありません(苦笑)
確認しました。後腹膜鏡下右腎部分切除術が施行されていますが、血管などの詳細については記載がありませんでしたorz
ご確認、ありがとうございます。
これは永遠に闇に葬られる症例ですね。
当院当科ではこういった症例を「迷宮会入り」と呼び、ティーチングファイルに保存し封印し、時より挙げ祀っています(笑)
これからもよろしくお願い致します。
>「迷宮会入り」と呼び、ティーチングファイルに保存し封印し、時より挙げ祀っています(笑)
名球会ならぬ迷宮会ですか。
結局闇に葬られる症例は結構ありますね。
転院となってそのまま分からなくなったり、通院を自己中断されたり・・・。
こちらこそよろしくお願いします。
いつも貴重な症例ありがとうございます。勉強になります。
今回の症例でいくつか気になる点があります。多くの点で無知であるため、もし可能であればご教授願いたく存じます。
CT横断像 41枚目で膵体部腹側にLDAが見られるのですが、これは仮性膵嚢胞になるのでしょうか?
また、CT横断像 49枚目で左副腎に腫瘤の様なものがみられるのですが、いかがでしょうか?
対応などについてもご教授いただければと思います。
アウトプットありがとうございます。
>CT横断像 41枚目で膵体部腹側にLDAが見られるのですが、これは仮性膵嚢胞になるのでしょうか?
同部に嚢胞ははっきりせず、partial volume effect(部分容積効果)ではないでしょうか。
>CT横断像 49枚目で左副腎に腫瘤の様なものがみられるのですが、いかがでしょうか?
対応などについてもご教授いただければと思います。
おっしゃるように少し結節状ですのでこれは指摘するべきですね。
内分泌的な精査をして、異常がないのであれば、定期フォローでよいです。
ご確認ありがとうございます。
部分容積効果でしたか…あまりにも勉強できていないため、ここで知ることができてよかったです。調べてまた不明な点が出たら質問させていただきます。
お忙しい中返信して下さったことに、感謝申し上げます。
今後もよろしくお願い致します。