【顔面+α】症例32

【症例】40歳代 男性
【主訴】嗅覚障害
【現病歴】喘息で他院にかかっている。2-3年前から強い嗅覚障害を自覚。また鼻閉、鼻汁あり。他院で「とある疾患」と診断され、当院紹介受診となる。
【データ】WBC 6400、CRP 0.35

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CT

MRI

篩骨洞および蝶形骨洞に広範な粘膜肥厚を認めています。

篩骨洞内の濃度は蝶形骨洞と比較して、全体的に高く、中でも高吸収が目立つ部位を認めています。

上顎洞のレベルにおいても、篩骨洞を中心に広範な副鼻腔炎を認めていますが、特に篩骨洞で粘膜肥厚が広範で、上顎洞には一部含気があることがわかります。

また篩骨洞には一部高吸収が目立つ部位があります。

次に冠状断像を見てみましょう。

篩骨洞を中心に前頭洞および鼻腔に広範な粘膜肥厚を認めています。

両側上顎洞や下鼻甲介にも粘膜肥厚は認めていますが、含気を認めていることがわかります。

では、他院で指摘されている「とある疾患」とは何でしょうか?

これらの分布から考えるべきは、慢性副鼻腔炎の中でも特殊なタイプである、好酸球性副鼻腔炎です。

好酸球性副鼻腔炎は篩骨洞〜中鼻道を中心に粘膜肥厚を認め、ムチンを反映して一部高吸収となることが知られています。

 

診断:好酸球性副鼻腔炎疑い

 

※なお冠状断像でわかりやすいですが、上顎洞から左眼窩に骨膨隆を伴う腫瘤を認めており、眼窩を圧排していることがわかります。視力や視野には異常がありませんでしたが、眼窩を圧排しているということで内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS:endoscopic sinus surgery)時に同部も摘出され、こちらも好酸球性副鼻腔炎によるポリープ(間質に好酸球優位の炎症細胞浸潤を認める)と診断されました。

※好酸球性副鼻腔炎の確定診断は、「組織好酸球数:70個以上」とされていますが、103個/1視野認めており、好酸球性副鼻腔炎と確定診断されました。

関連:好酸球性副鼻腔炎とは?CT画像診断のポイントは?

【顔面+α】症例32の動画解説


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