先に結論:猫ひっかき病
- 猫ひっかき病はBartonella henselaeの感染で、猫に引っかかれたり咬まれたりして数週後に、傷の近くのリンパ節(腋窩・肘・頸部)が痛みを伴って腫れる病気で、小児に多いです
- 画像では周囲の脂肪の炎症を伴うリンパ節腫大で、中が壊死して膿瘍のようになることがあり、結核・悪性リンパ腫・転移との区別が問題になります
- 多くは2〜3か月で自然に治ります。猫との接触歴を聞くことが診断の近道です
猫ひっかき病
- 小児に罹患が多い。
- グラム陰性桿菌であるBartonella henselae感染症。
- 猫と接触後3−10日程度で受傷部に丘疹を生じ、1−3週程度(遅いと7週ほど)で受傷部のリンパ路に痛みを伴うリンパ節腫大を来す。
- 猫との接触歴とBartonella henselaeに対する血清抗体価(IgG)の上昇で診断されることが多く、PCRや組織のWarthin-Starry染色も用いられる。頭頸部の原因不明の腫瘤454例の検討では13.4%が猫ひっかき病であった。摘出リンパ節からBartonella henselaeのDNAが検出されたのはリンパ節腫大から6週以内のみで、PCRの結果は発症からの期間に大きく左右される。
- 肘部、腋窩、頭頸部(主に顎下、オトガイ下部)に認められる。
- 通常2−3ヶ月以内に自然治癒することが多い。
- 脳症や、肝・脾膿瘍(肉芽腫)、心内膜炎、骨髄炎などを合併することもある。
- 典型的なリンパ節炎は自然に治ることが多いが、治療する場合はアジスロマイシン(マクロライド系)の5日間投与で最初の1か月のリンパ節の縮小が早まることがランダム化比較試験で示されている。
- 参考)咬傷では猫は感染率が高い。猫(40%)>犬(5%)>ネズミ(2%)。なので、猫咬傷では予防的な抗菌薬投与が勧められ、犬咬傷でも深い傷・手の傷・免疫不全などでは投与を考える。
画像診断
- 受傷部のリンパ路に内部低吸収なリンパ節腫大を来す。受傷側の腋窩や頸部リンパ節腫大を来す。
- 腫大リンパ節周囲に脂肪織濃度上昇を認め、瘻孔を伴うことあり。
- 大きな腫瘤を形成した場合は、壁の厚い嚢胞状腫瘤となる。
症例 50歳代女性

左腋窩にリンパ節腫大あり。
周囲脂肪織濃度上昇あり。内部壊死ははっきりしません。
ネコひっかき病と診断されました。
亜急性、慢性に経過する片側リンパ節腫大
- 結核性リンパ節炎
- 猫ひっかき病
- トキソプラズマ症
- 亜急性壊死性リンパ節炎
頸部リンパ節腫大の鑑別
- 結核性リンパ節炎
- 亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)、放線菌症、猫ひっかき病、化膿性リンパ節炎、Kaposi肉腫など
参考文献:画像診断 Vol.38 no.12 2018 P1165-1166
- Ridder GJ, Boedeker CC, Technau-Ihling K, et al. Role of cat-scratch disease in lymphadenopathy in the head and neck. Clin Infect Dis. 2002;35(6):643-9. PubMed
- Bass JW, Freitas BC, Freitas AD, et al. Prospective randomized double blind placebo-controlled evaluation of azithromycin for treatment of cat-scratch disease. Pediatr Infect Dis J. 1998;17(6):447-52. PubMed
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