
【症例】80歳代 女性
【主訴】後頸部痛
【現病歴】1週間前より頸部の違和感あり。2日前より頸部痛、肩痛を自覚あり。本日頸部痛の増強あり受診。
【身体所見】意識清明、BT 37.5℃、HR 88bpm、BP 109/67mmHg、瞳孔不同なし、左顎から頸部にかけて痛みあり、頸部前屈できない、kernig徴候陰性。
【データ】WBC 9800、CRP2.69
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今回は頚椎のCTが撮影されました。
横断像の骨条件を見てみましょう。
歯突起周囲に弧状の石灰化を認めていることがわかります。
今回のように、後頸部痛があり、発熱があり、炎症所見を認めている場合、このような石灰化を同部に認めた場合に考えなければならないのが、crowned dens syndromeです。
矢状断像では、頚椎の前彎が失われ直線化していることが分かります。
また各レベルで椎間板の変性および骨棘形成を認めてます。
今回の症状と関係する所見はC2の歯突起背側の石灰化です。
臨床症状からは髄膜炎を否定できないということで、髄液検査が施行されましたが、髄膜炎を疑う所見は認めませんでした。
症状、検査所見、CT所見から、crowned dens syndromeと診断されました。
診断:crowned dens syndrome
※神経内科入院となり、鎮痛薬で疼痛は軽減し、退院となりました。
【顔面+α】症例28の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
その目でみれば、軸椎周囲に石灰化を有する患者はたくさんいます。先生もおっしゃっているように、臨床症状と合わせって「Crowned dens症候群」を疑うことが大切だと感じます。
アウトプットありがとうございます。
>その目でみれば、軸椎周囲に石灰化を有する患者はたくさんいます。
そうなんですよね。一応指摘するものの症状が合致しない人に診断名に記載するのは微妙ですね。
髄膜炎や出血にしては白すぎるため、画像からは石灰化に伴う炎症が指摘しやすいのですね。
画像だけでは確定的に言えず、症状も踏まえて判断ということで広い視野が必要だと感じました。
アウトプットありがとうございます。
>画像だけでは確定的に言えず、症状も踏まえて判断ということで広い視野が必要だと感じました。
おっしゃるとおりです。それがこの疾患の特徴と言えますね。この部位にこれくらいの石灰化を来している方は割と見ますので。
久しぶりにわかりませんと回答しましたがこれも以前教えていただいたような気もします。反省です。しっかり覚えたいです。
アウトプットありがとうございます。
>これも以前教えていただいたような気もします。
以前ありましたっけ?(^_^;)
この疾患は特に、知っていないと診断できないので、こういう疾患もあるということを覚えておきましょう。
髄膜炎に酷似するので困りますよね
この疾患で入院してた方を担当したことがありますが、NSAIDsで症状改善後にCTフォローすると綺麗に石灰化が消失していました。
アウトプットありがとうございます。
>髄膜炎に酷似するので困りますよね。この疾患で入院してた方を担当したことがあります
貴重な経験をしておられますね。
>NSAIDsで症状改善後にCTフォローすると綺麗に石灰化が消失していました。
石灰化は消えることがあるんですね。
少し画像診断からはそれてしまうのですが…
歯突起周囲の石灰化は臨床症状が出現する際に新規に出現したものなのでしょうか?
治療後や発症前の画像で石灰化がないのであれば、治療判定や診断にも役立つのかと思ったのですが。
Crowned dens症候群に出会ったことがないので、もしご存じでしたら教えていただければと思います。
アウトプットありがとうございます。
>少し画像診断からはそれてしまうのですが…歯突起周囲の石灰化は臨床症状が出現する際に新規に出現したものなのでしょうか?
こればかりは発作前の画像がないのと、この所見があっても症状がない方もおられるので何とも言えないのですが、症状が出現したということはこの結晶沈着が関節炎を引き起こした、つまり新たに沈着したと推測することができます。
>治療後や発症前の画像で石灰化がないのであれば、治療判定や診断にも役立つのかと思ったのですが
加療後、症状消失後に石灰化像が縮小したという報告もありますので、治療判定にもある程度は使えると考えます。
ただ、症状軽快後に再度CTまで撮影されるケースは少ないかと思います。この症例もその後のCTはありません。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/101/1/101_161/_pdf
コメントにもあるように「まなてぃ先生」が石灰化が消えたというご経験をされているようです。
ちなみに検索していたらこの解説がこの疾患を非常にわかりやすくまとめてくれています。
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/130657-1-25.pdf
C6の椎体の左側に見られる空洞(横断像183/193など)は正常範囲の所見でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
嚢胞があるのでしょうね。正常範囲というか、よく見られる所見で特に有意ではないです。
いつもありがとうございます。
あれ、どっかで見たことがあるなと思いましたが、一昨年の第113回国家試験ではじめて出題されていました。
https://medu4.com/113D40
実際に画像をコロコロ出来てとても勉強になりました。
アウトプット&貴重なシェアありがとうございます。
>あれ、どっかで見たことがあるなと思いましたが、一昨年の第113回国家試験ではじめて出題されていました。
そうなんです。最新の国家試験対策も見据えて、この疾患を選びました!!
うそです・・・。
この疾患が国家試験に出題されていることにびっくりしました(^_^;)
治療薬はNSAIDsなど今後出題されることもあるかもしれませんね。
本日も有難うございました。高齢の方の椎体は色々変化があって苦手です。今回のCrowned dens症候群はまさに知らないと答えに辿り着けない症例だと感じました。髄膜炎が鑑別に挙げられるという事はMRI検査の選択も考えられる症例なのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
>髄膜炎が鑑別に挙げられるという事はMRI検査の選択も考えられる症例なのでしょうか。
そうですね。MRIもですが、まずは髄液検査ですね。
MRIで所見がないからと髄膜炎は否定できませんので。
勉強になります。
臨床症状があればということですが、加齢性変化として無症状でも画像で出ることがあるということでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>臨床症状があればということですが、加齢性変化として無症状でも画像で出ることがあるということでしょうか?
おっしゃるとおりです。