両側視床傍正中部梗塞症候群(the syndrome of bilateral paramedian thalamic infarction)

引用:radiopedia

  • 急性発症の意識障害(昏睡~傾眠)、遷延性傾眠、著明な健忘や(視床性)痴呆、垂直性注視麻痺や輻輳障害などの眼球運動障害を認める。
  • 1本の血管が両側の視床を支配しているanomalyがあり、ここに梗塞が起こると両側視床の脳梗塞となる。

原因の血管は?

  • まず視床を栄養する動脈は、P-com、PCA、BAから分岐する4本の穿通動脈がある。
  • 視床前部を栄養→視床灰白隆起動脈(thalamotuberal artery)・前乳頭体動脈(premammillary artery:TTA)
  • 視床内側部を栄養→視床穿通動脈(thalamoperforating artery)・傍正中視床動脈(paramedian thalamin artery:TPA)=Percheron動脈
  • 視床外側部を栄養→視床膝状体動脈(thalamogeniculate artery:TGA)
  • 視床後部・上部を栄養→後脈絡叢動脈(posterior choroidal artery:PCHO)

 

  • PCAのP1の枝である傍正中視床動脈(paramedian thalamic artery(thalamoperforating artery:TPA(TP)))=Percheron動脈は視床穿通動脈に相当し、両側視床(片側のこともあり)、中脳を栄養する。
    ※視床では、視床の内側部(CM,PF,DMなど)のほか一部は後内腹側核(VPM)にも分布する。
  • 中脳にも血流を供給しており、その灌流域にあたる両側内側核、乳頭視床路の障害によって自律神経障害、気分変調、妄想、痴呆などの精神症状がみられる(内側視床症候群)。
  • 傍正中視床動脈は約50%の症例で一側の脳底交通動脈から出て左右に分かれて両側の視床、視床下域を灌流するため、しばしば一側の閉塞で両側性の視床梗塞を起こす。

Percheron動脈梗塞を4つのパターンに分類することができた。(AJNR 31: 1283-1289, 2010. )

  1. 中脳および両側傍正中視床 (43%)
  2. 中脳を含まない両側傍正中視床(38%)
  3. 前方視床および中脳と両側傍正中部視床(14%)
  4. 中脳を含まない前方視床と両側傍正中部視床(5%)

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