
症例56
【症例1】70歳代男性
画像はこちら
左腎臓に複数の石灰化を有する隔壁構造を認めています。
冠状断像でも同様ですが、いくつ隔壁があるのかはちょっと厳密には分かりませんね。
また造影では隔壁に明らかな造影効果は認めていません。
ここをどう判断するかは人にもよるかと思われますが、少なくとも3つくらいは隔壁がありそうだと判断すれば、bosniak分類ⅡFとなります。
2つ以下だと判断すればbosniak分類Ⅱとなります。
私は3つ以上あるのではないかと思いますので、bosniak分類ⅡFと診断しました。
診断:bosniak分類ⅡF(もしくはⅡ)
bosniak分類ⅡF相当の嚢胞とは?
3つ以上の薄い隔壁を有し、最小限の増強効果を認めることもあります。
また3cm以上の高吸収嚢胞がこれに該当します。
【症例2】50歳代男性
画像はこちら
右腎下極から突出する1.5cm大の高吸収結節を認めています。
腎ダイナミックCTで、この結節はほとんど造影されていないことが分かります。
そのため、高吸収嚢胞である複雑性嚢胞(complicated cyst)としてフォローされています。
診断:bosniak分類Ⅱ
bosniak分類Ⅱ相当の嚢胞とは?
2つ以下の薄い隔壁をもち、わずかな石灰化を有することもある嚢胞です。
あるいは、3cm以下の高吸収嚢胞がこれに該当します。
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お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
細かい分類は難しいこともありますが、造影効果など悪性所見は見逃さないようにして、両悪性の鑑別だけは間違えないようにしたいです。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。造影効果や隔壁構造、壁在結節などには注意しましょう。
高吸収な腎嚢胞は出血性嚢胞なのか、それとも隔壁がないのでカテゴリ1なのか迷いました。腎嚢胞は基本的に悪性ではないイメージが強いのでしっかり医師に診てもらえる画像(薄いもの)を作成したいですが、画像容量との兼ね合いで施設ごとに考えないといけませんね。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>画像容量との兼ね合いで施設ごとに考えないと
おっしゃるとおりですね。
頻度が多いので、少なくともⅡ以上で作っていただけたらありがたいですね。
MPRも。
Radiologyにbosnisk classification ver.2019が載っていました(https://pubs.rsna.org/doi/pdf/10.1148/radiol.2019182646)。
今までのⅡFに含まれる Intrarenal nonenhancing hyperattenuating renal masses>3 cmがなくなって、高吸収嚢胞は全部Ⅱになっている?ようです。
しっかりと読めていないので間違っていたら申し訳ありませんが、今後はver. 2019に準じていくという感じなのでしょうか
orz
せっかく作ったのに・・・・。
ここでもガイドラインとのいたちごっこですね。
貴重な情報ありがとうございます。全然知りませんでした。
腎嚢胞を見てもいつもスルーしてしまいがちですが,分類を念頭に悪性の可能性・フォローの必要性を意識するようにしようと思います.
アウトプットありがとうございます。
そうですね。
bosniak分類でⅡF以上のやばそうな腎嚢胞をひっかけるようにしてください。
↑のradiologyの記事、知りませんでした。隔壁は2mm以下は薄いと判断するんですね、勉強になりました。
ですね。私も知りませんでした。勉強になりました(^o^)
正直、腎嚢胞に関して、壁/隔壁の肥厚や造影効果、結節などは注意深く見ていましたが、細かな分類はあまり気にしていませんでした…。この機会にbosniak分類をしっかり学びたいと思います。
アウトプットありがとうございます。
>この機会にbosniak分類をしっかり学びたいと思います。
ちょうど新しい分類になったので、良い機会ですね!
今まで出会った腎嚢胞は存在だけでスルーしていましたが、
今後は、隔壁がないか、隔壁に石灰化はないか、高吸収な嚢胞か、嚢胞の中に腫瘤がないか、などに注意していきます。
悪性の嚢胞を見逃さないということですね。
アウトプットありがとうございます。
>今後は、隔壁がないか、隔壁に石灰化はないか、高吸収な嚢胞か、嚢胞の中に腫瘤がないか、などに注意していきます。
悪性の嚢胞を見逃さないということですね。
おっしゃるとおりです。しばらくこのシリーズが続きますのでその目で見てみてください。
いつも勉強させていただいております。腎嚢胞の分類自体があることを知りませんでしたが、それがさらにアップデートされているとは。。
とはいえ、重要なのは両悪性の判断ということは変わりないということでよろしいでしょうか。
また、本筋と違うので恐縮ですが(いつもすみません)、【症例1】70歳代男性の冠状断層面(造影)の縦横比がちょっと変なようです。修正が可能でしたらよろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
>重要なのは両悪性の判断ということは変わりないということでよろしいでしょうか。
変わりないです。
>本筋と違うので恐縮ですが(いつもすみません)、【症例1】70歳代男性の冠状断層面(造影)の縦横比がちょっと変なようです。修正が可能でしたらよろしくお願いします。
ご指摘ありがとうございます。
修正依頼をかけます。
いつも貴重な症例をありがとうございます。
今回の腎囊胞シリーズも楽しいです。
透析腎や多発腎囊胞PKD症例ではいつも骨が折れます。
他所見ですが、症例2胆嚢頚部の石灰化を伴う腫瘤は、胆石でいいのでしょうか?(ほとんど造影効果無いような…)
アウトプットありがとうございます。
>透析腎や多発腎囊胞PKD症例ではいつも骨が折れます。
ですね(^_^;)
>他所見ですが、症例2胆嚢頚部の石灰化を伴う腫瘤は、胆石でいいのでしょうか?(ほとんど造影効果無いような…)
単純CTで高吸収ですし、胆石が複数あるのだと思いますが、エコーでも確認したいですね。