
【頭部】症例12
【症例】70歳代 男性
【主訴】意識障害、嘔吐
【現病歴】1時間前に昼食中に突然テーブルの上に倒れ込み、救急搬送。
【身体所見】JCS-10-20、GCS E3V4M6、呼びかけで開眼し、氏名は言える、BP 148/74、HR 89、SpO2 98%(4l nasal)、瞳孔2mm/2mm、詳細な神経学的所見取れず。
画像はこちら
右小脳半球に4.5×3.2cm大の高吸収域を認めています。
(※皆さんの環境ではサイズを測れません。すいません。)
右小脳出血(歯状核)を疑う所見です。
脳内出血を見た際に、確認すべき項目は以下の通りでした。
今回は、脳室内への穿破を疑う所見は認めていませんが、脳室をやや圧排しています。
ただし、明らかな水頭症を疑う所見は認めていません。
また脳内出血を認めた際の、手術の適応は以下の通りでした。
今回は小脳出血で、最大径は3cmを超えています。
また、意識レベルの増悪を認めており、外科的治療介入の適応ありと判断されました。
開頭血腫除去術が施行されました。
術後20日後のフォローのCTです。
血腫は取り除かれており、脳室の圧排所見も軽減しています。
(人工硬膜と後頭筋群の間には髄液の漏れを認めています。)
その他所見:
- 両側視床に低吸収域あり。陳旧性脳梗塞疑い。
- 右被殻に陳旧性脳梗塞疑い。
- 左上顎洞・篩骨洞・前頭洞に粘膜肥厚あり。
【頭部】症例12の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
副所見ですが、
視床の陳旧性梗塞はきれいに左右対称だったので(?)、スルーしてしましました。
あと、地味に前頭洞の液貯留もあんまり見たことがなかったので、よく覚えておきます(^▽^)/
しましました→しまいました
アウトプットありがとうございます。
>視床の陳旧性梗塞はきれいに左右対称だった
視床は同時に両側に梗塞が起こることがありますので、覚えておいてください。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/1168
(何の解説もない動画が掲載されています(^_^;)
>地味に前頭洞の液貯留もあんまり見たことがなかったので、よく覚えておきます(^▽^)/
そうですね。副鼻腔の解剖なども大まかなところは押さえておきましょう。
当院では脳外科の手術を行っておらず、術後の画像を見ることがほとんどありません。
術後の画像で、後頭筋群の間には見られる液体貯留は、髄液の漏れを示唆するのですね。術後の評価も勉強になります。
アウトプットありがとうございます。
>後頭筋群の間には見られる液体貯留は、髄液の漏れを示唆するのですね。
そうなんです。これで大丈夫なのかと思ってしまいますが、大丈夫なようです。
脳室を押してないかとか、これまでそれほど気にしていなかった点に関しても、繰り返し症例を見ることで定着してきた気がします。ありがとうございます。
動画作ってる方からすると、ちょっとくどいかなと思いながらでしたので、それはよかったです(^o^)
右小脳出血はわかりましたが
歯状核まではわかりませんでした。
あと
脳室をやや圧排しているのと
明らかな水頭症を疑う所見は認またいないことを指摘できませんでした。
手術適応はなんとなく3cmあるかな?
という感じで適応かなと思いました。
計測しなくてもだいだいでわかるようになりたいので脳構造物で3〜4cmの物の指標
を見つけたいです。
中脳が3cmぐらいなのかな?
と勝手に思っています。
明日もよろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
>手術適応はなんとなく3cmあるかな?
そうですね。計測が出来ない環境ですので、申し訳ありません。
実際手術された症例ですので、なんとなくこのくらいは手術適応と目に焼き付けましょう(^o^)
明日もよろしくお願いします。
視床梗塞や開頭術後の髄液漏など、ここの質疑応答でかなり勉強になっています。
それはよかったです!!(^o^)
今日もありがとうございます。
陳旧性視床梗塞見逃しました…
左の静脈洞内の低吸収はくも膜顆粒ですか?
アウトプットありがとうございます。
>左の静脈洞内の低吸収はくも膜顆粒ですか?
おっしゃるとおりくも膜顆粒ですね。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/8133
出血は確かに大きいですが,あまり圧排があるようには見えず,以外と大丈夫なのかなと思っていましたが,血腫除去されるのですね.
この辺は症状と相談にもなるのでしょうか.
アウトプットありがとうございます。
>症状と相談にもなるのでしょうか.
そうですね。症状とサイズがまずは適応判断となると考えられます。
側脳室の拡大などがみられなかったため、脳室圧排所見はないと判断してしまいましたが、
普通に第4脳室の形に左右差がありますね。
変に解釈して自分の都合のよいように所見を書く悪い癖がありますが、
所見はみたまま書くようにしていきたいです。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。上流の脳室が拡大するまでは進行していないですが圧排所見はありますね。
脳室の圧迫はスルーしていました。
場数をこなして慣れていきたいです。
今回はスルーしてもそんなに問題ではありません。
そのうちスルーしてはいけない症例も出てくるかもです(^o^)
側脳室下角が、少し開いているように見えて、水頭症かなと思いました。
この年齢ではこのぐらいの、開きでは
年齢相応でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
ここは難しいところではありますが、
・70歳代であること
・脳室内に穿破はしていないこと
からも有意ではないと考えます。
こんばんは!毎日お世話になっております!
今日は追加所見として、
①中大脳動脈、脳底動脈、椎骨動脈、内頸動脈と全体的に血管が高吸収を呈しており、動脈硬化が疑わたこと、
②画像上眼球が左に偏倚しており、小脳病変による共同偏倚による所見として矛盾しないこと(たまたま左を向いているだけかもしれませんが、治療後は正中に戻っているようです…)
を記載できました。
②に関しては、「小脳血管病変が眼球共同偏倚を起こすか」については未だ定説がないものの、小脳出血巣、あるいは梗塞巣の対側に眼球が偏倚した症例はちらほら報告されているらしいです。
アウトプットありがとうございます。
>①
おっしゃるとおりです。動脈硬化が強いです。
>②画像上眼球が左に偏倚しており
たしかに・・・。ここも見ないといけませんね。
本日もありがとうございました。
冠状断の39/59あたりで脳幹の圧迫もあるかなと思いました。脳室内に血腫が穿破していない場合でも、脳幹の圧迫とまで言って良いでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるように右側で少し脳幹の圧迫がありそうですね。
横断像でも迂回槽が左と比べると右で少し狭いですね。
所見として取ってもよいと考えますが、これ自体だけでは脳ヘルニアとは言えず、手術適応となるものではないですね。
こんにちは。
何となく右小脳出血よりsliceが上のレベルで、右小脳半球~右大脳鎌近辺、左も少しhighに見えたので
くも膜下出血もあるのかな?と思いました。臨床症状からは考えにくいですが。。
骨のアーチファクトを見ていたのでしょうか?ご教授頂けると幸いです。
アウトプットありがとうございます。
大きな血腫がありますので、小脳半球が小脳テントに押しつけられており、脳溝が狭くなっていることが考えられますが、脳溝に認めるくも膜下出血や小脳テント沿いに認める硬膜下血腫など疑う所見は認めません。
小脳テントの高吸収が少し横断像で目立つだけで有意ではありません。
両側の静脈洞の高吸収を認めていますね。
骨のアーチファクトはありません。
お疲れ様です。
ついつい大きな所見(小脳出血)を見つけた後、他の所見(副鼻腔炎、陳旧性脳梗塞)を書き忘れたり見逃したりしていました(^_^;)
ところで横断像のslice27の右被殻に小さなLDAがありますが、辺縁もきれいですし脳梗塞でなく血管周囲腔だと考えたらよろしいですか?
アウトプットありがとうございます。
>ところで横断像のslice27の右被殻に小さなLDAがありますが、辺縁もきれいですし脳梗塞でなく血管周囲腔だと考えたらよろしいですか?
小さなLDAがありますね。血管周囲腔は被殻の下1/3に分布し、ラクナ梗塞は上2/3に分布することが多いと言われます。
今回微妙ですが、ちょうど真ん中あたりなのでこれもラクナ梗塞ぽいですね・・・。追記しました。
なるほど血管周囲腔は被殻の下1/3に多いのですね。
なんとなく形などからわかることもありますが、だいたいの位置が分かっていれば参考になりますね。
勉強になりました。
>なんとなく形などからわかることもあります
そうですね。MRIでは内部に細い血管が見えることもあります。CTでは見えませんが。