crowned dens症候群(クラウンデンス症候群、クラウンドデンス症候群)
- 高齢女性の数%に認める。
- 環椎十字靭帯の冠状の石灰沈着像。以下の症状を伴った場合、形状からcrowned dens症候群あるいはcrown dens症候群と呼ばれる。逆に言えば、症状を伴わない場合は、加齢に伴う石灰化を考える。
- 誘因なく急性の頚部痛や頭痛が出現。
- 原因は環軸十字靭帯にピロリン酸カルシウム(CPPD)やハイドロキシアパタイトが沈着することによる。偽痛風と呼ばれる疾患の範疇に属する。
- 発熱や炎症反応上昇を伴う。
- 治療は対症療法(局所安静やNSAIDs)で数日で軽快。
- 強直性脊椎炎でも歯突起周囲に石灰化を来すことがある。
- 鑑別疾患は、側頭動脈炎や髄膜炎など。
- 関連疾患として、石灰化頚長筋腱炎、小児椎間板石灰化症がある。
画像所見
CT
- 歯突起周囲を取り巻くように、冠状に石灰化沈着を認める。
MR
- 歯突起周囲に靭帯肥厚や滑膜肥厚があり、造影剤異常増強効果も認める。
- 環軸関節周囲の液体貯留。
- 歯突起骨髄の異常信号を付随することもある。
骨シンチ
- 活動期の異所性石灰化巣へ集積を認めるため、頚部痛の原因部位を同定できる検査として施行される。
ピロリン酸カルシウム結晶沈着の脊椎病変の好発部位
- 椎間板の線維輪
- 椎間関節
- 仙腸関節
- 後縦靭帯・黄色靭帯・棘間/棘上靭帯
- 環椎横靭帯=crowned dens症候群
症例 70歳代女性 頚部痛
歯突起(C2)の周辺に冠状の形態を示す石灰化あり。crowned dens症候群を疑う所見です。
症例 60歳代 女性 頸部痛、CRP上昇あり
歯突起(C2)の周辺に冠状の形態を示す石灰化あり。
症状およびCRP上昇からもcrowned dens症候群を疑う所見です。
動画で学ぶcrowned dens症候群
▶キー画像
軸椎=歯突起背側に淡い石灰化あり。
軸椎=歯状突起背側に淡い石灰化を認めています。
MRIのT2WIでは石灰化を反映して低信号を認めています。
この症例も症状および画像からcrowned dens症候群を疑う所見です。