
【頭部】症例50
【症例】70歳代 女性
【主訴】受け答え難あり。
【現病歴】C型肝硬変、肝癌で加療中。昨日皮膚科受診時に平素と比較して受け答えに難あり、神経内科紹介受診となる。
【既往歴】虫垂炎、高血圧、肝硬変、肝癌、左大腿骨頸部骨折
【身体所見】自発開眼し、受け答えするが注意持続せず、診察には十分に応じられない。見当識障害あり。長谷川式スケール(HDS-R)17/30
画像はこちら
MRI
頭部CTでは特記すべき異常所見を認めていません。
MRIでも一見何もないように思うかも知れませんが、T1WIで両側淡蒼球に左右対称な異常高信号を認めています。
今回のように、慢性肝障害や肝硬変の既往がある場合、このように淡蒼球にT1WIでの高信号の有無をチェックすることが重要です。
- 慢性肝障害による脳の変性
- 肝性脳症
でこのように高信号を示すことが知られています。
今回も病歴から、肝性脳症疑われ、アミノレバン点滴となりました。
それにより症状やや軽減を認めましたが、NH3は正常値でした。
肝性脳症や慢性肝障害による変化であろうと診断されました。
診断:肝脳変性症(慢性肝機能障害による脳変性症もしくは肝性脳症)
関連:
その他所見:右上顎洞に粘膜肥厚あり。副鼻腔炎を疑う所見です。
【頭部】症例50の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
私の場合、T1は各シーケンスの中でサッと見てしまう傾向にあります。T1が有意な疾患も存在するので丁寧な読影をしたいです。
アウトプットありがとうございます。
私もです(^_^;
同じように丁寧な読影をしたいものです。
淡蒼球のT1信号に違和感を感じ、「正常変性?みんなどうだっけ?」と他人のT1と比べるとやはり異常信号なのかなと拾えました。ただ肝性脳症でこのような信号を示すことを知らず、病的意義が分かりませんでした。リンクが勉強になります。
アウトプットありがとうございます。
>他人のT1と比べるとやはり異常信号なのかなと拾えました。
単に答えをみるのではなく、他の人と実際の画像で比較することは大事ですね。
その方が記憶に残りますね。
両側だと正常がどうだったかわからなくなってしまいます。ウォルニッケ脳症もそうでしたがしっかり押さえていきたいです。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>両側だと正常がどうだったかわからなくなってしまいます。
ですね。T1WIでの淡蒼球の高信号は異常ですので覚えておいてください。
今日もありがとうございます。
T1の異常信号には気づいたもの診断までむすびつきませんでした。しっかり覚えて次見たときに気づけるようにしたいです。
アウトプットありがとうございます。
>T1の異常信号には気づいたもの診断までむすびつきませんでした。
それは惜しかったですね。リンク先の淡蒼球のT1WI高信号をチェックしておいてください。
お疲れ様です。
T1での高信号は中脳や大脳脚まであるような気がするのですが、いかがでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
そうですね。大脳脚にもありそうです。
知らないと異常とせずにスルーしそうです.
ぜひ覚えておきたいと思います.
アウトプットありがとうございます。
左右対称だけに、こんなものかと思いがちですね。T1WIで淡蒼球が高信号は異常だと覚えておきましょう。
こんにちは!本日もよろしくおねがいいたします。
T1WIの異常所見を同定し肝性脳症との関連を教科書で調べて回答することはできましたが、肝性脳症の画像所見は初めて勉強しました!
被殻の血管周囲腔も指摘できました。
アウトプットありがとうございます。
>肝性脳症の画像所見は初めて勉強しました!
なかなかT1WIが主役になることがないので、T1WIをすっ飛ばしがちですが、この疾患はT1WIでしかわからないですね。
慢性肝障害や肝硬変で、脳にこのような障害が起こるのですね。
以前、T1WIで同じように被殻のあたりに高信号があって、なんだろうなぁ?と思った覚えがあります。
もしかしたら、同じような症例だったのかもしれないですね。
T1WIのみで異常信号を認めるっていうことはあまりないと思うので、しっかり覚えておくようにしようと思います。
アウトプットありがとうございます。
>以前、T1WIで同じように被殻のあたりに高信号があって、なんだろうなぁ?と思った覚えがあります。
もしかしたら、同じような症例だったのかもしれないですね。
淡蒼球を中心とした基底核にT1強調像で高信号を呈する鑑別疾患にはこれ以外にもたくさんありますが、両側性で肝硬変があればこれだったのかもしれませんね。
>T1WIのみで異常信号を認めるっていうことはあまりないと思うので、しっかり覚えておくようにしようと思います。
そうですね。珍しいパターンですね(^^)
現病歴から肝性脳症があるのかなと思いながら読影をしていましたが、そもそも肝性脳症のMRI所見を知らなかったので今回とても勉強になりました。
DWI、FLAIRで両側前頭葉皮質の高信号を認めると記載したのですが、取りすぎでしょうか?アーチファクトや、その他説明がつくような病態・状況があるのか気になりました。
アウトプットありがとうございます。
>DWI、FLAIRで両側前頭葉皮質の高信号を認めると記載したのですが、取りすぎでしょうか?アーチファクトや、その他説明がつくような病態・状況があるのか気になりました。
FLAIRははっきりしませんが、DWIは辺縁はアーチファクトによる高信号ですね。
また右上顎洞に副鼻腔炎があるためそのT2 shine thoughによる影響も加わっているかと考えます。
(ただし古い症例でADCがないですが)
T1WIで頭蓋骨の骨髄信号が大部分で低信号に見え、多発骨転移疑いにしました。
これは正常の所見でしょうか?ほかに理由があるのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
確かに正常ではないですね。
骨条件で見てみましたが、骨硬化や骨溶解はありませんでした。
骨条件はこちら
https://imaging-diagnosis.com/view/c5Z6eHMP
赤色髄化が起こっているのかもしれません。
参考
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/5037
いつもありがとうございます。
右上顎洞周囲の骨がCTで分厚く高吸収となっており、骨増殖性転移かもと思ってしまいました。
副鼻腔炎との鑑別などご教授いただけますと幸いです。よろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
慢性副鼻腔炎の場合、骨が肥厚し硬化することがあります。
今回も右の上顎洞の骨壁の肥厚を認めていますので、慢性的な副鼻腔炎が存在していることが疑われます。