
【症例】20歳代 男性
【主訴】頭部打撲
【現病歴】本日バイクに乗っていたところ、前に止まっていたトラックと接触し、転倒。救急搬送となる。
【身体所見】意識清明、瞳孔径3mm/3mm、対光反射+/+、右下顎部のしびれ、知覚低下あり。
画像はこちら
頭頸部のCTが撮影されています。
頭部CTでは頭蓋内出血や占拠性病変は認めていません。
骨条件の横断像を見てみましょう。
下顎骨の右側および、正中やや左側の2カ所に骨折線を認めています。
次に冠状断像で確認しましょう。
2カ所の骨折線は冠状断像でも確認でき、正中部やや左側(傍オトガイ部)の骨折は冠状断像でわかりやすいですね。
骨の転位は認めていません。
最後に3D再構成画像を見てみましょう。
3D再構成で骨折の全体像を確認できます。
前回見た下顎骨のどの部位に骨折を認めているでしょうか?
骨折部位は上行枝および歯槽突起からオトガイ結合部に及んでいることが分かりますね。
診断:下顎骨骨折(右側上行枝、傍オトガイ部(歯槽突起〜オトガイ結合部にかけて))
※形成外科で手術となりました。
なお、右側の上行枝については、骨折があると思われる部分の骨膜を剥離しても明らかな骨折線は同定できなかったとのことで固定はされていません。
【顔面】症例16の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
私も3D-MIPを大腿骨頸部骨折の確認などに用いることがあります。場合によっては有用な症例があると感じます。
アウトプットありがとうございます。
骨折においてはどの部位でも3Dが非常に有用ですね。
わずかな肋骨骨折も3Dだと一目瞭然のこともあります。
ただし、わずかすぎると逆に3Dでは拾えないこともありますが。
今回の顔面救急では、顔面骨骨折の外から見た様子は3Dで非常にわかりやすいですね。
3D作成の元画像は軟部条件を使うことが一般的ですが、骨折のときはザラザラな3Dになってもいいので骨条件から作成すると僅かな骨折線を3Dでも確認しやすくなります。(元画像の見え方から考えれば3Dも骨条件から作るほうが見えやすい、と冷静に考えれば分かるのですが、3D=軟部条件から作成という固定概念から軟部条件で作ってしまう施設も少なくないと思います。恥ずかしながら私がそうでした…)
アウトプットありがとうございます。
>骨条件から作成すると僅かな骨折線を3Dでも確認しやすくなります。
そうなんですね。3Dをほとんど作ったことがないので知りませんでした。
この辺りは技師さんの方が詳しいところですね。勉強になりました。
オトガイ部など、細かな解剖名までまだ覚えられてませんが、勉強になりました
体部とか頻度低いの意外な感じしますね
アウトプットありがとうございます。
細かな解剖名までは覚える必要はないかと思います。
>体部とか頻度低いの意外な感じしますね
そうですね。上行枝が少ないのも意外でした。