【顔面】症例15

【症例】40歳代 男性
【主訴】転倒
【現病歴】本日食事中にアレルギー症状出現し、一時的に意識消失し転倒した。
【身体所見】JCS 0、下顎正中よりやや右側に4cmの切創あり。開口不良あり。左外耳道より出血あり。

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まず横断像から見ていきましょう。

右の前頭部に外傷性くも膜下出血を疑う高吸収を認めています。

(冠状断でも確認したいところですが、再構成がされていませんでした。)

開口障害があるということで、顎関節周囲を見てみると、下顎骨の左側の関節突起が本来あるべき場所に認めておらず、やや尾側のスライスに認めています。骨折を疑う所見です。

冠状断像でも下顎骨の左側の関節突起が骨折し、前方やや内側に転位している様子がよく分かります。

3D再構成では、下顎骨の左側の関節突起の骨折および転位の様子がより明瞭にわかりますね。

さて、下顎骨骨折の部位と頻度は以下の様に報告されています。

今回は上方の突起部分が骨折していますが、背側部分であり、頻度の高い関節突起部分の骨折であることが分かります。

 

診断:左側下顎骨骨折(関節突起)

 

※耳出血があり、髄液漏の可能性が疑われ、脳外科入院となりました。その後耳鼻科コンサルトで外耳道出血によるものと診断され形成外科に転科となりました。

形成外科にて観血的手術(左関節突起の骨切り、一塊にして固定、下顎骨体部を下方に牽引して、プレート固定)が施行されました。

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【顔面】症例15の動画解説

お疲れ様でした。

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